「部活動の地域移行」改革実行期間が始まる
4月から改革実行期間が始まった「部活動の地域移行」。主に公立中学校が対象でこれまで学校で行われていた部活動が地域クラブに変わり指導をする人が学校の教員から外部指導員に変わります。
これによって教員の負担が減り、子どもたちも専門的なスキルを会得できるなどのメリットが見込まれています。
そんな中、兵庫県川西市は全国に先駆けて2年前から地域移行を始めていて、現場でメリットも感じられていますが、一方で課題も浮上しています。
仕事の合間を縫って練習メニューも考える
兵庫県川西市の市立多田中学校。3月、陸上部の生徒たちが棒高跳びやバトンパスなどの練習に打ち込んでいました。
陸上部の顧問はこの中学校で特別支援学級の担任をしている藤田昇さんです。
平日は週3日から4日、放課後に練習があり、土曜日の午前中も教えています。また、仕事の合間を縫って、短距離と長距離、それぞれの特性に応じた練習メニューも考えています。
(川西市立多田中学校 藤田昇教諭)「子どもたちが見通し持ってやれるほうがいいのかなというので、2週ずつぐらいでメニュー組んでやってます。メニューはもう顧問ついたときから作っています」
部活動の指導が大好きだという藤田さん。しかし、教員の中にはこんな声も…
(藤田昇教諭)「(教員などへの)アンケートの結果でも、やっぱり負担に感じられてる方が割と多くいらっしゃるので、そこ(負担の軽減)は働き方としては、大事なところかなとは思います」
教員の負担軽減などのため部活動が“地域クラブ”に
そんな教員の負担軽減などのために始まったのが「部活動の地域移行」です。
これまで学校単位で教員が指導していた部活動。その活動を地元の団体などでつくる「地域クラブ」で行います。指導者も教員ではなく外部指導員に変わり、無償の場合もあれば、会費などから謝礼金が払われる場合もあります。
この「多田中学校陸上競技部」も4月から地域クラブ「川西ランニングクラブ」へと変わりました。
川西市は全国に先駆けて2024年5月から順次、地域移行を進めていて、教員の働き方にも変化が生まれているといいます。
(藤田昇教諭)「放課後の部活がない分、授業の準備が余裕持ってできたりとか、子どもたちに関わる時間ができる余裕が生まれて、いいのかなという部分もあるかなと思います」
「初めてサッカーをする子たちの居場所を作らないといけないなと」
同じ学校のグラウンドで活動している「川西セントラルフットボールクラブ」は、既に去年9月から地域移行しています。
子どもたちを教えているのは、外部指導員の中西国敏さん。普段は自営業でシステムエンジニアをしていますが、部活動が地域移行されると知り、ボランティアで指導員をすることにしました。
(川西セントラルフットボールクラブ 中西国敏さん)「中学校に入って初めてサッカーをする子とか、そういう子たちの居場所をやっぱり作らないといけないなというところで(外部指導員を)始めました。やっぱり子どもたちが楽しくやれてるのが一番かなと思っているので、そこの場を提供できるというのが一番幸せだと思っています」
中西さんは、同じ校区の小学校でサッカーチームの指導を約20年間続けていて経験は豊富です。
「今の先生は自分で(プレーを)やってくれたりする。ロングキックの蹴り方を教えてくれます」
「ちょっと難しい練習も入ったりしているから自分にはとてもいいです」
複数の中学校が参加することで子どもの成長に
また、この地域クラブには複数の中学校の生徒が参加していて、生徒の保護者はそれも子どもの成長に繋がると感じています。
(生徒の保護者)「元々部活だったら、この学校でしか会わない子が、他の中学校の子と関われることは、本人にとって良い経験だと思うし、友達の輪が広がるなと思います」
教員の負担軽減だけではないワケも…
部活動の地域移行に積極的に取り組む川西市。その理由は教員の負担軽減や指導の質の向上だけではありません。
川西市の中学生の数は2014年度には約4400人でしたが、2027年度には約3400人まで減ると想定されています。
学校単位では部活動を維持できなくなる可能性があるといいます。
(川西市教育委員会・教育推進部 下内卓夫理事(当時))「野球部、サッカー部があったんですけど、人数がどうしても足りない、集まらないというところもだいぶ増えてきているんですね。例えば一つ拠点にすれば、そこにみんなが集まれば十分な人数が確保できて、チームとしていろんな大会にも出る。あるいはチームの中で紅白戦ができる。
「得意とするシステムで子どもたちに支援したい」
地域移行による様々なメリット。一方で現場の指導員からは不安の声も上がっています。
兵庫県川西市の市立川西中学校の教室で活動している「川西中学校プログラムクラブ」。
外部指導員・木坂一彦さんは所属する中学生2人に月2回、放課後にプログラミングなどを教えています。木坂さんはもともと銀行でシステムエンジニアをしていました。
この日はプログラミングでスピードを変えながら車を走らせる課題に取り組みます。
(川西中学校プログラムクラブ・外部指導員 木坂一彦さん)「(今回のプログラムの)問題は一見簡単そうな問題だけど、実は考えなきゃいけないと。まさにプログラムの課題としては、おもしろい課題だろうと思っていますね。私は得意とするシステムのほうで、子どもたちに支援したい」
外部指導員が不安を感じるのは「緊急時の対応」
自分の経験を次世代に伝えることにやりがいを感じている木坂さんですが、心配ごとがあるといいます。それは慣れない学校という空間での地震や火事など緊急時の対応です。
(木坂一彦さん)「避難経路、どこにね、出て逃げていいのか。あるいは火事が避難経路のところで起きた場合、どうするんだというようなこともありますよね」
また、安全管理の責任を外部指導員だけが負うことになるのではないかと不安を感じています。
(木坂一彦さん)「学校でもし、どこかで転んでケガしたときに、誰の責任になると言われたときに、クラブ活動・部活をしていたら、私らの責任になる。責任の所在というのは大きな問題になると思います」
生徒たちの“活動の前後”を心配する外部指導員も
安全の問題は学校内だけとは限りません。
地域クラブ「東谷ベースボールクラブ」。
(東谷ベースボールクラブ・外部指導員 三宅有稀さん)「遠くから来てくれる子もいるんで、来るときに事故とか、その辺は僕ら実際なったとき、どうしたらいいんかなみたいな感じはあります」
クラブには活動場所になっているこの学校以外の生徒も自転車などで通ってきています。
(三宅有稀さん)「5駅分ぐらい離れてるところから(来る子)もいます。来るまでの道とか、全部が全部面倒見れる範囲じゃないんで…」
「緊急事態の場合に学校のほうでも対応できるよう体制は整える」
川西市教育委員会は、活動に関わる安全管理については基本的に「地域クラブ」が対応するとしています。一方で外部指導員とは面談や会議で情報を共有していくといいます。
そして、緊急の場合には…
(川西市教育委員会教育推進部 下内卓夫理事(当時))「万が一そういうことが起きた場合には、学校が全く関与しないことにはならないと思いますので、緊急事態の場合にはしっかりと学校のほうでも対応できるように体制は整えていきます」
一番は子どもたちが今後も安心安全にスポーツや文化活動を続けられること。地域全体で課題を共有し改善していくことが求められます。
(2026年4月22日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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