2026年3月9日放送の『有吉ゼミ』(日本テレビ系)番組後半は、大人気コーナー「工藤農園」だった。俳優活動の傍ら、農業にも従事する工藤阿須加が、作物を育て収穫する。


 元福岡ソフトバンクホークス監督である父・工藤公康との再共演回でもあった。工藤公康もまた、息子に影響されて農業を始めた。ともに農業を愛する父子共演は見応えがある。

 俳優と農業。工藤阿須加があえて二足の草鞋を履く、自分らしいスタイルとは? “イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

工藤阿須加の眼差しに感動した取材現場

 山﨑賢人主演、大人気実写化シリーズの続編『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』が3月13日から公開されているが、前作『ゴールデンカムイ』(2024年)の取材現場で、感動すべき眼差しに出会ったことをよく覚えている。

 誰の眼差しかというと、前作から引き続き、冷徹に任務を遂行する軍人・月島基役を演じる、工藤阿須加の眼差しだ。彼ほど直向きで透明な眼差しの人に出会ったことがない。約30分間の取材時間、インタビュアーである筆者はそう強く思った。

 きっと、清らかな眼差しが演じる役柄に対しても、実にフラットかつ的確な理解を促すのだろう。役作りについて彼はこう言っていた。「その人がどう生きてきたか、普段何を考えているのか、どういう人と会っているのか、実はそれが役作りに大きく反映されている」。まったくその通りだと思う。


人間性の根底にある豊かな土壌

 つまり、工藤阿須加の役作りと演技の根底では、常に俳優本人の人間性が強く影響している。

 俳優も人間である以上は、演じる役の役柄に自分の人間性が加味される部分があり、それが自然と滲む中で演技全体がまろやかに発酵する。工藤が言う役作りとは、まさにそうした過程のことではないか。

 そうやってその人にしか出せない味わいが醸される。俳優は一人ひとり、独自の発酵技術(役作りの方法)を持っている。

 当然、人間性が豊かであればあるほど、演技は発酵し、さらに熟成する。まるでワイン醸造のようでもある。醸造に必要なブドウ(その他の農産物)もまた、豊かな土壌によって育まれなければならない。

 同様に俳優にとっての土壌は人間性だといえるだろうし、その他にも実際に演技が映る、映像作品の画面だって含まれるだろう。

 2016年公開映画『夏美のホタル』で主人公の恋人役を演じた工藤は、田舎の縁側を格好のシチュエーション(土壌)として、ふと佇んでみたり、タイミングよく座ってみることでオーガニックな演技を画面上で育んでいた。

大人気農業企画で父・工藤公康と再共演

 それどころか実際、工藤は2021年から山梨県北杜市を拠点として農業に従事している。東京農業大学出身ということもあり、彼にとっては俳優との二足の草鞋がむしろ、自分らしいスタイルなのだろう。

 同年は彼の父・工藤公康が福岡ソフトバンクホークス監督を退任した年でもあり、息子に影響されて父も北杜市に農地を購入して、農業を始めた。
米や野菜、果実を特産とする北杜市は新規の就農者が多く、日本屈指の湧水など豊かな自然が豊かな土壌をもたらしてくれる。東京間を2時間ほどで行き来でき、2拠点生活者にはありがたい。

 父・工藤公康は2025年10月24日から開設したYouTubeチャンネル「工藤公康 official YouTubeチャンネル」で農作業の様子をアップしているが、息子・工藤阿須加は2022年にレギュラー化した初の冠番組『工藤阿須加が行く 農業始めちゃいました』(BS朝日)を持っている。

 さらに『有吉ゼミ』では大人気農業企画まであり、2022年には父との初共演で大根を収穫。2026年3月9日放送回の再共演では、2025年7月に植えたネギを収穫(工藤阿須加の額に流れる清らかな汗!)して父子それぞれの調理法を披露した。

 工藤阿須加のように、清らかな眼差しを持ち、豊かな自然と土壌に根差す俳優は貴重な存在だ。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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