もうひとりの自分と向き合う少年少女の成長と葛藤の日々を描く、ジュブナイルRPG『ペルソナ』シリーズ。その最新作となる『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』(以下、P5R)が、2019年10月31日にリリースされます。


『ペルソナ5』で語られていなかった「3学期」や、東京を代表するスポット「吉祥寺」など、見逃せない要素を多数追加する『P5R』。特に、新キャラクターとなる「芳澤 かすみ」の存在が、多くのペルソナファンから注目を集めています。

これまで、芳澤 かすみに関する情報はごく限られたものだけでしたが、このたび彼女に深く迫る最新映像が公開されました。以前から、怪盗服に身を包んだ姿などは明かされていましたが、今回の新映像でペルソナ「サンドリヨン」を初お披露目。そのほかにも、彼女についてあれこれ想像が広がる、様々な情報が断片的ながらも登場しました。

そこで今回は、彼女のペルソナ「サンドリヨン」を含め、芳澤 かすみについてあれこれと想像を巡らせてみたいと思います。


◆「芳澤 かすみ」のこれまでと今─パーティに加わる率はかなり高め!?

「芳澤 かすみ(CV.雨宮天)」は、今年の3月に公開された映像「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」ティザーCMで、初披露となりました。この時の彼女は、名前なども一切不明。そして、怪盗団について聞かれたところ、「人助けは素晴らしいことだと思います」と前置きしながらも、「どちらかと言うと好きじゃない」「本当の人助けになっていない」と、プレイヤーサイドである怪盗団に対して否定的な言葉を紡ぎました。

謎めくキャラクターの正体について、「新しい女性主人公か?」といった憶測も飛び交いましたが、4月24日に公開された情報にて、主人公の転入と同じ年の春に入学した女生徒だと判明。また、中学時代には、新体操で優秀な成績を収めたとのこと。彼女の怪盗服姿もこのタイミングで明かされ、怪盗団との浅からぬ関係を早速窺わせました。


そして今回の新映像では、彼女が覚醒する瞬間を捉えており、ペルソナ「サンドリヨン」と共に、その勇姿を惜しみなく披露しています。ティザーCMでは怪盗団を否定しつつも、公式サイトでは「新たな協力者」と紹介され、新映像ではペルソナを使いこなす「芳澤 かすみ」。そんな彼女のペルソナが「サンドリヨン」なのも、興味深いところです。

あくまで可能性の話ではありますが、怪盗服姿があり、ペルソナも使いこなすという点を考慮すると、怪盗団に加わる可能性は充分にあり得ます。また、総攻撃に参加した上に、芳澤 かすみのカットインが飛び出す場面も新映像に収録済み。一時的か恒常かはともかく、ジョーカーたちと一緒に戦う機会は訪れそうです。


パーティ入りの可能性を探った後は、彼女が怪盗団に加わる展開などを予想してみたいと思います。ですがその前に、前提としたいポイントについて迫ります。

◆怪盗団に属するメンバーのペルソナは、ある傾向が見られる・・・かも?

『ペルソナ5』は、従来のシリーズが持つジュブナイルに、新たな要素「ピカレスク・ロマン」を加えて生まれた作品です。ピカレスク・ロマンと一口に言っても様々ですが、本作では「法では裁けない悪を、自らが法から外れようとも裁く」、といった物語が描かれました。

心を盗んで世を正す怪盗団に属する主人公たちは、その意志の現れか、所持するペルソナにはある程度の傾向があります。例えば、主人公の初期ペルソナ「アルセーヌ」は、怪盗“アルセーヌ・ルパン”を思わせる姿をしています。


同じく、坂本竜司の「キャプテン・キッド」は有名な海賊を、高巻杏の「カルメン」は小説や歌劇に登場する情熱的な同名の女性を、それぞれ連想する方が多いことでしょう。他のメンバーも、“怪傑ゾロ”や大泥棒の“石川五右衛門”、性別を偽った教皇“ヨハンナ”、リシュリューの部下として悪事に手を染めた“ミラディ”(ミレディーとも)など、いずれも盗みを働いたり法を侵した人物を彷彿とさせます。

佐倉双葉のペルソナ「ネクロノミコン」は、人物ではなく魔道書の名前なので、必ずしもこの法則に当てはまるわけではありませんが、心を盗む怪盗団という点を踏まえると、所持するペルソナに特定の傾向が見えても不思議ではありません。

では、芳澤 かすみのペルソナ「サンドリヨン」はどうかと言えば、公式の見解が明らかではないのであくまで考察の範囲ですが、“盗み”というイメージからは遠い位置にいる人物がモチーフだと思われます。続いては、この「サンドリヨン」についての考察へと移ります。

「サンドリヨン」はフランス語表記!? 英語だと、誰もが知るあのヒロイン!

◆「サンドリヨン」は「シンデレラ」? 灰かぶり姫が“盗んだ”ものとは

改めての前置きとなりますが、ペルソナ「サンドリヨン」についての考察も含め、あくまで筆者の想像によるもの。
公式の発表などではないので、ご注意ください。

芳澤 かすみのペルソナ「サンドリヨン」。その響きに馴染みがある方は少ないかと思いますが、これは「シンデレラ」のフランス語表記でもあります。つまり、彼女のペルソナは、「サンドリヨン=シンデレラ」ではないかと、筆者は考えました。

シンデレラの物語は、世界中に様々なバリエーションが存在しますが、大まかなあらすじは皆さんもご存じの通り。継母や姉にいじめられる日々を過ごすシンデレラが、魔法使いの助けを得て、お城の舞踏会に参加。
そこで王子に見初められるものの、魔法が切れる前に逃げ出してしまいます。ですが王子は、シンデレラが残したガラスの靴を手がかりに彼女を見つけ出し、二人は結ばれて幸せになる・・・というものです。

日本では「灰かぶり姫」とも呼ばれ、フランス語表記では「サンドリヨン」な「シンデレラ」。しかし、芳澤 かすみのペルソナのモチーフがシンデレラだとしたら、他の怪盗団とは全然傾向が違う、と思う方もいることでしょう。怪盗団のペルソナは、裏社会に属し、悪と近しい関係にある人物を連想させますが、こちらはディズニー映画で描かれることすらある、王道のヒロイン。真逆に近い存在です。

ですが、ここで少し視点を変えてみましょう。童話の読者から見れば、不幸せだった彼女がようやく報われるハッピーエンドですが、王子と結ばれたがっていたその他大勢からすれば、彼女は「ぽっと出てきて王子を奪った相手」です。継母や姉は自業自得なので除外しますが、王子に惹かれ、この舞踏会でお近づきになりたい・・・と思っていた貴族の娘もいたはず。しかしシンデレラが現れたことで、その恋は儚く消え去ります。

この視点で考えると、シンデレラは王子の心を盗み、同時に多くの若き女性たちの恋心を手折ったとも言えます。もちろん、王子を奪われたとシンデレラに憎しみを向けるのは、ただの逆恨みに過ぎません。そして、逆恨みがこの世からなくなることもないので、シンデレラに「簒奪者」という悪意あるレッテルを貼る人がいてもおかしくありません。行為自体がおかしくとも、です。

その視点を更に掘り下げてみると、シンデレラはもうひとつ奪っています。それは、「妃の座」です。普通に考えれば、王子は貴族もしくは(近隣を含めた)王族の娘と結婚するのが一番ポピュラーでしょう。王子の妃ともなれば、影響力は決して小さくありません。そんな「妃の座」、言い換えるならば「権力の座」を、本来手にするはずだった貴族・王族から、ただの町娘が“奪った”──という見方もできます。

王子の心、そして権力を(少なくとも、影響力を)手に入れたシンデレラ。客観視すれば少女が報われた話に過ぎませんが、捻くれた逆恨みのフィルターを通すと、平民が貴族・王族の特権を簒奪した物語、として映る可能性もあるのでしょう。

悪意なき簒奪者「シンデレラ」。そんな切り口と、怪盗団に参加する展開を考察・・・いえ、ここからは「妄想」してみたいと思います。さすがに材料が少なすぎるので、とても考察とは言えませんが、あなたの考察を手助けするひとつの材料としてどうぞ!

◆『P5R』芳澤 かすみは、こんな経緯で怪盗団に入る!?

「シンデレラ」に向けられる簒奪者という評価は、恣意的なレッテルに他なりません。しかし、時に人は、事実よりもレッテルを選び、真実と思い込む一面があります。そんな謂われなき偏見を、芳澤 かすみ自身も負わされたのかもしれません。

怪盗団の行いに賛同せず、物事は本人が解決しなければいけないと、ティザーCMで語った芳澤 かすみ。それは王道とも言える正しさですが、捻くれた逆恨みを引き寄せやすい姿勢でもあります。

正しい振る舞いを見せる彼女に、一部の人間が反発・敵対し、悪意と捏造から勝手なレッテルを貼り付ける。その圧力に苦しめられた彼女が、自らのペルソナを「シンデレラ」として形作り、覚醒する──こんな展開が、本作に用意されているのでは、と想像もとい妄想してみました。もちろんこの流れには、怪盗団も少なからず関わっています(※あくまで妄想です)。

映像を見る限り、ジョーカー(とモルガナ)が覚醒の瞬間に立ち会うのは確実そうですし、状況は不明ですが「色々助けてもらった恩、いつか必ず返しますから」といった彼女の台詞もありました。ここから妄想を更に膨らませると、レッテルを貼られた一件について、彼女を助ける側としてジョーカーが関わったのでしょう。そこから、怪盗団加入後に、この台詞が出るに違いありません! もちろん彼女のコープもあるでしょうし、恋人関係になれば、文字通りの意味で“お返し”がですね・・・!!(すみませんこの辺でやめておきます)

あれこれと勝手に連想してみましたが、「総攻撃のビジュアルもあり、ペルソナ持ちなので、怪盗団に加入する(戦闘にも参加するタイプ)」「ペルソナのサンドリヨンは、シンデレラではないか」などは、可能性が高いと思っています。シンデレラの解釈や、悪意あるレッテルによる抑圧、そんな時に助けてくれたジョーカーを見て、怪盗団を再評価して入団──といった流れは、果たして少しでも当たっているかどうか。その結果は、今後の続報で判明することでしょう。

当たり外れに限らず、考察したり妄想するのは、なかなか楽しいものです。よければあなたも、「芳澤 かすみ」や「サンドリヨン」について、想像を巡らせてみてはいかがですか?

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