6月に観測史上初の40度超えなど記録的な猛暑に襲われ、すでに“夏バテ”という人も多いだろう。
「現代人の夏バテは、実はエアコンなどによる“冷えバテ”です」
そう話すのはテレビなどでも大活躍の医師、石原新菜先生だ。
「昔はエアコンもなく暑いための夏バテでしたが、今は〈1〉室内は涼しいのに、〈2〉薄着で、〈3〉冷たいものを多く取る。3つの影響で内臓が冷え、体調不良を起こしているのです」(石原先生・以下同)
特に女性は冷え性が多く、低体温の人も多い。「冷房病」「クーラー病」を自覚する人もいる。
さらに今年は、急に暑くなったことも体調悪化を加速させている。
「通常5~6月に2週間ほどかけて、体が徐々に暑さに慣れていく『暑熱順化』をするのですが、今年は急激に気温が上昇し、体が暑さに順応できない人がたくさん。そういう人は汗をかきづらく、冷えバテを悪化させてしまいます」
多く取った水分を汗などで排出できないと、体の中に水分が滞留し、むくみやすくなる。ほかにも頭痛や耳鳴り、慢性鼻炎の原因にもなるし、血管中の水分量が増えれば、血管にかかる圧が高まり、すなわち高血圧が悪化する。
「体を暑さに慣らし、汗をかける体を作らねばなりません」
そのためには運動をしたり、シャワーではなく湯船につかって、汗をかく練習が必要だ。
「あわせて、しょうがのパワーを活用しましょう。『蒸ししょうがパウダー』がおすすめです」
生のしょうがには、ジンゲロールとショウガオールという2つの薬効成分が含まれる。
ジンゲロールには頭痛や吐き気を抑えたり、免疫力アップの効果も期待できる。これだけでも相当な薬効だが、もういっぽうのショウガオールは、体内の脂肪や糖質を燃焼させることで、体温を上げ、汗をかきやすくする。
「ただ、生のしょうがにはジンゲロールがほとんどで、ショウガオールは少ししか含まれません。でも、蒸ししょうがにすれば、成分が変わってショウガオールが10倍に増えるのです」
■しょうがはまるで副作用のない薬
10倍とは驚きだが、蒸すのはめんどうでは?
「本来は蒸し器で時間をかけて蒸し、天日で乾燥させるのですが、オーブンを使う方法なら蒸すのと乾燥が一度にできて、簡単です」
作り方は次のとおり。
【蒸ししょうがパウダーの作り方】
(1)皮付きのまましょうがを1ミリ幅にスライスする。包丁のほか、スライサーを使ってもいい。
(2)80度に設定したオーブンで1時間焼く。蒸し器を使った後に乾かす方法よりも時短になり、効果も○。80度に設定できない場合は、100度前後であればOK。
(3)カリカリに乾燥したしょうがを、フードプロセッサーを使って粉状にすれば完成。フードプロセッサーがない場合は、包丁だと硬くて切れないので、すり鉢などで粉状にしよう。
「オーブンの時間が過ぎてもカラカラに乾燥しない場合は、加熱時間を10分ずつ延ばしてようすを見たり、ざるなどに並べて自然乾燥してもよいでしょう」
蒸ししょうがパウダーにすれば、3カ月保存が可能だ。生のしょうがは傷みやすいが、蒸ししょうがパウダーにすることで食品ロスが減り、節約もできるだろう。
「小さな容器に入れて持ち歩けば、外食の際もササッと振りかけて活用できますよ」
紅茶などの飲み物や、冷や奴、サラダにもパパッと振りかけて。暑い日には、蒸ししょうがパウダーに黒糖を加え炭酸水で割ったジンジャーエールもおいしい。冷凍チャーハンにひと振りで超簡単健康ランチになるし、豚のしょうが焼きなども生しょうがの代わりに蒸ししょうがパウダーを使えば、すりおろす手間もない。
「蒸ししょうがパウダーは加熱時間が長いとせっかくの薬効が減少するので、できあがる直前に振りかけてください」
かけるだけ、混ぜるだけの蒸ししょうがパウダー生活。先生のもとにはさまざまな声が届いているそう。
50歳の女性は「2週間で血糖値が100以上下がった」といい、56歳の男性は「薬を飲んでも治らなかった高血圧が正常値になった」という。ほかに、「手足のむくみが取れて、冷えが解消した」など、多方面からの反響が絶大だ。
「しょうがは古くから“食べる薬”として世界中で重用されてきました。しょうがはたいていの薬と違い、副作用がほとんどありません。いくら食べても大丈夫でしょう」
夏はこれからが本番だ。