ただし、「十分な根拠」がある場合に限り、例外的に抗告を認める新たな条文を設けている。
関連規定の改正は、1948年に現在の刑訴法が制定されて以来初となる。この間、死刑囚の再審無罪が5件も出ている。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審開始が2023年3月に確定したのを機に見直しの議論は動き出した。
検察が証拠を開示せず、再審開始が認められるまで33年。その後に検察は抗告し、開始確定までさらに9年もかかった。検察の対応が審理を長期化させたと批判を受けた。
24年3月に刑訴法改正案の国会提出を目指す超党派の国会議員連盟が発足。25年3月に、法相は法制審議会に見直しを諮問した。答申を受けた法務省案は当初、抗告を維持する内容で、自民党内から強い反発が噴出。法案は3度にわたる修正を余儀なくされた。
法務省は付則に「原則禁止」の理念を書き込むだけで済ませようとしたが、政府案では現行法の「再審開始決定に対し、高裁へ即時抗告できる」という規定を削除した上で、本則に「原則禁止」を明記した。
一方、抗告を認める例外要件の「十分な根拠」が曖昧で、運用次第では骨抜きになりかねない。
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政府案を見渡すと、審理長期化の原因の一つになってきた証拠開示を「再審請求理由に関連するもの」に限定している。また、開示証拠の目的外使用を罰則付きで禁止している。
これまで、「関連性がない」とされた証拠から冤罪(えんざい)の真実が明らかになったケースは少なくない。請求人側が十分に証拠へアクセスできなければ、誤判の発見は難しい。
支援者や専門家と共有し、幅広く情報や意見を呼びかけることができなければ、無罪につながる手がかりを得るのも困難になる。
秘密保持と救済のバランスの中で、請求人側の立場で再検討する余地があるのではないか。
また、新設する「スクリーニング規定」は、本格審理に入るか否かを裁判所が早期に判断する一方、請求切り捨てが増え、再審の門戸が狭まる懸念もある。
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誤判を正さず、誤った判決を放置し続けることは司法への不信を深める。再審制度の目的は「無辜(むこ)の救済」にある。争いが長期化する可能性を残す政府案では、目的の達成を見通せない。
中道など野党3党は、検察抗告を例外なく禁止する刑訴法改正案を衆院に提出し、政府案への対案と位置付けている。
国会での法案審議が始まる。冤罪被害者を速やかに救済するために何ができるかを突き詰め、課題を積み残さないよう議論を深めるべきだ。

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