近年は日本でもクマが民家の近くに出没し、人的被害も増えているため、クマと聞いても無邪気に「かわいい」と思えなくなっている現状がある。
アメリカ・カリフォルニア州カラバサスで、2頭のアメリカグマが地元の学校に侵入を試みる様子が撮影された。
この映像はSNSで拡散され、地元住民の間からは「以前からこの界隈で見かける一家だ!」「学校に通うつもりなの?」といった声も聞かれている。
クマたちは結局、そのまま学校の敷地を通り抜けて森に帰っていったようだが、人間の生活圏に現れるようになった彼らといかに共存していくかは、アメリカでも大きな課題となっているようだ。
学校のフェンスを乗り越えるクマー
2026年5月26日、カラバサスを通っていた通勤途中の女性が、モルホーランド・ハイウェイ沿いにある学校付近で2頭のクマの姿を撮影し、SNSに投稿した。
ラヤ・ホフマンさんがSNSで共有した映像には、2頭のクマが学校のフェンスに近づく様子が写っている。
ラヤさんがこの動画を撮影したのは朝の6時ごろ。クマたちは駐車場をうろついた後、フェンスを越えて学校の敷地内に侵入しようとしていたようだ。
1頭が先に乗り越え、もう1頭も後に続こうしたのだが、うまく行かずにあきらめて地面に下りるところまでが写っている。
ラヤさんはこの状況を911(日本の110/119番にあたる)に通報したが、その後クマたちがどうなったかは不明である。
ロサンゼルス郡保安官事務所によると、通報を受けて保安官補が現場へ向かっていたものの、その後出動指令が取り消されたため現場確認は行われなかったという。
また、現場となったビューポイント・スクールの広報担当者は、始業の約2時間前に正門付近でクマの目撃情報があったことを認めた。
その後、校内の安全・警備チームが敷地内を点検したが、結局学校内でクマの姿は発見されなかったという。
学校側はクマたちがキャンパスを出て、隣接して走るモルホーランド・ハイウェイを横断するのを目撃したとも話している。
ビューポイント・スクールは幼稚園~高校まで一貫教育の私立学校で、もしあと2時間遅かったら、たくさんの子供たちが校内にいた可能性がある。
何事もなくクマたちが森へと去っていったことは、双方にとって幸いだったと言わざるを得ないだろう。
実は地元ではよく知られたクマ一家だった?
この映像はネット上で大きな話題を呼び、多くのメディアやSNSに転載されて、地元の人たちからのコメントもたくさん寄せられている。
- 教師をしている者としては、「学校から出ようとして」じゃなくて「学校に入ろうとして」フェンスを越えるってのは新鮮だね
- クマたちが殺されないことを願う。山は彼らの家なんだ。人間の方が後から入り込んだんだから
- 何人の子供が傷つけられたら、クマに対処すべきだと思うんだ?
- ここは彼らの世界で、私たちはそこに住まわせてもらっているだけだよ
- 私が子供の頃、学校にピューマが現れたことがあったんだ。学校側は用務員さんにホウキで追い払わせたんだよ。私たちは教室の窓から大騒ぎしながら見てたっけ
- これはトッパンガのアメリカグマ一家だよ。お母さんはどこ? 映っているのは子グマたちだよね。すごく心配だな
- 有名なトッパンガのクマ一家だよね。とうとうマルホランド・ハイウェイを渡るようになったのね
- やっぱりあの親子だったんだ! トッパンガに戻ってきてくれてよかった。でもまた同じことをするかもしれないね
- 頼むから無事でいてくれよ、クマたち
- 私はトッパンガに住んでいるけど、あの親子4頭はうちの敷地に何十回も来てるよ。うちの牧場の裏は州立公園へ続く動物たちの通り道になっているんだ。どうやらついに子供たちは親離れする時期みたいだね。
寂しくなるよ! まあ、近所中のゴミ箱を荒らして散らかしまくる姿を見なくて済むのは少し助かるけど- 当局は一度母グマを移送したんだけど、その後また戻ってきたんだ。その時は妊娠していたはず。だからケガをしたり、人に危害を加えたりしない限り、このままこの地域で暮らさせる方針なんだと思う。少なくとも子グマたちがもっと小さかった頃はそういう判断だったよ
- 2035年に野生動物専用の橋が完成するまで生き延びてほしい
- この辺じゃ普通だよ。毎年夏になるとトッパンガからマリブ・レイク、マリブ・クリーク州立公園あたりまで現れる。去年は母グマと子グマ3頭だった
- みんな運転はゆっくり、安全にな。クマたちを守ろうぜ
ご覧の通り、コメント欄にはこの2頭を見て驚くどころか、「あのクマたちか!」といった反応の地元住民の姿も目立った。
多くの人が言及していたのは、トッパンガ州立公園周辺で生息している、アメリカグマの親子ではないかという話である。
トッパンガ州立公園はロサンゼルス西部のサンタモニカ山地に位置する自然豊かな地域で、今回の現場となったカラバサスとも隣接しているエリアだ。
住民らによると、この一家はここ数年、トッパンガ~カラバサス周辺でたびたび目撃されており、昨年は母グマと3頭の子グマが行動を共にしていたという。
高速道路に橋をかけて動物が渡れるようにする計画
このあたり一帯は、高速道路や住宅地によって野生動物の生息地が分断されており、動物たちは危険な道路横断を余儀なくされてきた。
コメントにもあったが、現在この状況を打開するために、高速道路101号線をまたぐ「ウォリス・アネンバーグ野生動物専用橋」の建設が進められている。
この橋は野生動物の移動を守る取り組みの一環で、ピューマやシカ、コヨーテ、アメリカグマなどがハイウェイを越え、安全に行き来できるようにするものだ。
カリフォルニア州魚類野生生物局によると、現在同州に現在生息しているクマはアメリカグマのみで、州内の推定個体数は4万9000~7万1000頭。
特に南部では開発に伴い、森林や草地だけでなく、人間の生活圏に近い場所でのクマとの遭遇事例が増加している。
家庭から出るゴミのほか、外に置かれたペットフードや鳥の餌、屋外の調理器具などがクマを引き寄せる原因になっているようだ。
橋が完成し、彼らが危険な高速道路を横断せずに森へ帰れるようになれば、人間と遭遇して不幸な事態が起こるケースも減るのではないだろうか。
クマに遭遇したらとにかく落ち着け!
日本でもクマの出没と人身被害は深刻化している。環境省の速報値によると、2025年度のクマ出没情報は全国で5万776件に達した。これは北海道を除く集計で、2024年度の2万513件から大きく増えている。
人身被害も多く、2025年度はツキノワグマとヒグマを合わせて216件、238人が被害に遭い、死亡者は13人にのぼった。
環境省[https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/effort12.html]が公表している概要では、2026年もクマによる被害は相次いでおり、3月の全国のクマ出没情報数は307件で、過去5年間で最も多かったとしている。
さらに4月21日には岩手県紫波町、5月5日に山形県酒田市、5月7日に岩手県八幡平市で、それぞれ1人のクマによる死亡事例が確認されている。
人の生活圏での被害に加え、春の山菜採りで山に入った際の被害も発生しており、住宅や学校周辺ではごみや放置された農作物など、クマを引き寄せるものを管理するよう呼びかけている。
では、万一クマに遭遇してしまったらどうすればいいのだろうか。
- 落ち着いた声で話しかけて、自分が人間であることをクマに知らせてください
- じっと動かず、その場に留まりながら、ゆっくりと腕を振ってください
- 冷静さを保ってください。ほとんどのクマはあなたを襲おうとは思っていません
- 小さな子供はすぐに抱き上げてください。ただし、急な動きはしないでください
- 可能な限り、ハイキングや旅行はグループで行いましょう
- できるだけ自分を大きく見せるようにしてください
- クマがあなたの食べ物に近づかせないようにしてください
- リュックサックをその場に落とさないでください
- クマが動かない場合は、クマから目を離さず、転倒しないようにゆっくりと横向きに離れてください。
- 走ってはいけません。クマが追いかけてきたら、立ち止まってその場にとどまってください。
- 木に登らないでください。クマも木に登ることができます。
- 子連れのメスを見かけた場合は、特に慎重に行動してください。
これは日本の環境省による「クマ類に遭遇した際にとるべき行動[https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/pdfs/chpt3.pdf]」とも重なる部分が多いので、頭の隅に置いておくといいと思う。
また日本の場合はこれに加え、クマ撃退スプレーについても触れており、「躊躇せずにクマの顔に向かって噴射」するよう呼びかけている。
お互いに不幸な結末にならないよう、とにかく「落ち着いて」「冷静に」、そして「躊躇なく」行動することが大切だと肝に銘じておこう。
References: 2 bears hop fence onto Southern California school campus[https://ktla.com/news/local-news/bears-hop-fence-onto-calabasas-school-campus/]











