ロッキード・マーティン社とカルスパン社が共同で開発した空のサイボーグは「VISTA X-62A」という。
「Variable In-flight Simulation Test Aircraft(可変飛行シミュレーション試験機)」の頭文字をとったVISTAには、さまざまな機体の性能を模倣するソフトウェアが搭載され、無人で飛行することができる。
カリフォルニア州エドワーズ空軍基地で行われた試験飛行では、2機のAI制御戦闘機でドッグファイトも行われたとのこと。
現代の空軍が抱える新機体開発の問題の解消と、最先端人工知能の開発を同時に進める、一石二鳥のツールであるそうだ。
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Artificial Intelligence Successfully Piloted The X-62A VISTA
現代の戦闘機における問題点 現代の戦闘機の問題の1つは、その開発期間だ。
第二次世界大戦の伝説的な戦闘機「スーパーマリン・スピットファイア」はわずか3年で完成したが、現代のステルス戦闘機「F-35 ライトニング II」は20年もかかっており、最初の機体が納入されるころにはすでに時代遅れになってしまった。
くわえて、さまざまな機体を操縦できる優秀なテストパイロットを育てるのも手間と時間がかかる。
特に現代の空軍は、戦闘機の開発・維持コストが膨大であることから規模が縮小傾向にあり、それがいっそうテストパイロット不足に拍車をかけている。
可変飛行シミュレーション試験機「VISTA」はそうした問題を解決する最先端ツールとして期待されている。
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F-35 ライトニング photo by iStock
AIが操縦する、最先端の自律制御システム VISTA X-62Aは、「F-16D Block 30 Peace Marble Il」をベースに「Block 40」の電子機器を組み込んだ機体だ。
もともとの名称は「NF-16D」だったが、2021年6月に米空軍に正式に承認されたことから、「X-62A」と改名された。
VISTAのシステムは、自律型飛行アルゴリズムの開発と統合を主眼としたものだ。
そこに搭載される代表的なシステムとして、カルスパン社が開発した「VISTAシミュレーションシステム(VSS)」、ロッキード・マーティン社の「モデル追従アルゴリズム(MFA)」や「シミュレーション自律制御システム(SACS)」などが挙げられる。
SACSの中枢にあるのは、通称「アインシュタイン・ボックス」と呼ばれる戦闘機用システムで、古いシステムを連携して全領域でデータを共有することができる。
またコックピットの前方と後方には、最先端センサーとゲタック社製のタブレットディスプレイが搭載されている。
こうしたシステムのおかげで、VISTA X-62Aはただ機体性能が上がっただけでなく、ソフトウェアの変更に対しても迅速かつ柔軟に対応することができるようになった。それは開発のスピードアップや試験飛行回数の増加につながるものだ。
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image credit:DARPA戦闘機とAI(人工知能)の開発を進める空軍 このところ目覚ましい発展を遂げているAIは、国防にも関連すると言われる。もちろんVISTA X-62Aもただ戦闘機を開発するテスト機ではなく、AI開発も念頭に置いたものだ。
「VISTAは、最先端の人工知能技術の開発と試験を、新しい無人機の設計と同時に進行させることができます」と、米空軍テストパイロット学校のクリストファー・コッティング博士は話す。
つまりは新型機体を集中的に試験飛行しつつ、それを通じて無人機を操縦するAIまで鍛えられるということだ。それは米軍の戦闘機がいっそう恐ろしい性能を獲得するということだ
追記:(2023/02/19)タイトルを一部訂正して再送します。
References:
・VISTA X-62 Advancing Autonomy and Changing the Face of Air Power
・ AI takes control of tactical aircraft for over 17 hours in world first
/ written by hiroching / edited by / parumo
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