【その他の写真:Googleストリートビュー 2024年5月、 この写真からも柱が細いことがわかる。】
主要メディアの報道は夕刻以降、緊迫度を増した。最大手紙「マニラ・スタンダード」(電子版)は31日夕、中央ルソン地方消防局の最新報告として、第8、第9の犠牲者の遺体が午後に相次いで搬出され、死者数が9人に達したと他紙に先駆けて伝えた。「マニラ・ブレティン」も同日午後2時51分、8人目の遺体が現場の「第2区画」から引き揚げられたと報じ、各階のコンクリート床が垂直に潰れて重なり合う「パンケーキ崩壊」の惨状を浮き彫りにした。
「フィリピン・デイリー・インクワイアラー」によれば、死亡が確認されたのは現場で働いていた51歳と26歳の建設作業員の親子や、隣接する営業中のホテルに滞在していたマレーシア人観光客モハド・レザ・アブドゥラーさん(65)らである。同紙の夜間更新によると、現場は日没後に激しい雷雨となり、がれきが水分を含んで重量を増すため二次災害の危険と隣り合わせの作業が続いている。保健当局(DOH)の発表では、新たに収容された遺体は損傷が激しく、DNA鑑定や歯型による災害犠牲者身元確認(DVI)プロトコルを急いでいるという。国営フィリピン通信社(PNA)は、生存者捜索は完全に打ち切られ、現在は遺体収容と身元確認手続きが中心になっていると伝えた。
崩落の原因が「完全な人災」であることを決定づける報道も浮上した。主要テレビ局「GMAニュース」は31日夜の主要番組『24 Oras』で、崩落前に作業員がSNSに投稿していた「10階部分(屋上)の施工動画」を独自入手し公開した。
こうした中、有力ニュースサイト「ラプラー(Rappler)」は、外国人観光客の死亡を重く見たマルコス大統領が激怒し、観光省(DOT)および内務地方政府省(DILG)に対し「徹底的な原因究明と関係者への容赦ない法的措置」を直接命じたと報じた。これにより、地元有力者が裏から手を回して事件をうやむやにすることは極めて困難な政治状況となった。
四面楚歌に陥った施主側の足元も揺らいでいる。「マニラ・ブレティン」によれば、30日に建物所有者と建設業者の弁護士団が記者会見を開き、被害者家族への全面支援を表明する一方、行政主導の調査とは別に構造的欠陥の原因を究明する「独立調査」を要求する姿勢を示していた。しかし、このスタンスに対してネット上や市民から「責任転嫁の時間稼ぎだ」「天候のせいにするな」と猛烈な批判(炎上)が殺到。同紙の夜間報道によると、主任弁護士は31日夜に急遽声明を出し、「当局の調査を妨害する意図はなく、技術的原因究明の客観性を担保するためだ」と苦しい釈明に追われた。さらに同紙は、SNS上で生存者を偽り支援金を詐取しようとした男が逮捕された便乗詐欺の発生も伝えている。
今回の未曾有の人災を受け、観光省(DOT)は全国の宿泊施設に緊急強度点検を命じた。外国人誘致を進めるフィリピンの観光業界と、長年指摘されてきた行政の腐敗体質は、国家の威信をかけて重大な岐路に立たされている。
【編集:Eula】








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