第3期fripSideの2023年とは、まさに成長と進化に彩られた1年だった。1月に初の東京公演を成功に収め、“リスアニ!LIVE 2023”に出演したのち、夏には前年に引き続き第3期ボーカリストの阿部寿世&上杉真央の成長を促す全国ライブハウスツアーを経て制作された最新アルバム『infinite Resonance 2』(以下、『iR2』)は、そんなボーカリストの成長が見られた傑作となった。
そして本作を伴うツアーの大阪公演と名古屋でのカウントダウンライブで2023年を締め括ったあとの今年1月4日に行われたのが、『iR2』ツアーファイナルとなる “fripSide infinite Resonance 2 tour 2023-2024 at Zepp OSAKA&TOKYO”。Zepp Haneda(TOKYO)でのワンマンとしてもちょうど1年ぶりとなるこのステージでfripSideが見せたものは何か。この1年で各メンバーが、ユニットが大きな進化を果たしたことを示す圧巻のパフォーマンスをレポートしよう。

PHOTOGRAPHY BY 中村ユタカ
TEXT BY 澄川龍一

あれから1年、大きな進化を見せた第3期fripSide
fripSideの東京でのワンマンとしては約1年ぶりとなった会場のZepp Haneda(TOKYO)。開演前からすでにfripSideのトレードマークであるオレンジ色のライトが客席を照らすなか、この1年で彼らの得た経験がしっかりと刻印されたアルバム『infinite Resonance 2』の手ごたえがフロアに満ちているようにも感じられた。1年前とは異なるステージが確実に見られるはず――そんな期待に溢れた感情がフロアを埋め尽くすなか、会場が暗転し入場のインストが流れ、オレンジ色のペンライトが灯されていく。
バンドメンバー、八木沼悟志、阿部寿世、上杉真央が続々とステージに登場したのち、お馴染みのfripSideのロゴサウンドが鳴らされ、一瞬の静寂のあとに始まったのは、『iR2』のオープニングを飾る「Invisible Wings」だ。阿部、上杉のソロ歌唱からバンドも加わって2人のハモへと繋がっていく、じわじわと高揚させるような冒頭から、八木沼が「いくぞー!」と宣言し、この日のステージが幕を開けた。ステージ中央の阿部と上杉に注目すると、その歌唱の堂々としたものはもちろんのことだが、よりシンメトリカルに息の合ったステージングがまず印象に残る。ダンスキャリアの異なる2人が、昨年に比べてグッと一体感を増している。ボーカリスト2人という特徴をもつ第3期fripSideの魅力が視覚的にもより感じられるというインパクトが、1曲目からすでに際立って見られた。そして1年前にはなかった要素として欠かせないのは、パワフルなサウンドに加わる観客の歓声だ。
昨年の東京公演以降のライブは声出しが解禁されていたが、改めてかつての姿を取り戻したfripSideのライブというものを目にすると、やはり感慨深いものがある。すべてのピースが揃い、そしてそれが高い水準で重なり合う厚みのあるアンサンブルは、冒頭からすでにえもいわれぬ感動をもたらしてくれた。

高いテンションでのパフォーマンスを展開した「Invisible Wings」のあとには、間髪入れず「final phase -version2023-」のシンセリフが鳴らされる。曲前で上杉が「こんばんは、fripSideです!」、阿部が「ツアーファイナル東京、盛り上がっていきましょう!」と発したあとは、八木沼もAメロの最後で「せーの!」といつもの警報を鳴らす。もちろん観客もそれに対して大歓声を返すという見慣れた光景が展開される。改めて2人のボーカリストが質の高いパフォーマンスを見せる一方で