海外の匿名巨大掲示板redditで、1本の短い映像が話題になっている。舞台はどこかのショッピングモールにあるイベント会場らしき場所。
ヒューマノイドAIロボットがデモンストレーションを行っているのだが、その背後に立つ男性スタッフの手元へ、視聴者の視線が集まった。
スタッフは両手を背中側へ回し遠隔操作している感じなのだ。
「コントローラーを操作している?」「ロボットじゃなくてラジコンでは?」といった反応が相次いでいる。
コントローラーを後ろ手で隠して操作中?
まずは問題の映像を見てもらおう。ロボットが女性客と向き合って、握手したり挨拶したりといったデモンストレーションを見せているのだが…。
手前に写っている男性スタッフの手元には、コントローラーのようなものが握られており、指で操作しているように見えないだろうか。
むろん、この動画だけで断定することはできないが、後ろ手でさりげなくやっているところがちょっと怪しい。
デモンストレーションを行っているのは、中国の「ユニツリー・ロボティクス(Unitree Robotics[https://www.unitree.com/])」社のロボット「G1」のようである。
G1は2024年に公開されたヒューマノイド型AIロボットで、身長約127cm、重量約35kg。歩行やジャンプ、バランス制御、簡単な模倣動作などが可能だという。
ユニツリー社はApple Vision ProやMeta Quest 3を利用した遠隔操作システムを公開[https://github.com/unitreerobotics/xr_teleoperate/blob/main/README_zh-CN.md]しており、VRヘッドセットやモーション追跡を利用し、人間の動きをロボットへ反映する仕組みも紹介されている。
ただし、今回の動画に写っているコントローラーはゲームパッドタイプのようで、これでどんな操作をしていたのかは、映像からでは読み取れない。
ロボット全体を直接操縦していたのかもしれないし、単に「歩く」「握手する」「手を挙げる」といった、動作モードの切り替えを行っていたのかもしれない。
あるいはロボットが観客に近づきすぎたり倒れそうになった時に制止するための、安全補助のみを行っていたのかもしれない。
ヒューマノイドを人間が遠隔で「補助」することは実は珍しくない
この映像を見たreddit民たちは、ジョークを交えつつも活発な議論を繰り広げていた。中には専門家らしきユーザーの意見も混ざっている。
- 中国ってきちんとやる気はなくて、「ほら、うちもできるぞ」って見せたい感じがする
- いや、ロボット関連企業はどこも似たようなことやってるよ。中国はそれを大規模化しただけ。資本主義を極めた感じだな。違うのは、中国では一般大衆や国威発揚向けの「見せ物」としてやってる一方で、アメリカ企業は潜在的な投資家向けにこっそり見せて、人力で裏で操作してるって気づかれないようにしてる点かな
- 今って全部そんな感じだよね。「AIで動いてる」って思ってるロボットも実際は違う。街を走ってる配達ロボ見たことある? あれも遠隔で誰かが操作してるんだよ
- 買った後で、「コントローラー必要なんて聞いてないんだけど?」ってなるやつだ
- でもさ、人間が操作してるとしても、それはそれで凄くない?
- AI = Artificial Interaction(人工的な交流)ってことか
- 実際にこういうAIを訓練してる人間として言うけど、ロボットを動かしてるのはAIだよ。コントローラーは「どっちへ行くか」を指示するだけ。バランス制御はAI側がやってる。ロボットって普通はそういう仕組み。特定のタスク専用に訓練されていない限りね
- そのうち間違ってチートコード入力して、ロボットがAKを取り出しそう
- みんな「ロボコップ」見過ぎだろ
- 別におかしくなくね? テスラの自動運転にマニュアルオプションがあったり、無人運転の電車に運転席があったりするのと同じだろ
- これ、逆に「ミスリード」の可能性は無視してない? この会社が本当に自社の技術を信じさせたいなら、コントローラーを持った人間をロボットの近くに配置したりしないだろ。
屋根裏とかバルコニーとか、もっと高い場所とか、見えない位置から操作するはずじゃない?- これは「遠隔操作」って呼ばれる一般的なやり方だよ。こういうロボットは「フィジカルAI」を使ってるんだけど、普通のAIより訓練がずっと難しい。握手してる3D動画を見つけてくれば済む、って話じゃないからね。中国をネタにするのは勝手だけど、この動画と文脈は研究者を軽視し過ぎだと思う
- 偏見や政治活動、あるいは意図的な煽りで、誇張や作り話が混ざることも普通にある
- この人、別に操作してるわけじゃないだろ。バグった時のオーバーライド担当だよ
- ロボットのお世話係だな。暴走した時に止める役か、ちゃんと動くか監視してるんだろ
- 完全に人間から独立したヒューマノイド型ロボットなんて、まだどこの国にも存在しない。AIが本当の意味で自我を持たない限り、人間の制御から完全に離れることはできないんだ。中国は依然としてこの分野ではトップだけどね
この映像だけで、本当にスタッフがロボットを直接操作していたのかを断定することはできない。
ただ、現在のヒューマノイド型ロボットの開発において、遠隔操作や人間による補助そのものは珍しいものではないという。
同様の映像は2025年10月にもSNSで話題になっており、この時もUnitree社のロボットを、後ろ手に持ったコントローラーで操作している様子がとらえられていた。
人間は「きっかけ」を与え、AIが動きを制御する
蘇州にあるロボット企業の研究者は、こういった遠隔操作機器を「コンピューターで言えばマウスやキーボードのようなもの」だと説明している。
つまり、人間がロボットの関節を一つひとつラジコンのように動かしているわけではなく、「歩く」「方向転換する」「踊る」といった動作モードを選択し、その後の細かな歩行制御やバランス制御は、ロボット側が処理しているとのこと。
リモコンの各ボタンには、それぞれ異なる機能が割り当てられている。人間がボタンを押すと、その信号を受け取ったロボットの内部では、対応する神経ネットワークが起動して、自律的に動作を実行する。
たとえば「歩行」させたい場合、人間側からはただ「歩け」という指示だけを出す。その後、実際にどう足を動かし、どうバランスを取るかについては、ロボット側が判断しているのだ。
また、以前は「ダンス」をさせたい場合、大量の細かい命令を、人間が逐一送る必要があった。
だが今では「ダンス」という指示さえ与えれば、その後の運動制御はロボット側のAIが実行する段階へ移りつつあるのだそうだ。
つまりヒューマノイド型ロボットの開発において、現段階では「完全に自律したAI」と「人間による補助操作」は、完全に切り分けられているわけではないんだとか。
今回のようにコントローラーを操作している様子だけを見ると、「中国のAIロボットは、実は人間が操作していた!」と早合点してしまいがちだ。
しかし実際は、どこまでを人間が補助しており、どこからがAIのみによる制御なのかという境界線の見えにくさを、象徴している映像だったと言えるだろう。
References: China's Ai robot[https://www.reddit.com/r/UnfilteredChina/comments/1tl8clg/chinas_ai_robot/]











