「天皇陛下と雅子さまは5月16・17日に愛媛県を訪問されました。16日には大洲市で’18年7月の西日本豪雨による被災者らとご懇談。
そう語るのは皇室担当記者。
お二方で愛媛県を訪問されたのは27年ぶりだというが、1カ月後にも雅子さまにとって“久しぶりのご挑戦”が控えている。
前出の皇室担当記者が続ける。
「両陛下が6月13~26日の日程で、オランダとベルギーを公式訪問されることが5月12日に閣議決定されました。
かねて両国の国王から、両陛下にそれぞれ何度もご招待があり、国賓として迎えられます。雅子さまが一度に2カ国を訪問されるのは、’02年のニュージーランドとオーストラリアへのご訪問以来24年ぶりのこと。当時は9日の日程でしたが、今回は2週間となります」
両国では歓迎式典や、両陛下と親交が深いオランダのウィレム=アレクサンダー国王夫妻とベルギーのフィリップ国王夫妻が主催する晩餐会にも臨まれる。
「また両陛下は戦没者記念碑にも供花されます。さらに関係者の間で注目されているのは、両国での議会訪問も予定されていることです。実はこれはあまり例のないことで、令和になって国際親善のための外国公式訪問は4度目ですが、インドネシア、英国、モンゴルでは議会は訪れていらっしゃいません」(前出・皇室担当記者)
昭和天皇、上皇陛下も、海外ご訪問で議会を訪れられた機会は少なかった。その理由について、ある宮内庁関係者はこう話す。
「天皇陛下が政治に関与しない象徴というお立場であることが大きな理由になっていると思われます。
たとえば上皇陛下は、即位後にご訪問先で議会を訪れることをずっと控えていらっしゃいました。
しかしご即位から8年後の’97年に、ブラジルの首都ブラジリアの連邦議会で上下院の両議員を前にスピーチされたのです。
外国の議会ご訪問も、そしてスピーチも“初めてのこと”として、当時新聞各紙が報じています。ただ上皇陛下もスピーチの内容にはかなり配慮されており、政治的な色彩を排して、両国の親善や友好を強調した内容とされました」
■米議会を沸かせた英国王のスピーチ
当時、宮内庁は、“政治的問題に巻き込まれる可能性がなければ、今後も同様のことはありえる”などとコメントしていた。
「しかし上皇陛下は’02年にハンガリーの国会議事堂、’09年に美智子さまとカナダの国会議事堂などを訪れられていますが、訪問国数に比べるとその機会はごく少なく、ブラジル以降はスピーチもされなかったのです。
そういう意味では、今回、天皇陛下がオランダとベルギーの議会を連続して訪問されることは、きわめて異例と言えます。
特に欧米では、国賓を国民の代表である議員たちが集まっている議会に招くことは、非常に重要な機会とされており、このたびも両国からの要請があったのです」(前出・宮内庁関係者)
国賓が議会を訪問する際にはスピーチも求められるケースも多いが、欧州王室に詳しい駒澤大学教授の君塚直隆さんは次のように語る。
「私も天皇陛下が演説をなさる機会があるのかを注目しています。オランダそしてベルギーは、現在のEU(欧州連合)の基盤となったEEC(欧州経済共同体)の原加盟国であり、発言力も強いです。今後ますます日本とEU加盟国との関係性が重要になっていくなかで、陛下の演説により、今回のご訪問の意義をより高めることになると思います。
4月に英国のチャールズ国王が訪米し、連邦議会で演説しました。ウクライナ支援や、間接的な表現ではありましたが、アメリカのイラン攻撃についても言及し、誰も傷つけないような言い回しで、演説中もスタンディングオベーションがあったほど英米両国の国民に好意的に受け止められたのです。
ロシアによるウクライナ侵攻、そしてイラン戦争など世界では紛争が続いている。また移民問題、宗教対立、資源の奪い合い……、人間同士が敵視し合う分断が世界に深刻な影を落としている。日本国内においても経済格差や政治的な立場などを巡る対立が激しさを増し、さらに女性・女系天皇を巡っても国民は分断の危機にある。
そんな状況での天皇皇后両陛下による二王国の議会ご訪問の意義について、静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんはこう話す。
「皇室は政治に関わらないことが原則となっています。しかし分断が進む世界で、天皇陛下や雅子さまがオランダとベルギーの議会を自ら訪れられることは、国同士の“融和”を象徴するものとして大きな意味があると思います。その国の国民を代表している議会に立たれることは、皇室と王室という“点”の交流ばかりではなく、日本国民と両国の国民との“面”の交流につながることでしょう。
天皇陛下がスピーチされるとすれば、オランダとベルギーの両国が、近代日本の発展に深く関わってきたことへの歴史的な言及と感謝を述べられると思います」
“世界でも日本でも分断は許さない”、そんなご信念を胸に、天皇陛下は雅子さまと演説のお言葉を練られているに違いない。
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