※本稿は、森由香子『60歳から食事を変えなさい』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■中高年の強い味方となる手軽で健康的な食材
年齢を重ねると、どうしても食欲がないと感じるときや、食事の準備が面倒に感じるとき、手っ取り早くエネルギーをとりたいと思うときもあるでしょう。
実は、そんなときにおすすめの、手軽で健康的な、話題の食材があります。
それは、テレビCMでも見かける、MCTオイル(Medium Chain Triglycerides)です。
MCTオイルとは、ココナッツオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸を抽出した、中鎖脂肪酸100%の油のことです。
一般的な油(長鎖脂肪酸)と消化吸収経路が異なっている特別な油ですが、味や香りはほとんどなく、口に入ったときの感覚は、普通の油とほぼ変わりません。
一般に脂質のカロリーは、1gあたり9kcal。ごはんやパンなどの糖質は1gあたり4kcalなので、同じ量なら、脂質のほうが約2倍のエネルギーを摂取することができる計算になります。
MCTオイルの場合、1gあたりのカロリーは一般的な脂質と同じなのですが、消化・分解の速度が速いため、短時間でエネルギーになり、体脂肪としてからだに蓄積されにくいという特徴があります。
そのため、高齢者の低栄養改善への活用が注目されており、ダイエット効果もあることから生活習慣病の改善にも役立つと考えられています。さらに、アルツハイマー型認知症の改善効果があるという報告もあり、非常に期待されている油なのです。
ただし、MCTオイルは熱に弱いため、炒め物や揚げ物などには向いていません。一番のおすすめは、たっぷりの野菜にかけて食べること。
食が進まないときや疲れているときに、みそ汁やスープなどの飲み物、ヨーグルトや牛乳などに小さじ1杯ほど加えるのもよいでしょう。すぐに、手軽にエネルギーを補給できます。
スーパーなどで売っているので、1本買っておくと、栄養不足予防に手軽に使えると思います。気になる方は、ぜひ試してみてください。
■実は糖質が多い嗜好品
栄養指導をしていて、たびたび登場する食材のひとつに、豆乳があります。
牛乳よりヘルシーなので豆乳を飲んでいるという方もいれば、いろいろからだに良さそうなので毎日欠かさず飲んでいるという方もいらっしゃいます。
でも、豆乳を習慣的に飲むのであれば、その商品選びには注意が必要です。
なぜなら、豆乳には「豆乳(未調整)」「調整豆乳」「豆乳飲料」の3種類があり、それぞれ栄養に違いがあるからです。
豆乳は、水に浸した大豆をすりつぶしてできた液体を漉(こ)したものです。高たんぱく質で、低脂肪、大豆サポニンやイソフラボン、腸内環境を整えるオリゴ糖、ビタミンB群やビタミンEなど、からだに良い成分がいろいろと含まれています。
糖尿病食事療法のための食品交換表のたんぱく質を多く含む食品グループでは、食品1単位当たりの栄養素の平均含有量は、炭水化物1g、たんぱく質8g、脂質5gとされています。ここに掲載されているのは、豆乳(未調整)のみです。
一方、調整豆乳と豆乳飲料は、豆乳(未調整)に比べてたんぱく質がやや低く、飲みやすくするために甘くしてあるため、糖質が高くなっています。豆乳飲料にいたっては「嗜好飲料」の扱いです。
豆乳飲料を飲んでたんぱく質をとっていると勘違いしている人がいますが、豆乳(未調整)に比べてたんぱく質は多くありませんので、たんぱく質補給の面からもあまりおすすめできません。
もし豆乳を飲んでいる方は、ご自身が飲んでいるものが、豆乳(未調整)か調整豆乳か豆乳飲料なのか、しっかり確認しておきましょう。
■一見、健康的なオリーブオイルの落とし穴
オリーブオイルといえば、からだに良い油というイメージが非常に強いでしょう。「健康のため」と、毎日スプーン1杯など、わざわざ飲んでいる方もいらっしゃいます。しかし、これはちょっと、考え直したほうがよさそうです。
食用の油脂には、植物性油脂と動物性油脂があります。油脂の主成分はグリセロールと脂肪酸で、脂肪酸は構造の違いから飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類できます。
飽和脂肪酸は肉の脂や乳製品、パーム油に多く含まれ、中性脂肪やコレステロールの原料になるので、とり過ぎはよくありません。
これに対して、不飽和脂肪酸は、植物や魚の油に多く含まれているもので、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、EPA・DHAなどがあり、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を下げるはたらきがあります。
このためオレイン酸が豊富なオリーブオイルは、人気を集めました。
しかし、実はオリーブオイルには、飽和脂肪酸も意外と多く含まれているため、たくさんとれば、不飽和脂肪酸だけでなく、もれなく飽和脂肪酸もついてきます。つまり、とり過ぎれば、やはり動脈硬化の危険因子になり得るのです。残念ながら、この事実は知れわたっていないようです。
■1日にとる量が大さじ1杯ならOK
このような“健康神話”の逆転は、栄養や医療の世界ではときどき起こっています。
たとえば、マーガリンです。
かつて、動物性油脂であるバターと、植物性油脂が原料のマーガリンでは、マーガリンのほうが動脈硬化の危険因子になりにくいと考えられてきました。私が子どもの頃などは、マーガリンがからだに良いとして、皆せっせとパンにぬっていたものです。
しかし、近年では、マーガリンのほうが動脈硬化の危険を高めるとして、バターが推奨されるようになっています。
なぜかといえば、マーガリンには、不飽和脂肪酸に水素が添加されることで生成するトランス脂肪酸という油が含まれており、これがからだに悪いことがわかったからです。
オリーブオイルの場合、1日にとる量が13.7ml(大さじ1杯)程度なら、気にする必要はないでしょう。
オリーブオイルに含まれている不飽和脂肪酸のオレイン酸は、実は魚や肉、他の植物油にも含まれていますし、体内でも作られています。つまり、あえてオリーブオイルでとらなくても、日々の食事の中で自然ととれるのです。
このように、マーガリンで起きた健康神話の逆転が、いま、オリーブオイルで起きつつあります。
少なくとも、そのまま毎日飲んでいるような人は、その習慣はすぐにもやめたほうがよさそうです。
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森 由香子(もり・ゆかこ)
管理栄養士
日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。
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(管理栄養士 森 由香子)

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