これまでになく厳しい状況の中で開かれる。核軍縮へ国際社会が再び足並みをそろえることができるよう、真摯(しんし)な対話が求められる。

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議が27日から、米ニューヨークの国連本部で始まる。
 NPTは米国、ロシア、英国、フランス、中国の核保有国と、日本を含む多くの非核保有国の計191カ国・地域が加盟する。非核保有国の核保有を禁じ、核保有国への核軍縮交渉義務を定める条約だ。
 再検討会議は原則5年に1度開催。核保有国と非核保有国が一堂に会し、約1カ月にわたり核軍縮を議論。最終文書にまとめる。
 しかし、前々回の2015年は非加盟国で事実上の核保有国であるイスラエルへの対応を巡り意見が割れて決裂。前回22年はウクライナに侵攻したロシアの反対により採決に至らなかった。
 今回は、米国とイスラエルによるイラン攻撃の直後という緊迫した情勢の中で開かれる。
 イランは加盟国でありながら、IAEAの査察を拒否している。トランプ米大統領は「イランの核兵器保有を阻止するため」とするが、だからといって先制攻撃は許されることではない。
 条約は保有国に対し、核軍縮に向けた誠実な交渉を義務付けている。
大国が核を後ろ盾に力でねじ伏せるような対応を続ければ、非保有国の不信を招きかねない。NPT体制は持たない。
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 ロシアの脅威や国際情勢の不安定化を受け、フランスのマクロン大統領も先月、核弾頭数を増やす考えを表明した。
 中国も急速に核戦力の増強を進めている。
 条約の「空洞化」の懸念が高まっている。
 事実上核を保有しているインド、パキスタン、イスラエルの非加盟国や、一方的に「脱退」を宣言し、核兵器開発を進める北朝鮮との対話も重要だ。
 今年2月には、米国とロシア間で唯一残る核軍縮合意「新戦略兵器削減条約(新START)」が失効した。
 両国は世界の核兵器の約9割を保有している。中国も含め大国が核軍拡に進めばNPT体制が一層揺らぐ。
 非保有国で核保有論が持ち上がるなど「核ドミノ」の懸念が現実味を帯びかねない。
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 日本でも高市政権が非核三原則の見直しを検討している。与党の日本維新の会は核共有を含む拡大抑止の議論を政策集に明記してもいる。

 NPT体制に逆行するもので認められない。
 高市早苗首相は今回の会議への参加を見送り、外務副大臣の派遣を調整しているという。
 前回会議には岸田文雄氏が日本の首相として初めて参加した。今回参加しなければ核軍縮へ後ろ向きだと受け取られかねない。
 困難な時だからこそ、唯一の被爆国の役割が問われている。
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