貴島誠一郎[TBSテレビ制作局担当局長/ドラマプロデューサー]

* * *

2000年~2013年の民放連続ドラマの各年視聴率ベスト3は以下の通りである。

2000年

1. 41.3%「ビューティフルライフ」TBS
2. 34.2%「やまとなでしこ」フジテレビ
3. 28.0%「オヤジぃ」TBS

2001年

1. 36.8%「HERO」フジテレビ
2. 29.0%「明日があるさ」日本テレビ
3. 25.4%「救命病棟2」フジテレビ

2002年

1. 27.0%「空から降る一億の星」フジテレビ
2. 23.6%「人にやさしく」フジテレビ
3. 23.5%「ごくせん」日本テレビ

2003年

1. 37.6%「GOOD LUCK!!」TBS
2. 32.1%「白い巨塔」フジテレビ
3. 22.3%「Dr.コトー診療所」フジテレビ

2004年

1. 28.8%「プライド」フジテレビ
2. 27.1%「僕と彼女と彼女の生きる道」フジテレビ
3. 26.3%「砂の器」TBS

2005年

1. 32.5%「ごくせん2」日本テレビ
2. 25.5%「電車男」フジテレビ
3. 25.3%「女王の教室」日本テレビ

2006年

1. 29.2%「西遊記」フジテレビ
2. 25.9%「Dr.コトー診療所2006」フジテレビ
3. 23.2%「マイ・ボス マイ・ヒーロー」日本テレビ

2007年

1. 30.4%「華麗なる一族」TBS
2. 27.6%「花より男子2」TBS
3. 26.0%「ハケンの品格」日本テレビ

2008年

1. 27.4%「CHANGE」フジテレビ
2. 26.4%「ごくせん3」日本テレビ
3. 22.8%「ラスト・フレンズ」フジテレビ

2009年

1. 25.3%「仁ーJINー」 TBS
2. 24.8%「MR.BRAIN」TBS
3. 20.7%「BOSS」フジテレビ

2010年

1. 22.4%「月の恋人」フジテレビ
2. 21.0%「新参者」TBS
3. 20.4%「相棒8」テレビ朝日

2011年

1. 40.0%「家政婦のミタ」日本テレビ
2. 26.1%「仁-JIN-」TBS
3. 23.9%「マルモのおきて」フジテレビ

2012年

1. 24.4%「ドクターX~外科医・大門未知子~」テレビ朝日
2. 20.5%「相棒10」テレビ朝日
3. 20.1%「PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~」フジテレビ

2013年

1. 42.2%「半沢直樹」TBS
2. 26.9%「DoctorーX~外科医・大門未知子~ 」テレビ朝日
3. 22.6%「ガリレオ2」フジテレビ

視聴率だけでは時代を俯瞰できないが、この十数年のテレビドラマについては、昔話にするには生々しく、後輩たちが頑張っているので、軽々しく論評はできない。
あえてまとめるとするならば、小説やコミック原作、パート2などの続編が多いという傾向は、連ドラによりエンターテイメント性が求められている時代ということだろうか。

原作+映画+ドラマの相互乗り入れの印象的な作品でいえば「ウォーター・ボーイズ」「世界の中心で愛をさけぶ」「海猿」「のだめカンタービレ」「ROOKIES」「新参者」などがあった。

オリジナル脚本のドラマからも映画「木更津キャッツアイ」「SPEC」「ATARU」がヒット作となり、制作チームの実力を示した。

気鋭の脚本家では、大森美香の「不機嫌なジーン」相沢友子の「恋ノチカラ」橋部敦子の「僕の生きる道」尾崎将也の「結婚できない男」古沢良太の「リーガルハイ」などが、オリジナルドラマとして印象に残る。

ベテラン、とは言われたくないだろうが遊川和彦や井上由美子、中園ミホ、福田靖は時代を写すモチーフのオリジナル脚本で大ヒットを飛ばしている。

ダウンタウンの2人が各々主演した「伝説の教師」と「明日があるさ」も斬新で個性的な企画でヒットした。

日本テレビでいえば、水曜22時枠で「14才の母」「ハケンの品格」「ホタルノヒカリ」「斉藤さん」「アイシテル~海容~」「Mother」と女性を主人公として時代を切り取る軸がぶれていない。

山田太一さんがおっしゃる「原作を凌駕する脚色」でいえば「仁-JIN-」。世界80の国や地域で放送されクールジャパンの代表的なドラマとなった。

特筆すべきは、1990年からスタートした「渡る世間は鬼ばかり」は1997年にはシリーズ最高の34.2%、2000年のパート5でも27.8%を記録、20年以上も家族を取り巻く時代を切り取り、総制作本数は550本にのぼった。テレビドラマ史上、最も視聴されたドラマである。

ある回の「渡鬼」の脚本を読んだら、一時間ドラマにして12シーンしかなく驚いた。
テレビドラマは、もともと生放送の舞台中継がルーツである。橋田壽賀子先生に習い、自分も大石静さんと「長男の嫁」の10話でシーン数をいかに少なくするかに挑戦したが、22シーンで精一杯であった。

最近の連ドラは60~90シーンはざらである。テンポアップや映像重視は現在のドラマの課題だから、シーン数の多寡とクオリティに関係性はない。しかし、ドラマの作劇は「枷」を作ることであるから、シーン数を少なくすることは俳優や演出家やカメラマン、美術に「枷」を作り、緊張感を生み出すことになる。

それは視聴者に緊張感や息づかいを伝えるメリットになる。記憶に新しい「半沢直樹」の最終回の役員会議室のシーンは90ページの脚本で30ページあった。

自分なりにテレビドラマの40年を振り返ってみたが、改めてテレビドラマの原点は脚本中心であること、ライブである舞台の手法と瞬発力にあることを再確認した気がする。舞台や映画に比べて歴史の浅いテレビドラマは、テレビジョンという伝達手段を最大限に有効化するには、どう差別化し、どう進化していけばいいのか。

ドラマという「ものづくり」に喜びと誇りを持って、信念を貫いてほしい。結果の分析でしかない外野の声はスルーしたほうがいい。結果は全て過去のものである。


いい時もあれば、悪い時もある。テレビドラマの40年がそれを証明している。

[註]敬省略、申し訳ございません。20才代後半に3年間、編成部で再放送の担当をしていたことが、自分にとって良かったです。ちなみに、明石家さんまさんドラマ初出演は「天皇の料理番」(1980・TBS)です。

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