昨日まで親切だった町の人々が、突然、全員敵になる。『Mr.ノーバディ』(2021年)の主演ボブ・オデンカークと、「ジョン・ウィック」シリーズの脚本家デレク・コルスタッドが再び組んだ映画『NORMAL/ノーマル』が、12月11日に公開される。中年保安官と町民1890人の対決を描く本作には、アクションに加え、1970年代の陰謀スリラーやヒッチコック、デ・パルマ作品への思いが込められているという。

 舞台は、雪に包まれた米ミネソタ州の田舎町「ノーマル」。過去のトラウマを抱えるユリシーズ(オデンカーク)は、穏やかな暮らしを求めて臨時保安官として赴任する。住民同士の小競り合い程度しか起きない町で、親切な人々に囲まれて過ごしていたが、銀行強盗の発生をきっかけに日常が崩れ始める。

 現場に駆けつけ、犯人を説得しようとしたユリシーズは、背後から銃弾を撃ち込まれる。銀行強盗たちさえ「なんで撃たれるの!?」と困惑する事態に。町に隠された秘密に触れたことで、全住民1890人が武器を手に襲いかかってくる。逃げ場のない状況で、ユリシーズの隠された戦闘能力が明らかになっていく。

 主演に加え、原案、製作も務めるオデンカークは、「サスペンスとユーモアが見事に融合しており、アクションジャンルのなかでも異彩を放つ素晴らしい物語です」と語り、多くの映画が挑戦しないような要素として、「この街に隠された謎」というフックが組み込まれていると説明する。

 『Mr.ノーバディ』で平凡で冴えない中年男性の裏に潜む凄腕の顔を描いたコルスタッドは、本作の脚本のほか、オデンカークとともに原案・製作を担当。今回は、控えめでありながら、隠されていた高い戦闘能力を発揮して襲いかかる町民たちを次々と返り討ちにしていく、新たな痛快おじさんヒーロー映画を誕生させた。

 さらに、コルスタッドが挙げるのは、不信や陰謀がじわじわと広がる映画の系譜だ。

 「70年代のパラノイド・サスペンス(人間不信や陰謀を描くスリラー)や初期のヒッチコック、デ・パルマのような要素が詰まっています。そうした名作映画たちへのラブレターのような作品です」

 序盤はゆっくりと展開する一方、「一度火薬に火がついた瞬間一気に爆発し、最後まで一気に駆け抜けていく」とも語る。平穏な町への違和感を積み重ね、その先に激しいアクションを用意した構成も特徴となる。

 公開された新たな場面写真には、武器庫で温かいコーヒーを手にするユリシーズの穏やかな日常の姿とともに、重火器を連射する場面や、店内での至近距離の戦い、爆炎で吹き飛ぶ車など、“普通”とは程遠い命懸けの闘いを予感させるカットが並ぶ。

 吹雪の中で誰かに電話をかける町長(ヘンリー・ウィンクラー)や、グラスを傾けながらユリシーズと語り合うモイラ(レナ・ヘディ)、そして想定外の展開に目を丸くする銀行強盗コンビなど、一癖も二癖もあるキャラクターたちの姿も切り取られている。

 『ブレイキング・バッド』(2008年~2013年)、『ベター・コール・ソウル』(2015年~2022年)で知られ、『Mr.ノーバディ』でアクションにも踏み込んだオデンカーク。今度は、住民全員から命を狙われる保安官として、町の秘密と対峙する。

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