新しい暮らしの形 “高齢者シェアハウス”

 ひとり暮らしの高齢者数は2020年が約670万人だったのに対し2040年には約1040万人になると推計されていて高齢化が進んでいます(出典:高齢社会白書2025年)。

 そんななかで注目されているのが“高齢者シェアハウス”です。一体どんな暮らしなのか、新しい暮らしの形を取材しました。

70代から90代までの男女14人が共生する「ミライリハ瀬田」

自由に自分らしく…人気集める“高齢者シェアハウス” 家族に先...の画像はこちら >>

 滋賀県大津市の高齢者向けシェアハウス「ミライリハ瀬田」。去年5月にオープンし、いまは70代から90代までの男女14人が暮らしています。

 みな思い思いの具材を入れて手巻き寿司をほおばります。

(利用者)「刺身にはしょうゆやな」
(スタッフ)「僕もしょうゆがないと食べられない」
(利用者)「しょうゆーこっちゃ」

利用者同士が交流できる食事会は大盛り上がり

自由に自分らしく…人気集める“高齢者シェアハウス” 家族に先立たれた女性「楽しい。みんなと話をできるのが良い」 社会とのつながり保ちながら生きる新たな老後の暮らし方に?
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 この日は、シェアハウスの運営スタッフも参加する月に1度の食事会です。

 女性が得意料理の「牛すじ煮込み」をふるまいます。

(スタッフ)「味がめちゃめちゃしみ込んでそう」
(利用者)「味は知らんよ、その人の好みやし」

(スタッフ)「僕がつくりましょうか?」
(利用者)「自分のことは自分でします

 入居条件は自立した日常生活が送れる65歳以上の高齢者

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 入居できるのは、自立した日常生活が送れる65歳以上の高齢者スタッフは常駐せず、共用キッチンでの料理や洗濯は、入居者が各自で行っています。

 家賃は月5万5000円。標準的な老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅に比べて、半分程度です。

家族に先立たれ一人で生活する気力なくした女性「みんなと話をできる。それが良かったかなと

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 石川ヨシノさんは91歳。入居者で最も高齢です。

 (石川ヨシノさん 91)「娘は平成21年ごろかな、急性の心筋梗塞で亡くなりました。それでお父さんが令和元年頃に亡くなって、そのあと2、3年して息子が。みんな先に逝ってしまって一人残されました

 一人で生活する気力をなくし、去年10月にここにやってきました。

 (石川ヨシノさん)「楽しいです。ごはんもここでおいしいなと思えるようになった。みんなと話をできるのが、それが良かったかなと思って

自由のある生活を求めた79歳男性

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 79歳の茂森稔さんは…

 (茂森稔さん)「前は老人保健施設で自由がなかったので、自由のある生活を求めてきました(Qここは自由がある?)自由、好き放題

 一般的な高齢者施設の多くは一日のスケジュールや食事が決まっていますが、ここでは自由にすごせます。

高齢化が進む日本 “ほどよい距離感”のシェアハウスが人気

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  高齢化が進む日本。ひとり暮らしの高齢者の数は、2040年には1000万人を超える見込みで、地域からの孤立や、健康状態の悪化に気づきにくいなどの課題が指摘されています。

 こうしたなか、程よい距離感で共同生活をおくることができる高齢者向けシェアハウスが人気を集めていて、ここも14ある部屋すべて満室状態が続いているといいます。

体操や健康相談を受けることが可能

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「息を鼻から吸います。吸うときにお腹をぷくーっと膨らませるように…」

 基本的には自立した生活を送りますが、週に1度ケアマネージャーとリハビリ専門スタッフが訪問。体操をしたり、健康相談を受けたりすることもできます。

遠出が難しい入居者のためにスーパーマーケットへの送迎も

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 また月に2回、自分では遠出が難しい入居者のため、地元のスーパーマーケットへの送迎もあります。

 91歳の石川さんは、いつも使っているヘアクリームを探します。

(スタッフ)「種類が3つあるみたいやけど」
(石川ヨシノさん)「3つあるんや。わからへんね」
(スタッフ)「僕もわからんな。

わからない同士で相談してもしかたないね」

 できることは自分でやりながら、時には手助けしてもらうことで安心して暮らせる仕組みになっているのです。

高齢者と若者がともに暮らす新しい暮らしの形

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 新しい暮らしの形はほかにも…

 神奈川県藤沢市にある多世代型コミュニティ住宅「ノビシロハウス」。カフェが併設されたワンルームタイプのアパートには、60代から90代の高齢者4人、そして20代の大学生が暮らしています。

※5月には高齢者と若者がそれぞれ1人ずつ新たに入居予定

 家賃は高齢者が月7万円に対し、20代の若い入居者は半額の3万5千円、大幅な割引のわけは…

高齢者の孤立を防ぐ 家賃が安い若者は高齢者への声かけなど条件に

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(宮川陸さん)「体調いかがですか?」
(入居者)「おかげさまで元気にしております」
(宮川陸さん)「フォークダンス木曜日ですよね?」
(入居者)「フォークダンスしているところを偶然見つけてうれしくて」

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 若い入居者は週に1回高齢者への声かけや、月1回のお茶会の開催などが入居の条件になっていて、ふだんから交流することで、高齢者が孤立するのを防ぎ、自然と助け合える環境を作っています。

(宮川陸さん)「支出が減るということは魅力的な部分でもありますし、それだけじゃなくて、みなさんの過去や自分の知らないことが得られることがよくあるので、それはすごく新鮮で楽しいなと思っています」

(入居3年目 70代女性)「近くの大学だったり若い方が来て、次のお茶会もいるんですよ。楽しかったから来ましたと。年齢関係なしに誰にとっての居心地の良い空間があるという感じ」

施設と違い気兼ねなく家族と過ごすことも

自由に自分らしく…人気集める“高齢者シェアハウス” 家族に先立たれた女性「楽しい。みんなと話をできるのが良い」 社会とのつながり保ちながら生きる新たな老後の暮らし方に?
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 再び滋賀県のシェアハウス「ミライリハ瀬田」。この日、79歳の茂森さんの部屋に、娘と5歳の孫がやってきました。

(孫)「たけのこご飯」
(茂森稔さん)「ありがとう」

 この時間が一番の楽しみです。以前いた高齢者施設では家族と会うには予約が必要で面会室でしか会えませんでした。ここでは気兼ねなく一緒に過ごすことができます。

「孤立感は全然ない」社会とのつながりを保ちながら自分らしく生きる

自由に自分らしく…人気集める“高齢者シェアハウス” 家族に先立たれた女性「楽しい。みんなと話をできるのが良い」 社会とのつながり保ちながら生きる新たな老後の暮らし方に?
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(茂森稔さん)「もう字もだいぶ覚えてるやろ?」
(孫)「『あ』とか『い』とか」

(娘)「週1、2回は来てますかね。この子は週1回か」

(娘)「のびのびしていて楽しそうに過ごしていますね。

前(高齢者施設は)規制が多かったので」

(茂森稔さん)「孤立感とか全然ないし、ほかの部屋も人もあいさつしてくれるし、楽しいですよ」

 社会とのつながりを保ちながら自分らしく生きる。こうした老後の暮らし方が広がっていくかもしれません。

(2026年4月29日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)

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