「正直、最初は誰かわからなくて笑っちゃいました(笑)」

そう振り返るのは、映画『SAKAMOTO DAYS』で共演した主演の目黒蓮についてのエピソード。推定体重約140キロのふくよかな坂本の特殊メイク姿のインパクトに思わず驚いた八木勇征(28)だったが、

「でも、その裏での努力や覚悟は本当にすごくて。

あの姿のままハードなアクションに挑む姿を見て、座長として現場を引っ張る強さを感じましたし、自分も負けていられないと奮い立たされました」

本作で八木が演じるのは、京都弁を話す、冷静沈着な実力派殺し屋・神々廻。特に苦労したのが武器のネイルハンマーを使ったアクションだという。

「ネイルハンマーは、リーチが短くてとても近距離での戦いなんです。手首のスナップでどれだけインパクトを出せるかを意識して演じました。アクションはリズム感がとても大事で、ちょっとズレると全部が崩れてしまうのですが、自分は音楽をやってきたので、その感覚が少し生きたのかなと思います」

作品のテーマのひとつでもある家族にちなみ、理想の家庭像を聞くと、

「坂本家みたいに、お母さんが一番強い、みたいな。ああいうバランスって素敵ですよね。僕自身も、正座して怒られるくらいがちょうどいいです(笑)」

さらに、自身の家訓についてもこう明かした。

「『つらいときや悲しいときは、ちゃんと口に出すこと』ですね。昔は、自分が我慢すればいいとか、言わないほうがいいと思っていたのですが、それだと結局誰にも伝わらないし、助けてもらえないんですよね。頼ることは弱さじゃなくて、信頼しているからこそできることなんだなって、今は思うようになりました」

5月6日で29歳を迎える今、20代を振り返るとその歩みは濃密なものだった。

「濃くて、でもあっという間でした。どの瞬間も表現に向き合ってきたので、後悔はないです。

むしろ30歳の自分がもう楽しみなくらいで。どんな自分になっていくんだろうっていうワクワクのほうが大きいですね」

また、この数年のなかでの価値観の転機として大きかったのがコロナ禍だったという。

「何もできない時間を経験して、自分が思っている以上に無力なんだなって感じたんです。でもそのときに、作品として残るものの強さに気づいて。自分もそういうものに関わっていきたいって思うようになりました」

今後は俳優とアーティストの両方を軸にしながら、その先の可能性にも目が向いている。

「とにかく今は表現に尽くしたいという気持ちが一番強いです。俳優もアーティストも、自分にとってはどちらも大事な表現なので、そこはずっと続けていきたいですね。そして、いつかは誰かをプロデュースするようなことにも挑戦できたら面白いなとも思っていますけど、それはまだ先の話です(笑)」

【INFORMATION】

映画『SAKAMOTO DAYS』4月29日(水・祝)公開

元・伝説の殺し屋の坂本太郎(目黒蓮)は、恋をきっかけに引退し結婚、現在は家族とともに「坂本商店」を営みながら穏やかに暮らしている。しかし懸賞金をかけられたことで、次々と刺客に命を狙われる。平穏な生活と愛する家族を守るため、仲間たちとともに再び戦いに身を投じる。

スタイリング:平松正啓
ヘアメーク:福田翠/Luana

編集部おすすめ