春ドラマが放送開始してから1カ月近くが経過し、「これは最後まで見たい」と思えるドラマが決まってきた。ドラマ好きの筆者が最後まで見届けたいと思った4作品を紹介したい。


『銀河の一票』

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 まずは月曜よる10時放送の『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系)。2022年に同じ枠で放送され、大きな注目を集めた『エルピス―希望、あるいは災い―』を手掛けた佐野亜裕美氏がプロデューサーを務めることでも注目されている本作。

 与党の重鎮であり父親の星野鷹臣(坂東彌十郎)が過去に起こした問題を探ろうとしたために、政界を追い出された秘書・茉莉(黒木華)が、スナックのママ・あかり(野呂佳代)を都知事に当選させることを目指す物語だ。

『エルピス』の再来になるか?

 1話では、茉莉はあかりの店で、あかりや常連客が政治に無関心であることを知った時、「政治の話じゃないです。私たちの話です。手は届きます。届かなきゃダメなんです。変えられないって、変えようとしたことありますか? 政治家はえらい人じゃないです。単なる代表です」「手放さないでください、幸福追求の権利。世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はありえないんです」と涙ながらに口にするシーンがあった。

 『エルピス』同様に政治を軸に据えた内容となっているが、同作よりは有権者をドキッとさせるシーンが目立ち、こうした場面が今後も描かれることを期待したくなる。政治に関心のないあかりが、どのように「個人的なことは政治的なこと(The Personal is Political)」を捉えていくのか見ものだ。

 また、「野呂に当て書きしたのか?」と思えるほど、あかりというキャラへの安心感がすさまじい。最近では『リブート』(TBS系)をはじめ、これまでヒット作にいくつも出演するなど、順調にキャリアを築いてきた野呂ではあるが、『銀河の一票』は野呂の代表作になりそうだ。
野呂の演技にも注目したい。

『リボーン~最後のヒーロー~』

 次は火曜よる9時放送の『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)。

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画像:テレビ朝日『リボーン~最後のヒーロー~』公式サイトより
 2026年に世界的に成功している実業家の根尾光誠(高橋一生)がある日、何者かに階段から突き落とされ、目を覚ますとそこは2012年。さらには、根尾光誠ではなく、2026年に光誠が強引な手段で立ち退きを働きかけた下町の「あかり商店街」で暮らす青年・野本英人に転生してしまう。光誠は英人として振る舞いながらも、自分を突き落とした犯人を探すため、さらには商店街を立て直すために奔走する。

 ミステリー要素やSF要素、さらには『下町ロケット』(TBS系)のような人情系のお仕事モノの要素と、てんこ盛りの内容と言っていい。一見、要素が渋滞しているために、見づらさを覚えそうだが、“既視感”が逆に見やすさを与えている。

『リブート』の類似ドラマ?

 本作は言ってしまえばアニメで頻繁に描かれている“転生モノ”だ。転生モノは、転生時に何か特別なスキルが備わり、それを駆使して無双していく展開が多い。

 本作でも、光誠自身が持つビジネスセンス、さらには“未来の成功事例”を2012年に導入し、商店街を盛り上げていく。“転生モノ”で見慣れた展開になっているからこそ、親しみを持って見ることが可能だ。なにより、アニメでよく使われる設定をドラマに落とし込めている要因として、高橋の表現力が挙げられる。転生したことに困惑する高橋の演技にクスッとさせられ、ついつい設定や世界観を受容できてしまう。

 「中身が入れ替わる」という設定に加え、『リボーン』というタイトルから、前期に大ヒットした日曜劇場のドラマ『リブート』を連想し、「『リブート』のパクリじゃん」「そういうドラマはしばらくはお腹いっぱい」といった声がSNSでちらほら見られる。
ただ、『リブート』とはまた違った切り口で、『リブート』が好きな人こそ好きそうなドラマだ。

『田鎖ブラザーズ』

 金曜よる10時放送の『田鎖ブラザーズ』(TBS系)も面白い。刑事の兄・田鎖真(岡田将生)と検視官の弟・田鎖稔(染谷将太)の兄弟が毎回難事件に挑み、その一方で、公訴時効廃止の2日前に時効成立となった2人の両親を殺害した犯人を追う刑事モノだ。

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画像:TBSテレビ『田鎖ブラザーズ』公式サイトより
 真は面倒くさがりで不真面目な性格をしているが、両親がされた事件の時効が成立した過去を持つため、熱さを見せることもしばしば。岡田といえばシュッとした役どころが多いが、両津勘吉のような不真面目さを持ち、さらには被害者に感情移入する熱血漢を演じるのは珍しい。「だらしなさ」と「エネルギッシュさ」という、どちらも岡田が演じるには珍しい要素を持ち、新鮮さがある。

中二心をくすぐる染谷の演技

 一方、稔は真と真逆で、しっかりと仕事はするがどこかドライな、冷静かつ慎重な性格。こういった役を演じる時の染谷の空気感はとても心地良い。絶対的に能力が高いものの、それを安売りはせず、重要な局面でいかんなく発揮する。中二心をくすぐるようなクールガイだ。

 また、1話では無事に事件が解決したかと思いきや、ラスト数分で一気に事態が変わるなど、最後まで目が離せない展開になっている点も特筆すべきだ。ラストで急にストーリーが動き出し、ワクワク感を煽るBGMが鳴り響き、そして次回予告。視聴者心理を理解した構成となっており、翌週の放送を楽しみにさせてくれそうだ。

『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』

 最後は月曜よる11時6分放送の『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』(テレビ東京・BSテレ東)。

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画像:テレビ東京『産まない女はダメですか?DINKsのトツキトツカ』公式サイトより
 かつてドロドロ系ドラマが多かった同枠。
最近は『キンパとおにぎり~恋するふたりは似ていてちがう~』『シナントロープ』といったラブストーリードラマが続き、『夫よ、死んでくれないか』や『夫の家庭を壊すまで』のような既婚女性がメインのドラマはあまり放送されていなかったが、久しぶりに帰ってきた。

 本作は毒親の母親・愛子(西田尚美)に育てられた経験から「子どもを持ちたくない」と考える金沢アサ(宮澤エマ)が、夫・哲也(浅香航大)の「こっそり穴をあけていた避妊具を使用する」という“策”にはまり、望まない妊娠をしてしまうところから始まる。

レディコミ王道を詰め込んだ展開

 哲也から優しい言葉をかけられ、アサは出産を決意するも、哲也は想像力が欠如しているのか、妊娠中のアサへの気遣いはまったく見せない。さらには、哲也に好意がある素振りを見せる宇都宮沙也香(秋元真夏)が登場するなど、少年漫画で言うところの“友情・努力・勝利”のように、“クズ男・毒親・不倫”というレディコミの王道をギュッと詰め込んだ内容になっている。

 ちなみに、哲也が仲の良い同僚・梨田明(前原瑞樹)からたしなめられる場面も少なくない。前原といえば、昨年大ヒットしたドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)にて、亭主関白気質の主人公・海老原勝男(竹内涼真)に寄り添う後輩・白崎ルイを演じていた。勝男は無事に“更生”したが、哲也はどんどんヤバいやつになっていく。明、もとい前原の視点で、勝男と哲也という2人を比較して視聴するのも面白い。

 まだまだTVerの見逃し配信でも間に合う作品もあるため、気になる作品はぜひチェックしてみてもらえればと思う。

<文/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。
X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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