女性なら誰にでもやってくる更年期。ただ、更年期障害の有無や程度には個人差があります。


更年期障害の症状の一つに身体のダルさがありますが、そのせいでお風呂に入るのも大変だと感じてしまう場合もあるようで……。

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今回は、そんな女性のエピソードをご紹介しましょう。

不調に悩まされる日々

専業主婦の佐藤舞香さん(仮名・45歳)は、44歳の頃から身体がダルいと感じる日が多くなり、動悸やめまいに悩まされるようになりました。

「典型的な更年期の症状で、もうそういう歳だし仕方がないなと思いましたね。同年代の友人と会っても、最近は体の不調の話ばかりです。でも、『辛いのは自分だけじゃない』と安心できる良さもあるんですよ」
 
23歳の一人息子・瑛人くん(仮名)が就職を機に独立したため、舞香さんは夫の浩史さん(仮名・48歳/会社員)と2人暮らし。

「息子がいた頃は、ちゃんとご飯作って部屋も綺麗にしなくちゃと気を張って頑張れていたのですが、今は緊張の糸が切れてしまって。まるでやる気が出なくて、料理も簡単なものしか作らなくなってしまいました。私も浩史も、そんなに食べる方でもないので」

そのため、電車で30分程のところで暮らしている瑛人くんに「好物の酢豚かすき焼きを作ってあげようか?」と連絡をしては、ちょくちょく呼び出すようにしているそう。

「そうすると私たちも滅多に食べない、少し手の込んだ料理を味わえるし、やっぱり瑛人がいると話題が豊富で、賑やかに楽しく食事できるんですよね」

お風呂に入れず、ソファーで寝落ちすることも

夫の浩史さんとは決して不仲なわけではありませんが、食事を一緒にとった後は、それぞれ自室で自由に過ごすのが当たり前になっていました。

「育児に追われていた頃に何度か大喧嘩をしたことがあり、でも浩史も仕事で忙しく、私もいっぱいいっぱいで余裕がなくて。放置していたらいつの間にか夫婦の会話がなくなっていったんですよね。でもそのうちどうでもよくなって、今では特にわだかまりもないのですが……その時の延長線上で、今もそんなに話さないって感じです」

自分や浩史さんのためだけだと頑張れないのには、そんな背景もあったのです。

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風呂
舞香さんは徐々に、簡単な料理すらわずらわしくなり、お惣菜やデリバリーが増えていきました。
部屋も散らかったままで、掃除をしたくてもダルくて体が動かない。そんな日が増えていったそう。

「そのうちお風呂にも入れなくなってしまって。入ったら気持ちがいいのは分かっているのですが、その後にドライヤーをかけてスキンケアをしてと考えるととてもそんな気力は残っていなくて。化粧も落とさず、そのままソファーで寝てしまうこともよくありました」

夫からの意外な提案

そんなある日、また舞香さんがソファーで力尽きて寝ていると残業を終えた浩史さんが帰ってきました。

「そしたら、家事もろくにせず化粧も落とさないで寝ている私に、浩史が自分用に買ってきた牛丼を分けてくれたんですよ。それがなんだか嬉しくて。少し甘えた気持ちになり、つい浩史に『私は多分今更年期で、何をやるのもダルくて、お風呂に入るのも一苦労な状態で……』と自分の現状を愚痴まじりに話したんです」

すると浩史さんはじっくりと話を聞いてくれて「そうだったんだね。じゃあドライヤーとスキンケアは俺がやるから、今残ってる力は全部、身体を洗うことに使ってよ」と、お風呂を洗ってお湯を張ってくれたそう。

「まさかそんな風に言ってくれるなんて思ってもいなかったので、驚いてしまいました。そしてせっかくなのでゆっくりとお風呂に入らせてもらったんですよ」

久しぶりのスキンシップ

お風呂から出ると本当に浩史さんがドライヤーで髪を丁寧に乾かしてくれました。

「最初は気恥ずかしかったのですが、髪を乾かしてもらうのって妙に気持ちよくて……。ずっとセックスレスだったので久々のスキンシップだったんですよね」

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更年期
スキンケアは浩史さんが顔にシートパックを貼ってくれて、その後はさらに「お疲れ様」と冷蔵庫から缶ビールを持ってきてくれたそう。

「更年期の私の不調を受け止めて、しかも応援してくれるなんてと、夫の優しさが身に染みたんですよね。
その時に、自分は本当はずっと浩史に相談したり愚痴ったりしたかったけど、嫌な顔をされたり否定的なことを言われるのが怖かったのかもしれないな、と思いました」

それ以来……

それ以来舞香さんは、浩史さんとの会話が増えるとともに、家事を頑張れる日も増えていったそう。

「浩史との仲が良くなるにつれて、やっぱり美味しくて栄養のあるものを食べさせてあげたいとか、居心地の良い部屋を保ちたいという気力が湧いてきて……。ですがやはりすぐ疲れてしまうので、無理のない範囲でやっています」

そして浩史さんが、テレビを観ながら「ほら、芸能人やモデルさんたちがお風呂が面倒で何日も入らなくても、“風呂キャンセル界隈”なんていうポップな言葉で称して明るく振る舞っているんだし、舞香も全然気にすることないんだよ」と慰めてくれたそうで……。

「私は更年期が原因だからちょっと違うんだけどな、と内心思いましたが『そうだね、ありがとう』と言っておきました。きっと『お風呂に入るのが億劫なのはお前だけじゃないよ』と励ましたかったんでしょうね」と微笑む舞香さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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