オランダの首都アムステルダムにあるNEMO科学博物館で、「絶滅したマンモスのミートボール」が公開された。
オーストラリアの培養肉企業「Vow」によって作られたこの古代のジビエは、ケナガマンモスのタンパク質のDNAを実験室で培養したマンモスのお肉だ。
今のところ試作段階だが、焼いた香りはワニ肉のようだったとのこと。いつか一般家庭の食卓にも上るかもしれない、過去からやってきた未来の食材なのである。
実験室で培養された古代ジビエ「マンモスの肉」 釣鐘のようなガラスケースの下からお披露目されたのは、こんがりと焼かれたマンモスのミートボール。香ばしい香りがこちらにまで伝わってくるようだ。
この肉は、マンモスの「ミオグロビン(筋肉に含まれるタンパク質)」のDNA配列を解析した結果に基づいて、数週間かけて培養されたものだ。
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実験室で作られたマンモスの培養肉 / image credit:Vow/Wunderman Thompson
永久凍土で発見されるマンモスの遺体は、数千年が経過してもかなり保存状態がいいことがある。とは言っても、そうした遺体のDNAはやはり完全ではなく、ダメになっている部分もある。
そこでそうした欠けた部分は、マンモスと共通の祖先をもつ「アフリカゾウ」の遺伝子で補われる。これを電流を利用して羊の細胞に挿入する。
今回のマンモスのミートボールは、この細胞を培養して大きく育て上げたものだ。
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Australian start up unveils ‘mammoth meatball’ made from mastodon geneticsワニのようなワイルドな香り、そのお味は? 気になるお味だが、安全の検査がまだなので、今のところ食べることはできないという。
「この4000年間お目にかかることのなかったタンパク質なので、今のところは食べません。ですが、安全性が確認されれば、どんな味がするのか興味津々ですね」と、クイーンズ・ランドン大学 アーネスト・ウォルベタン氏は語る。
ただし、お披露目されたお肉は、オーブンでじっくりと火を通した後、バーナーで焼き目がつけられている。なんでも、そのときの匂いは焼き上げたワニ肉に似ていたそうだ。
培養肉ということもあって、気になる安全性だが、きちんと管理された施設内で培養されるので、普通の家畜よりもむしろ安全であるそうだ。
「汚くて予測がつかない動物のお肉と違って、培養肉は衛生的な食品製造施設で生産されます。ですので、培養肉は食中毒菌や抗生物質といった汚染物質から予防されています」と、代替タンパク質の専門家クリストファー・ブライアント氏は語る。
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実験室でマンモスの培養肉を作成する研究者 / image credit:Vow/Wunderman Thompson過去からやってきた未来のお肉 ちなみに培養肉自体がそれほど一般的ではないのに、あえてマンモスという変わり種のお肉を選んだのは、「マンモスが温暖化のシンボル」であるからだそう。
マンモスが絶滅したのは、人間による乱獲と氷河期が終わり温暖化を迎えたことだと考えられている。
そして今、私たち人類は同じような温暖化の脅威に直面している。これを避けるために、私たちは食生活を変える必要があると、Vowの共同設立社ティム・ノークスミス氏は訴える。
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「大規模な農業や食べ方を変えるなど、これまでとは違うやり方をしなければ、私たちは同じ運命に直面することになります」(ノークスミス氏)
国連食糧農業機関FAOによると、世界の肉消費量は1960年代初頭からほぼ倍増している。そうしたお肉を供給する畜産業から排出される温室効果ガスは、世界全体の14.5%を占めている。
持続可能な食の未来を見つめるVow社は、その第一弾として年内にもウズラの培養肉をシンガポールで発売する予定であるとのこと。
私たち誰もに関係していることだからこそ、どうするべきかよく考えて選択していきたい。過去からやってきたマンモスのお肉は、そんなことを考えさせる未来の食材かもしれない。
References:Company Serves World's First 'Mammoth' Meatball, But Nobody Is Allowed to Eat It : ScienceAlert / Gene Hackers Create Meatball From Resurrected Mammoth Meat / written by hiroching / edited by / parumo
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