動画投稿サイト・配信プラットフォームの「ニコニコ」恒例の一大オフラインイベント「ニコニコ超会議」が25、26日の両日、千葉・幕張メッセで開かれた。イベントには2日間で13万8228人を動員。

昨年を5000人以上上回り、2006年のニコニコ動画スタートから20年、若者文化の旗手として走り続けてきたニコニコの底力を感じさせるイベントとなった。

 いい意味で「何でもあり」のニコニコ超会議らしさは、20年を経ても変わっていなかった。その象徴が「超ニコニコ盆踊り」。アニソン、ボカロから東京音頭まで、カオスとしか言いようのないセットリスト。踊りの振りつけはあるが、参加者はペンライトを振りながらジャンプするだけでもいい。いつのまにか人の輪ができ、全員が「はい!はい!はい!はい!」と叫びながら回っている。その中心にある巨大な「超ネオやぐら」は、ネットを通じて人と人を結びつけるニコニコそのものとも言えるだろう。

 「超盆踊り」には、様々なゲストが降臨した。25日を彩ったのは、桜の木に扮し「花咲ばあさん」となった“ラスボス”小林幸子。この日だけでなく、26日には、生配信の視聴者が差し入れた具をどんどんカレーに入れていく「差し入れ超カレー」に登場するなど、2日間出ずっぱりで会場を盛り上げた。25日には鬼龍院翔(ゴールデンボンバー)が「女々しくて」を熱唱。2日目は高橋洋子が登場し、超ネオやぐらの上から歌う「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」に乗り、参加者は盆踊り風の振り付けで踊りまくった。

 ニコニコの自由空間で生み出されたものは、すべて視聴者やユーザーが作り上げてきたものだ。ニコニコ発で、ネットミームとして定着してきた独特の言い回しもたくさんある。誰に言われたわけでもない、「好きだから」作ったものが世に広まって社会に影響力を持っていった。この文化はクリエイターだけではなく、ニコニコを見ている人全員が作り上げてきたものだ。

 そういう意味では、消費者が自ら作品をクリエイトすることでコンテンツ価値を高めていく「初音ミク」のクリプトン・フューチャー・メディア(CFM)社が盛り上げてきた「CGM」(カスタマー・ジェネレーテッド・メディア)の考え方とも近い。ニコニコ超会議には、初音ミクをはじめとするバーチャル・シンガー系の出展も多いが、07年に発売された初音ミクとニコニコの成長は重なっており、両者は何かにつけて切っても切れない関係にある。超会議には、CFM社の「マジカルミライ」などでも設けられている、参加者が自由に書き込むスペース「Piaproの壁」が設置されていた。

 26日には「クールジャパン戦略」や「知的財産戦略」をつかさどる小野田紀美内閣府特命担当大臣が超会議を視察。「ここまで強くなったのは国や公的機関が応援したからではなく、作る方々とそれを愛する人たちがここまで育ててきたということ」「サポートはするけれど、いかに口出ししたり邪魔をしないように盛り上げていくか」とコメントしている。超会議を見ていると、日本の活力はまだまだ捨てたものではない。自らがやりたいことをやるという、モチベーションが発するエネルギーが、このイベントからは感じられた。

 一見、ノリで開かれているネットユーザーの内輪での盛り上がりのように見えるが、それだけではない。

自衛隊のブース出展やクリエイターが集まり自由なテーマで活動や好きなものを形にする「クリエイタークロス」をはじめ、フリーランスのクリエイターに対する報酬未払いなど法的なトラブルの相談に乗る弁護士のブースなど、硬派の企画もたくさんある。ネットはリアルと離れてはいない。ネットがリアルを支え、リアルがネットを支える、そんな関係が年ごとにできあがりつつある。

 ニコニコ超会議は今年から、従来小学生以下だった無料の年齢層を中学生まで拡大した。ニコニコのサービス開始時に生まれた子供がすでに成人し、青春時代をニコニコとともに過ごした世代はもう結婚して子供もいる年代だ。物販スペースでは、親に連れられた子供が一生懸命どんなグッズを買おうか選んでいる光景もあった。「何でもあり」ながら「親子、低年齢層にも安心」なイベントともなっている超会議は、新たなフェーズに入った。そんな印象を抱かせる、2026年のニコニコ超会議だった。

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