「なんとなく体調が悪い」「いつもだるい」「眠れない」「抜け毛や肌荒れがひどい」etc。
そんな状態が“普通”になっていませんか? 病気ではないのに心身が不調な状態を、東洋医学では「未病(みびょう)」と呼びます。


なんとなく不調な「未病」の人が増えるにつれ、東洋医学――鍼(はり)、灸(きゅう)、漢方薬、指圧、薬膳などへの期待が年々高まっています。

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そんななか、“予約の取れない鍼灸師”として注目されているのが白石明世さんです。東京・表参道の鍼灸サロン「EN body conditioning salon」で施術をするほか、著書『すごい腎活習慣』(徳間書店、2026年)や『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)などで東洋医学について発信しています。

実は、白石さん自身が、子どもの頃からずっと心身の不調に苦しんできたそう。それが信じられないくらい、今ではお肌も髪もつやつやで健康そのものに見えます。白石さんのキャリアと、鍼灸のパワーについて、話を聞きました。

「常にだるくて、生理痛は失神するほどでした」虚弱だった女性が、健康を取り戻して“予約の取れない鍼灸師”になるまで
すごい腎活習慣

子どもの頃から続いた、ひどい不調の正体

――白石さんはクラシックバレエを学ぶために20歳まで留学していたのが、帰国してはり師・きゅう師の国家資格を取り、自身の体調も劇的に改善したそうですね。
子どもの頃から体調が悪かったとのことですが、どんな状態だったのでしょうか。

「常にだるくて、生理痛は失神するほどでした」虚弱だった女性が、健康を取り戻して“予約の取れない鍼灸師”になるまで
20代の頃の白石さん。バレエの練習風景
白石:ずっと倦怠感がすごく強かったんです。どこかが痛いというわけではなく、心身ともに重だるい感じがずっとありました。小学生の頃にはもうそれを感じていたので、「自分はどこか病気なんじゃないか」とずっと思っていましたね。

子どもって基本的に疲れを知らないじゃないですか。だから自分が感じているものは普通じゃないとは思っていたのですが、だんだん悪くなっていくと、その悪さに慣れてしまって、自分がどれほどひどい状態かが分からなくなっていくんです。
患者さんを診ていても同じことを感じます。

――生理痛もひどかったそうですね。

白石:はい。毎月、失神していました、あまりにも痛くて。

――えっ、失神!?

白石:生理が来るのが怖くて仕方がなかったです。だんだんひどくなって、夜用のナプキンが1~2時間でいっぱいになるくらいの経血量が2日間続く、という状態。
肌荒れもひどいし、いつもイライラしていましたね。自分でも制御できないような怒りが爆発して、家族に当たり散らして、ほんとうに苦しかったです。パニック発作もありました。

いろいろな不調に対して、病院でレントゲンを撮ったり血液検査をしたりはしていましたが、いわゆる「病気」としては引っかからなくて。今で言う「未病」の状態だったと思います。

「魔法みたいな体験」が東洋医学への扉を開いた

――バレリーナを目指して上海やスイスに留学していた白石さんが、鍼灸師に方向転換したのは、どんな経緯ですか?

白石:20歳のときに、腰痛が悪化して帰国したんです。この腰痛も、いろいろ検査をしたのですが解剖学的には異常がなくて、結局は精神的なものが原因だったようです。

そして2010年に、鍼灸の専門学校に入って、国家資格を取りました。というのは、私の父も鍼灸師で、スポーツトレーナーなんですね。その影響もあったと思います。

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お父さん(右)は有名な鍼灸師&スポーツトレーナー
――東洋医学の威力を実感したのは、どんなきっかけでしたか。

白石:専門学校在学中のことです。中医学(中国の伝統的な医学体系)の権威の先生が学校にいらして、鍼の施術をしてくださったんですね。すると、その次の生理から、いきなり経血量が5分の1ぐらいになって、痛みもピタッっと止まった。もう本当にびっくりしました。

それに、顔の肌荒れも、勉強会でモニター患者として鍼の施術を受けたら次の日からすっと引いていったんです。こういう「魔法みたいな体験」を自分の体で何度も経験したことが、東洋医学の魅力にのめり込んでいったきっかけです。

――今振り返ると、子どもの頃からの不調の原因は何だったと思いますか?

白石:原因はひとつではないんです。東洋医学は「バランス」を考えるものなので、しいて言うなら、バランスが悪かった、ということですね。
それが、倦怠感や生理痛として表れていたのです。

特に、帰国直後は精神的な負荷がすごく大きくて、バレエを諦めて仕事もなくなって、住む場所もなくなって、という状況でした。その精神的なストレスも、鍼灸によって軽くなっていって、「性格変わったね」と言われたりします。

20代後半ぐらいからが一番元気になって、朝までオールで遊べるようになったのが嬉しかったですね(笑)。

広告も情報サイトへの掲載もなし

――資格を取ったあと、鍼灸院に勤めて、2016年にクリニックを開業したと。当初は、なかなか患者さんが来なかったそうですが、どうやって今の“予約が取れないクリニック”になったのでしょうか。

「常にだるくて、生理痛は失神するほどでした」虚弱だった女性が、健康を取り戻して“予約の取れない鍼灸師”になるまで
白石さんの鍼灸サロン「EN body conditioning salon」(東京・表参道)
白石:基本は100%口コミなんです。ポータルサイトに載せたり広告を出して集客するのは抵抗があったので、それは一切やっていなくて。最初は友達や知り合いに施術をして、その人たちが紹介を生んでくれて、さらに患者さんの口コミでじわじわと広がっていきました。

不妊治療や育毛で、口コミが広がった

白石:そのあと、大きく2つの山がありましたね。

ひとつは、コロナ前に、不妊治療の患者さんが増えたのです。
45歳で不妊治療中の知人に、施術を頼まれたのがきっかけです。それまで医師に「卵子が採れない」と言われていたのが、鍼をしてから丸い卵子が採れるようになって、スタートラインに立てるようになった。そして体外受精で無事出産されました。


その方が周りの困っている人たちを次々と紹介してくださって、だんだんと不妊治療の患者さんが増えていきました。

もうひとつの山は、育毛鍼灸です。きっかけは、純粋に興味本位です(笑)。仲のいい友人が少し薄毛で悩んでいて、「鍼で髪が生えたらおもしろくない?」とモニターをお願いしたら、なんか良くなったんですね。何人かモニターを取ったら、みんな良くなる。そうして口コミで広がっていきました。
もちろん、体には個人差があるので、誰でも必ずうまくいくとは言えないですが。

「常にだるくて、生理痛は失神するほどでした」虚弱だった女性が、健康を取り戻して“予約の取れない鍼灸師”になるまで
女性の患者さんの例。施術3ケ月での変化

生命エネルギーの根っこ「腎」とは?

――育毛については、詳しく次回の記事で伺いたいと思います。「不妊や育毛に効くツボ」って、あるのでしょうか?

白石:特定のツボではなくて、全身に鍼を打って、巡りをよくするのです。その結果、体調が良くなって、髪や卵子の変化として表れたということです。
そのカギを握るのが、私の本『すごい腎活習慣』のテーマでもある「腎(じん)」です。

――「腎」とは、西洋医学でいう「腎臓」とは違うんですか?

白石:違います、腎臓ではないんです。
「腎」は、「生命エネルギーの根っこ」のような概念です。どこかに物として存在するわけではなく、“生命システム”を支える概念なんですよね。
生殖や髪の成長などは「腎」が包括しているので、腎を整えるとさまざまな部分に変化が出てくる、という考え方です。

「常にだるくて、生理痛は失神するほどでした」虚弱だった女性が、健康を取り戻して“予約の取れない鍼灸師”になるまで
五臓
東洋医学では、「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」という言葉を使います。五臓とは「肝(かん)、心(しん)、脾(ひ)、肺(はい)、腎(じん)」で、それぞれが管轄する体・心のパートがあります。一見バラバラな不調でも、東洋医学では「腎が弱ってるな」とわかるのです。

「いつもなんとなく不調」という方に、まずは「腎」を整えることを知って頂きたいです。

――東洋医学は数千年かけて積み上げられた「経験則」で、西洋医学のように“数値で証明”するものではないので、伝わりにくい面はないですか?

白石:そうですね。ただ、いま東洋医学は世界で注目されていて、その効果を科学的に研究した論文も次々と出ているんですよ。私も、東洋医学の力を、世界に発信していきたいのです。

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WHO(世界保健機関)も「鍼灸治療の適応症」として40以上の疾患が挙げているなど、世界で取り入れられている鍼灸。なかでも、白石さんは「育毛鍼灸師」を名乗るほど、育毛で実績を出しています。
育毛と腎の関係についても、さらに聞きたいと思います。

<白石明世 取材・文/女子SPA!編集部>

【白石明世】
EN body conditioning salon合同会社代表/鍼灸師。
5歳よりクラシックバレエを始め、14歳から中国・上海京劇学院、17歳からスイスのルードラ・ベジャール・バレエ学校に進学。20歳で腰痛をきっかけに帰国後、2011年に東京衛生学園鍼灸専門学校に入学し、はり師・きゅう師の国家資格を取得する。2016年に原宿で開院、2022年に表参道・骨董通りへ移転し「EN body conditioning salon」に改名。「ザ・ペニンシュラ東京」のパートナーとして、ホテル内スパでの施術も行う。各種メディアにも多数登場、著書に『すごい腎活習慣』(2026年、徳間書店)。
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