(台北中央社)閉鎖された空間からの脱出を楽しむ「脱出ゲーム」を運営する台北市内の店舗で10日、首をつった幽霊に扮した従業員の女性が窒息した状態で見つかり、病院に搬送されたが、15日に死亡した。遺族と従業員らは同日、市内で記者会見を開き、市に対し、脱出ゲームの会場の安全基準を見直し、明確な規定を設けるよう求めた。


10日夜7時40分ごろ、信義区の脱出ゲーム店で従業員の女性が心肺停止状態になっているとの通報が警察や消防に入った。女性は病院に緊急搬送され、一時は心拍が戻っていたが、15日午前に死亡した。女性は首つりの幽霊役を演じており、何らかの原因で、ロープにつるされたまま身動きが取れなくなったとみられている。来店客や従業員が異変に気付き、現場に入ったところ、窒息状態の女性を発見した。

遺族は11日までに事業者を告訴し、警察は過失傷害罪と過失致重傷罪の疑いで台湾台北地方検察署(地検)に送致していた。市労働局は11日、店舗に営業停止を求めたとし、必要な事故防止策が取られていなかったとして、最大30万台湾元(約150万円)の過料を科すと説明した。

記者会見に出席した遺族が読み上げた女性の母親の声明によれば、女性は29歳で、約3年にわたり同店で勤務していた。この産業が好きで、いつも全力で役を演じていたという。

かつて女性と同様の仕事をしていたという元従業員は、自身も首つり状態になって意識を失ったことが複数回あったと証言。会場は真っ暗で演者しかおらず、監視カメラも設置されていなかったとし、体制の不備を指摘した。

女性の兄は真相究明を求めた上で、事故防止措置における事業者の過失を調査するよう司法機関に求めた。また、市に対し、店舗の開業以来10年近くにわたり、市の検査で違反が見つかっていなかったことへの説明や、脱出ゲームや体験型ゲームを行う会場の安全基準の全面的な見直しと明確な規定の策定を呼びかけた。


記者会見に同席した与党・民進党の台北市議候補、陳聖文氏は、現在は検察や警察による検視を待っている段階だとし、今後、弁護士を通じて事業者の責任者に対し、刑事過失致死罪を追加告訴する方針を示した。

(劉建邦、楊淑閔、黄麗芸/編集:名切千絵)
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