通常営業の最後を飾ったのは、シネスイッチ1で上映された『遥かな町へ』。上映終了後には自然と拍手が湧き起こった。
開場から上映開始までと上映終了後には、同館を代表するヒット作『ニュー・シネマ・パラダイス』のメインテーマを流す粋な計らいも。観客たちは館内のあちらこちらにスマートフォンを向け、思い思いにその姿を写真に収めていた。劇場の前には多くの観客が残り、向かいのビルの警備員が2度にわたって通路をふさがないよう呼びかけるほどだった。
やがて支配人が姿を現し、「皆さん、特にシャッター(が下りる)などの演出はございませんので」と伝えると、笑いが起こった。「ご自由に撮っていただいて問題ございませんので、ぜひどうぞ」と促され、再び館内に戻る人も。帰路につく人がいる一方、劇場の前にとどまり、別れを惜しむ人の姿も見られた。
最終上映を観るために訪れた東京都世田谷区在住の男性(51)は、学生時代から同館に通ってきたという。「自分の好きな作品をかけてくれる映画館だったので、よく来ていました。社会人になってからも、最終回にぎりぎり間に合うように来たりしていました」と振り返った。
銀座という立地や、昔ながらの劇場の雰囲気も魅力だったという。
横浜市から訪れた20代の女子大学生は、この日が初めての来館となった。歴史ある映画館を閉館前に一度訪れたいと思い、鑑賞したいと思っていた『遥かな町へ』の最終上映に足を運んだ。普段は下北沢や渋谷のミニシアターによく足を運ぶという。こうした映画館が姿を消していくことに、「どんどんなくなっていっちゃうのは寂しい。もう少し早く生まれたかったなと思います」と語った。
同館の前身は、「銀文」の愛称で親しまれた「銀座文化劇場」。1987年、2館のうち1館で世界各国の洋画と邦画を切り替えながら上映するという意味を込め、「シネスイッチ銀座」の館名が生まれた。もう1館は銀座文化劇場として名画の上映を続け、1997年に「シネスイッチ銀座1・2」としてリニューアルした。
その歩みを象徴する作品の一つが、1989年に公開された『ニュー・シネマ・パラダイス』。同館だけで40週間にわたるロングランとなり、27万人を動員した。
閉館は今年6月15日に公式サイトで発表。劇場は、長年にわたり映画を愛する人々に支えられてきた歩みを振り返り、「銀座の地で紡いだこれまでの歴史と、皆様から賜りました格別のご厚情に、心より御礼申し上げます」と感謝を伝えていた。
なお、26日からは、「第39回東京国際映画祭」の上映会場の一つとして使用される。
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