◆第173回天皇賞・春・G1(5月3日、京都競馬場・芝3200メートル)

 “盾男”の異名を持つからこそ、誰よりも盾の重みを分かっている。天皇賞・春で史上最多の8勝を誇る武豊騎手。

生まれの地、淀で行われる長距離王決定戦は、「子供のときから見ていて、すごい馬が勝っているなと思っていた」と、やはりなじみは深い。幼心に「伝統がある。天皇賞という響きもそう」と格式を重んじてきた。

 自身が勝利に導いたのは6頭。イナリワン、スーパークリーク、メジロマックイーン、スペシャルウィーク、ディープインパクト、キタサンブラック…時代を彩った名馬ばかりだ。「フロックとかがないレース。距離も長いし、紛れがない。本当の強さが求められるレース」。スタミナやスピードの持続力、あらゆる面で卓越していなければ、起伏の激しい3200メートルには打ち勝てない。

 今年のパートナーはアドマイヤテラ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎、父レイデオロ)。阪神大賞典を3馬身差でレコード勝ちし、満を持してG1に臨む。「ここは勝たなきゃな、と。

あのメンバーでああいうレースができたら、ああいう結果になる」。快勝も冷静に評価するが、それは期待の高さゆえだ。

 一方で、同時に進化も確信。昨年の目黒記念以来の騎乗だったが、パドックでまたがった瞬間から馬体のボリュームアップに驚いた。「厩務員さんに『あれ、大きくなった?』って言ったね。(以前は)幼くてパワーがそんなになかったし、右にささるところもあった。スタートも出るようになったね」。充実著しい5歳馬に、手応えを深めている。

 26日の読売マイラーズCは、同じ厩舎&勝負服のアドマイヤズームで勝利。戦前に描いていた「アドマイヤで友道厩舎だし、弾みになる結果を出したい」という青写真通りだ。現役最強格のクロワデュノールなどライバルは強力だが、17年以来の栄冠へ「あれから9年になるのか。勝ちたいね」と静かに闘志を燃やす。

節目のデビュー40年目。レジェンドが新たな勲章を手に入れる。(水納 愛美)

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