俳優の岸井ゆきのが1日、都内で行われた映画『すべて真夜中の恋人たち』(13日公開)東京国際映画祭舞台あいさつに登壇。原作ファンだからこその悩みを明かした。


 同映画祭のガラ・セレクション部門に出品となった同作は、川上未映子氏による同名恋愛小説の映画化。人との関わりを拒み孤独に生きてきたフリーの校閲者・入江冬子(岸井ゆきの)が年上の物理教師・三束(浅野忠信)と出会い、そこから冬子の日常が少しずつ変化していく。冬子のみならず、三束や石川聖(森田望智)、誰もが抱える孤独を描き出し、現代的でいて普遍的なテーマを、静かに繊細に差し出す。小さな心のさざ波を、息を止めて見つめるようなラブストーリーとなっている。

 川上氏の大ファンである岸井は、人との関わりを拒み孤独に生きてきたフリーの校閲者・入江冬子を演じる。「(原作が)生まれたときに読んで。1回で済まなくて、何回も読んでいる」というほど好きな作品であり、出演することにプレッシャーを感じ、「なぞってはいけない」という気持ちを持っていたそう。

 さらに、「自分の中で思い出や“自分の冬子”がすごく詰まっているっていうことに、台本を読んで気づいて。そこから脱却しないと、映画『すべて真夜中の恋人たち』が自分の中で本当に整理がつかなくなってしまって」と大ファンならではの悩みを明かし、岨手由貴子監督とコミュニケーションを取りながら冬子を演じ上げたことを語った。

 同イベントには川上氏も登壇。完成した同作を鑑賞し「映像化というのは原作にとって美しい翻訳の1つだと思いました。書くだけでも読むだけでも分からない物語というのが原作にあって、そのことに気付いていく体験でした」と感銘を受けた様子。
「初めて長編小説を映像化していただく機会であって、そのことにも感動しました。皆さんの経験や時間を持ち寄って全力で、今回の映画だったら“光”というものに向かっていかれて、その手触りが本当に残っていて、全くの感動にあずかったなと感激しています」と喜んだ。

 終盤になると、岸井が「映画って最初の3日が大事なんですね。3日でいっぱい見てもらえると良いことが起きるんです。この映画好きだなと思ったらいろんな人にお伝えしてくださると、私たち本当に喜びます」と全力でアピールした。

 イベントにはほかに、浅野忠信、森田望智、岨手由貴子監督が登壇した。
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