イカだと思ったら… 釣り用ルアーが口に刺さった状態の赤ちゃんアザラシを救助
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 アメリカ・カリフォルニア州のビーチを歩いていた人が、1頭のキタゾウアザラシの赤ちゃんを見つけた。

 口元にはイカのようなものがくっついており、最初は「餌を食べているのだな」と思ったが、実はとても危険なものだった。

 アザラシが口にしていたのは釣りで使うゴム製のルアーで、釣り針ごと口に刺さってしまっていたのだ。

 発見者はすぐに地元の保護団体に通報。赤ちゃんは無事に保護され、手当てを受けながら自然に帰る日を待っているという。

イカをくわえた赤ちゃんアザラシ?

 カリフォルニア州サンタバーバラのホープランド・ビーチを訪れていた海水浴客が、口にイカのように見える何かを咥えたアザラシの子供を見つけた。

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 最初は「うまく餌を見つけたんだな」と思ったが、よく見ると何かがおかしい。

 アザラシの口に引っかかっていたのは、イカでもなければ食べ物ですらなかった。

 それはゴム製の釣り用のルアーだ。

 餌と間違えて、パクッとやってしまったのだろう。ルアーについた針が口に刺さり、外れなくなっていたのである。

 状況を理解した発見者は、すぐに地元のチャンネル諸島海洋野生生物研究所(CIMWI)[https://www.cimwi.org/]のホットラインに通報した。

 ボランティアの救助チームがビーチに駆けつけ、アザラシを保護してCIMWIの施設へと搬送。施設につくと、ただちに口に刺さった針が取り除く治療が行われた。

狩りを学んでいる子供にありがちな「誤認」事故

 このアザラシは、生後2~3か月とみられるキタゾウアザラシの赤ちゃんで、ちょうど狩りを学んでいる最中だった。

 この時期のアザラシの子供たちは、狩りの経験の不足から、レジャー用の釣り具を餌と誤認してしまいやすいという。

ゴム製の釣り用ルアーをイカと間違えて食べてしまった偶発的な出来事だったのでしょう

 CIMWIのマネージングディレクター兼共同創設者であるルース・ドーバー氏は、ルアーが口に刺さっていた理由についてこのように推測している。

 ドーバー氏はまた、このような「誤認」が、深刻な医療的問題につながる可能性を懸念しているという。

 アザラシの生息地では釣り具の扱いは慎重に、目の届かないところに保管したほうがよい。また使用の際も十分に配慮するべきだろう。

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手当を受けて野生に帰るための訓練中

 このアザラシの子供は、同施設で現在「30番」と呼ばれている。今年CIMWIに保護された、「30頭目」の鰭脚類の患者という意味だ。

CIMWIの患者には名前はつけず、番号で管理しています。彼らは野生動物であり、ペットではないからです。

私たちの目標は獣​​医療とリハビリテーション、そして健康な体を取り戻すために必要な栄養を与えた上で、この「環境の指標となる動物たち」を野生に戻すことなのです

 幸いなことに、「30番」は適切な手当てを受け順調に回復しており、現在は餌の食べ方を学ぶために「魚学校」に通っているそうだ。

 ここではスタッフが「30番」に、1日に2度「補助給餌」を行っている。手で魚をアザラシの口に入れ、喉の奥に置いてやることで、飲み込む方法を学ばせているのだ。

 また、すりつぶした魚に高カロリーのサーモンオイルと水を混ぜたスムージーを、チューブで与える給餌も行われている。

 このアザラシが最初に保護されたとき、体重は約34kgだった。

キタゾウアザラシの赤ちゃんは大抵、数ヶ月間CIMWIの保護下で過ごすという。

 そして体重が約90kgを超えるころ、野生に帰すのを目標としているそうだ。

 「30番」には、まだまだたくさん食べて大きくなってもらわなければならない。

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野生の生き物であることに配慮した保護活動

 CIMWIはサンタバーバラ郡とベンチュラ郡を対象に、病気やケガ、栄養失調で助けが必要な個体、親とはぐれた子供、網などに絡まったり、油で汚染されたりといった状態にある海洋哺乳類を保護し、野生へ戻す活動を行う非営利団体である。

 現在、今団体では年間で平均約225頭の海洋哺乳類を救助しており、2026年はこれまでに60頭以上を保護したとのこと。

 その中には「30号」のように、離乳期や最初の換毛期に体重が落ちすぎたキタゾウアザラシの子供も含まれている。

 再導入を確実に成功させるため、野生に帰すときは1頭ずつではなく、同じ種の動物たち複数を同時に放流するようにしているという。

 今回の「30番」のアザラシも、同じく保護されているアザラシの仲間の「27番」と、すぐに仲良くなったそうだ。

 こちらは集中治療室を「卒業」して、リハビリをしている赤ちゃんたち。他にもプールはあるのに、全員がこの小さなプールでひしめき合ってしまったんだそう。

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 また、同団体の施設で保護されている動物たちは、「アザラシ用手押し車」に乗って体重測定に向かうんだとか。

 これにより、野生動物と人間が直接接触する機会を減らせるほか、飼育員もアザラシを体重計の上でじっとさせておく必要がなくなるという。

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巨体を誇るアザラシも子供時代には危険がいっぱい

 キタゾウアザラシ(学名:Mirounga angustirostris)は、北太平洋に広く分布する大型の鰭脚類である。

 12~3月にかけての繁殖期から夏場の換毛期にかけて、主にカリフォルニア沿岸の砂浜に集まって過ごす。

 オスは最大で体長が4m以上、体重は2トン近くに達する一方、メスは体長約3m、体重も400~900kg程度と一回り小型である。

 赤ちゃんは離乳するまでは黒っぽい色をしているが、その後は換毛して淡い銀色になるという。「30番」は白っぽい色をしていることから、離乳は済んでいると思われる。

 イカや魚を主食とし、通常は300~800m、時には1000m以上の深海に潜って捕食する潜水能力を持つ。

 一時は絶滅の危機に瀕したが、20世紀に入ってから本格的な保護が行われるようになり、現在では10万頭以上にまで生息数が回復しているとみられている。

 外洋を広く回遊する習性がある反面、人間の世界に近い場所で過ごす時間も長いことから、若い個体は特に今回のような被害を受けやすいとされている。

 今回の「30番」の痛々しい姿は、釣り針や釣り糸、漁網などを決して放置してはならない理由を、改めて思い起こさせてくれる事例となるだろう。

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一般人がアザラシに直接触れることは法律で禁じられている

 アメリカではアザラシやイルカなどは海洋哺乳類保護法で保護されていて、一般人が勝手に触ったり移動させたりすることは禁じられている。

 そのためCIMWIでは、ビーチを訪れた海水浴客がアザラシの目撃情報を通報できる「ホットライン」を設けている。

 また、アザラシの子供は一見ぐったりしていても、実は正常な休息行動のことも多いんだそうだ。

 そんなとき不用意に人間が近づいてしまうと、ストレスを与えるだけでなく、近くにいるかもしれない親と離れ離れになる原因にもなりかねない。

 だから現地ではアザラシを見つけても、「スクールバス1台分くらい離れていろ」とよく言われたりもする。

 下は今年に入ってCIMWIが救助した、アシカやアザラシの赤ちゃんたち。

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 今回通報してくれた発見者が、細心の注意を払って「30番」から距離をとっていてくれたことに、CIMWIは感謝の言葉を述べている。

 ケガをしたアザラシを見つけた場合、みだりに触れたり助けようとしたりすることは避け、すぐに通報して専門家に任せるのが正解であり最善策なのだ。

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References: Cimwi[https://www.cimwi.org/]

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