[県歯科医師会コラム・歯の長寿学](371)
 歯の痛みで来院される方の中には、「こんなに悪くなっているとは思わなかった」と驚かれる方もいます。虫歯が深く進むと、歯の中にある「根管(こんかん)」という細いトンネルに菌が入り込み、神経が炎症を起こしてしまいます。
強い痛みや腫れが出て、生活にも支障が出るほど。大事な歯を極力残すために行うのが根管治療です。
 近年、根管治療は大きく進歩しています。代表的なのが「ラバーダム」というゴムのシート。治療する歯だけを出して周囲を覆うことで、唾液に含まれる菌が根管の中へ入りにくくなります。小さな工夫ですが、実は治療の成功率を大きく左右する大切な道具です。
 さらに、内部をきれいにした後に詰める材料も進化しています。「バイオセラミック系シーラー」という新しい薬剤は、抗菌性があり、わずかに膨張しながら硬化する特徴があります。従来より密封性が高まり、再発を防ぐ力が強くなっているといわれています。
 治療器具も変化しています。根管は髪の毛ほど細く、従来のステンレス製の器具では届かない場所もありました。そこで登場したのが「ニッケルチタンファイル」という柔軟性の高い器具です。
曲がった根管にもスムーズに入り、無理な力をかけずに治療できるため、歯への負担も少なくなりました。
 拡大鏡や歯科用顕微鏡により、目視で歯の根の形を確認しやすくなりました。「コーンビームCT(歯科用三次元CT)」を使うと、見えない根の先の形を立体的に見ることができ、従来見つけづらかった追加の根管や細い分岐も把握しやすくなりました。治療の見落としが減り、より確実な治療計画が立てられるようになっています。
 「根管治療は時間がかかる」と思われがちですが、新技術により、治療の精度はずっと高くなっています。歯を抜かずに残せる可能性も広がりました。早めに気付けば少ない負担で治療ができます。※一部自由診療が含まれることがあります。(下所由美子・泉崎ファミリー歯科=那覇市)
歯を抜かずに残せる可能性も 進化する根管治療 新技術で再発防...の画像はこちら >>
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