「比嘉家の撮影のたびに『帰ってきたね~~』と、暢子と話をします。それくらい比嘉家の現場はアットホームで、本物の家族みたいに落ち着けるんです」

撮影の思い出を、うれしそうに話すのは、俳優の竜星涼さん(29)。

連続テレビ小説『ちむどんどん』(月~土8時)で、黒島結菜さん(25)演じるヒロイン・比嘉暢子の兄“ニーニー”こと賢秀を演じている。

’09年にスカウトされ芸能界入りした竜星さん。’13年には戦隊もののヒーロー役で初主演を務め、その後は数々の話題作に出演。朝ドラへの出演は’17年の『ひよっこ』に続いて2度目だ。

今回演じる賢秀は、怪しいもうけ話にだまされて借金を抱えるなど、何かと比嘉家を騒がせるトラブルメーカー。そんな賢秀だが、演じる竜星さんの目にはどう映っているのだろうか?

「賢秀は家族思いで、裏表なくまっすぐに生きている。だけど、考え方がまだまだ未熟。大人になり切れていないなと感じます。心が少年のままだから、はたから見ると“イタイ”んです」

しかし、同時にそうした欠点を別の角度からとらえることもできるという。

「でも、もしかしたら、素直に子どものままでいる潔さは一つの才能かな、とも思いますね。だから僕は、キャラクターを最後まで理解して愛していたいんです。ただ、周りに迷惑をかけている部分は、これからきちんと反省をして大人になっていくのかなと思っています」

■賢秀のイメージとは真逆の意外な趣味

8月11日の放送では、妹の暢子の結婚式で歌を披露するため、矢沢永吉の名曲『時間よ止まれ』を熱心に練習していた賢秀だが、竜星さんも永ちゃんの大ファンだ。

「両親が永ちゃんを大好きで、子どものころからいつも家で曲が流れていたんです。高校生のころには永ちゃんの自伝である『成りあがり』をお守り代わりに持ち歩いていました。自分がアツくなれるものを見つけたいと思ったきっかけの本ですね。

僕も永ちゃんみたいに、自分の気持ちや感性を大切にして、いいと思ったものはいいと思えるようにいたいなと」

実はこのシーン、もともとは別の人の楽曲を歌う予定だったが、竜星さんの“直談判”によって変わったという。

「たまたま、当初の楽曲候補に永ちゃんの歌があったというのを聞いたんです。脚本の羽原大介さんも永ちゃんファンで、時代背景的にもいいんじゃないかと。それで、『だったら俺、歌いたいです!』と希望させてもらいました。

撮影では“カットがかからないな~”と思いながら、2番の最後まで歌い切っています。ドラマで、矢沢さんの楽曲を歌い残せるのはうれしかったですね」

暢子のために歌を練習するなど、家族思いの賢秀だが、浅はかな行動で周囲に迷惑をかけることも多かった。

だが、演じる竜星さんは、当然ながら全く別の性格の持ち主だ。

「僕と、賢秀の違い? ダメ男じゃないところ(笑)」

そうおどける竜星さん。実際に、一獲千金を夢見て“ビッグビジネス”に飛びつく賢秀とは違い、竜星さん自身は’16年に、パリコレのオーディションに参加するため、自腹で渡仏するなど、地道にキャリアを重ねてきた。

さらに、賢秀の粗野なイメージとはかけ離れた趣味も。

「最近は家でお花の面倒を見るのにハマっています。今飾っているのはひまわりの花。毎朝水を替えて、茎の先をハサミでカットして。一日でも長く持ってほしいから、漂白剤を1滴入れてます。

花を生けるようになったのは最近のこと。部屋にあるとリラックスするな~と感じます。これは大人になったってことかな(笑)」

また、たびたび比嘉家に暗雲を呼び込んできた賢秀とは違い、竜星さんはなんと“晴れ男”。撮影では天候に恵まれることが多かったという。

そこにいるだけで、空も周囲も明るくする竜星さん。その秘密は彼の太陽のような性格にあるのかもしれない。

「とにかくよくしゃべります。

人を信じたいので、誰にでもフランクに接しますし、みんなが楽しく仕事できればいいな~といつも思っている。こういう点は賢秀と一緒かもしれません。

太陽か月かでいうと、太陽っぽい性格ですね。日を浴びるのも好きなので、オフの日は、外に出ることも多いです」

仲間由紀恵さんは本当のお母さんのよう

約10カ月という長期に及んだ『ちむどんどん』の撮影。ハードな環境下で竜星さんの支えとなったのが、撮影現場で苦楽をともにした“家族”の存在だった。

竜星さんは川口春奈さん(27)、黒島さん、上白石萌歌さん(22)が演じる3人の妹への思いをこう語る。

「みんな違う性格だけど、とっても素直でいい妹たちなんです。だから比嘉家の場面だとうれしいし、現場にいると、本当にお兄ちゃんみたいな感覚で、妹たちに慕われたいなあなんて思います」

妹の暢子を演じる黒島さんは、インタビューで、兄妹の絆が深まったきっかけとして、沖縄での撮影を挙げていた。

《兄妹役の皆さんとは沖縄ロケでさらに仲良くなりました。お兄ちゃん役の竜星くんは、とても元気でハッピーな性格でみんなの距離をグッと縮めてくれました》(『月刊ザテレビジョン』’22年5月号)

竜星さんもまた、沖縄での撮影が兄妹の親交を深めるきっかけとなったと語る。

「沖縄ロケが、初めて兄妹4人が集まって撮影をする機会でした。

撮影の合間には、兄妹みんなでくだらない話から、真剣な相談まで、たくさんの話をしたんです。

それが、打ち解けるきっかけになったんじゃないかな。僕は一人っ子なので、かわいい妹が3人もでき、すごくうれしかったです」

竜星さんは、母である優子を演じる仲間由紀恵さんのことも、”本当のお母さん”のように感じているという。

「撮影現場に仲間さんの姿が見えると『あっ、今日お母ちゃんいる』と、テンションが上がります。

仲間さんは本当に優しくて、僕がどれだけ話しかけようが、全部返事をしてくださるんです。ほかの妹たちは『やれやれ』という感じで僕を見ていますけど(笑)。

全てを温かく包み込んで受け入れてくれる仲間さんがいるからこそ、比嘉家のアットホームな関係性が築けたのかなとも思います。仲間さんがお母さん役で本当によかった。大好きです」

長期にわたった撮影も8月末で終わりを迎える。暢子が東京で開く沖縄料理店はどうなるのか。良子、歌子、そして、竜星さん演じる賢秀はどんな人生を歩むのか。

「毎週毎週、撮影しているのが終わるのは寂しいしいですね。

この後は、比嘉家の面々がどう成長していくかの集大成となります。

賢秀は、長い間ダメなところばっかり見せてきました。その分、彼なりに葛藤を持って生きていることも描いてもらったかなと思います。

これから賢秀が、どう成長していくのかを最後まで見てもらえたらうれしいです」

燦燦と輝く“沖縄の一番星”から、最後まで目が離せないヤサ!

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