新卒から18年半、テレビ朝日のアナウンサーとして、報道、スポーツ、バラエティなど多岐にわたる番組を担当してきた大木優紀さん(45歳)。

 40歳を超えてから、スタートアップ企業「令和トラベル」に転職。
現在は旅行アプリ「NEWT(ニュート)」の広報を担当。さらに2025年10月には、ハワイ子会社「ALOHA7, Inc.」のCEOに就任し、家族とともにハワイへ移住。新たなステージで活躍の場を広げています。

 第46回は、ハワイで人気のスポーツ「ピックルボール」について解説します。(以下大木さん寄稿)

ハワイで大人気のスポーツピックルボールとは?

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 皆さん、「ピックルボール」というスポーツをご存じでしょうか?

 半年前にハワイに引っ越してきて以来、驚くほど頻繁にこのスポーツを目にすることになりました。

 ピックルボールはアメリカでここ数年、非常に人気を伸ばしているラケットスポーツ。テニス、卓球、バドミントンの要素を掛け合わせたような競技で、ルールがシンプルでラリーが続きやすいのが特徴で、老若男女を問わず楽しめるのが人気の秘訣。

 全米プロピックルボール協会の調査によると、アメリカでは2023年時点で約5000万人が1回以上プレーしていると言われています。そして、今、このブームはじわじわと日本にも上陸中。テレビで特集される機会も増え、「最近始めた」という人を周囲で見かけることもあるかもしれません。

 運動不足解消や新しいコミュニティ作りとしても注目されていて、まさに、次に来るスポーツとして存在感を高めています。

ハワイは“ピックルボール先進地”

 特にここハワイでは、その熱狂ぶりがかなり印象的です。アメリカの中でも“ピックルボール先進地”と言われるほど人気が高く、街のあちこちでプレーしている風景を見かけます。

 驚いたのは、公共スポーツ施設の変化。
ハワイには誰でも利用できる広々としたパブリックコートが多くあるのですが、最近では、自治体の方針として、従来のテニスコートをピックルボール用に張り替える動きが加速しているんです。

 ラケットスポーツの王道ともいえるテニスコートが次々とピックルボール仕様に変わっている。これは、いかに歴史的な出来事かと感じます。

 実際、公園の案内をみると、「○○公園のコートを2面ピックルボール用に変更し、ネットを常設化」といった情報が次々と掲載されています。ホノルル空港近くの大型コートでは、なんと12面ものピックルボールコートが整備され、連日多くの人でにぎわっているそうです。

 以前はテニスコートのネットが貼ってあったようなコートでも、現在はネットは外してあって、ピックルボール利用者が自分でネットを持ってくるというスタイルが一般化しています。

 実際に私の家の近所にも、もともとテニスコートだった場所にピックル用のラインが引いてあるコートがあります。ただ、ネットを持参しなければならない。それを不便に感じる人も多いようです。

 そのため、最近ではテニスコートそのものをピックルボール専用へ改修し、常設ネットを設置するケースが増えているのです。テニス中心だった景色が少しずつ変わってきている――それが今のハワイ・オアフ島のリアルな空気感です。

ピックルボールのルールと人気の理由

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ピックルボールのパドルとボール
 ピックルボールに馴染みのない方も多いかもしれません。ピックルボールは、テニスの戦略性に、バドミントンの手軽さ、さらに卓球のような繊細さを掛け合わせたようなスポーツと言われています。


 コートのサイズは、テニスコートの3分の1ほど。使うのは、表面に小さな穴がたくさん開いたプラスチック製のボールで、見た目は“大きな穴あき卓球ボール”のような感じです。実際に打つと、「カコン、カコン」と独特の軽やかな音が響きます。

 この“穴”が実はポイント。空気を通してしまうので、テニスボールほどスピードが出ません。だからこそ、私のように長らく運動から遠ざかっていた人間でも、始めて30分ほどでラリーが続き、なんとなく試合らしいものが成立してしまうんです。

 この「すぐ楽しめる」という手軽さこそ、人気の理由のひとつ。ハワイでは健康志向の人が多く、シニア世代もとてもアクティブですが、ピックルボールは体への負担が比較的少ないスポーツとしても支持されているようです。

 ピックルのコートは、テニスコートほど広くないため、走り回る必要もありません。腰や膝への負担も抑えつつも、本気の勝負ができる。そのバランスが、多くの人を虜にさせているスポーツなのかもしれません。

家族で始めてみることに

 実は私たち家族も、ハワイに来てあまりにもピックルボールが流行っているので、「家族4人でダブルスができたら楽しそう!」と思い、思い切って始めてみることにしました。

 始めたいと思ってもどうやってやるのか、さっぱりわからず。
ちょうどそんなとき、公園局が公営コートで開催している初心者向けの無料講座があったので、申し込んでみることに。私と夫は大人コース、子どもたちは子どもコースに分かれ、週1回・全10回ほど、基本を教えてもらいました。

 コーチは、地元のおじいちゃん先生。穏やかな雰囲気なのかな……と思いきや、意外にもスパルタコーチでした(笑)。

 実際にやってみると、ピックルボールは気軽に始められる一方で、かなり戦略性の高いスポーツでもあるんです。

 特にダブルスでは、「どこに立つか」がとても重要。初心者は、サーブを打ったあとにしっかり前へ詰めなければならないとのことなんですが、私がぼーっと後ろに立っていると、コーチからすかさず、「カムイン~!!(中に入れ~!)」と大声で注意が飛んできて(笑)。

 どこにボールを打つのか。相手はどこへ返してくるのか。そんなことを瞬時に考えながら動く必要があり、見た目以上に頭を使うスポーツなんだなと実感しました。

“簡単に始められるのに、やればやるほど奥が深い”――。ピックルボール人気の理由は、そんなところにもあるのかもしれません。


ひとりでフラッと来てもプレイできる気軽さも魅力

 もうひとつ、ピックルボールが人気の理由はまさに、コミュニティの力です。

 ピックルボールにはオープンプレイという文化があって、ひとりでコートに行ってもパドル(ラケット)をネットに立てかけて順番を待っていれば、知らない人ともチームを組んで試合ができる仕組みがあるんです。

 普通、テニスやバドミントンをしようと思うと、事前に仲間を集めて、コートを予約して……と、なかなか準備が必要ですよね。

 ハワイの公営コートには、フェンス沿いに「パドルホルダー」と呼ばれる待機スペースが設置されている場所があります。プレーしたい人は、そこに自分のパドルを立てかけて順番を待つ仕組み。コートの利用時間も、「1ゲーム45分まで」といった形で決められていて、時間になると次の人へ交代します。

 面白いのは、そのパドルホルダーが“順番待ち”だけでなく、“仲間募集”の役割も果たしていること。

 例えば、一緒に並んでいた人と4人になって「一緒にやります?」とその場でチームを組み、即席でダブルスを始めることも珍しくないそうです。

 私はまだその輪に飛び込んだことはないのですが、現地の方々は、即興でチームを組んで楽しんでいる。そうやって人々の交流の場にもなっているそうです。

スポーツは言葉の壁を超える!次のハワイ旅は「ピックルボール」

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大木優紀さん
 全米、そしてハワイで、今年さらに加速すると言われているピックルボールブーム。日本にもその波は確実に届き始めています。まずは日本で気軽に始めてみる、というのも面白いかもしれません。


 そしてハワイに来たら、ピックルボールを通して現地の人との交流を楽しんでみる。そんな過ごし方も、これからのハワイ旅の新しい魅力のひとつになっていきそうです。

 英語に自信がなくても、「ナイスショット!」と言って親指を立てれば、自然と仲間になれる。スポーツには、言葉の壁を越えて人をつなぐ力があります。

 次回のハワイ旅行には、水着とサンダルだけではなく、日本でパドルを揃えて、持参するのもいいかもしれません。

<文/大木優紀>

【大木優紀】
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母
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