※本稿は、藤野智哉『「ちゃんとしなきゃ」が止まらないあなたに贈る 頑張れない日の休み方レッスン』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。
■「ちょうどいい睡眠時間」の見定め方
私が小さい頃は、理想は1日8時間睡眠と言われていました。最近は6時間以上はとることが推奨されていますが、睡眠時間には大きな個人差があります。
さらに加齢とともに必要な睡眠時間が短くなることがわかってきており、高齢者世代では長時間睡眠が死亡リスクの上昇に関わるとされ、9時間以上でアルツハイマー病の発症リスクを増加させるとも言われています。年齢や体質によって「ちょうど良い睡眠時間」は人それぞれです。
これらはもちろんすべての人に当てはまるわけではないので、重要なのは、あなたにとって適切な睡眠時間を見極めることです。日中に眠気がなく快適に過ごせるのであれば、それがその人にとっての適切な睡眠量の目安。
ところが「8時間寝なければいけない」といった「べき思考」に囚われ「寝なければ」と意識するあまり眠れなくなる人も少なくありません。
また、本人は「寝ていない」と思い込んでいても、実際にはある程度眠れていることがほとんどです。睡眠に対するこだわりや不安が強いほど、眠れなかったことが気になり、それがさらに不眠を引き起こすという悪循環に陥りやすくなります。
そもそも365日のうち、1日くらい眠れないことがあっても、それだけで大きな害が出ることはほとんどありません。
精密作業や長時間運転を伴う場合など特別な状況を除けば、1日の不眠が生活に致命的な支障をきたすことはほとんどありません。
日中に眠気がなく、集中力が保たれていれば、あなたの睡眠時間は足りていると考えてみましょう。睡眠には個人差があることを理解し、自分の最適解を見つけることが、質の良い休息への第一歩なのです。
睡眠は時間の長さよりも「翌日の状態」が重要!
■「睡眠時間を削ってでも成功したい」は危険
一般的に、成人には1日6時間以上の睡眠が推奨されます。10時間眠らないとパフォーマンスが維持できない人も多くいます。一方で、6時間未満の睡眠でも日常生活に支障をきたさない人が存在します。
こうした人々は「ショートスリーパー」と呼ばれます。
これは努力してなれるものではありません。あくまで先天的な体質による個体差です。
優劣の問題ではなく、「そういう生物」であるとしか言いようがないのです。
精神科の立場からは、「翌日に強い眠気が残らなければ睡眠時間は必ずしも問題ではない」と言いたいのですが、長期的な影響を考えると、やはり無理な短時間睡眠は推奨できません。
生来のショートスリーパーは、睡眠中に脳や体の回復に必要なプロセスを、短時間で効率よく完了しているのではないかと考えられています。
しかし、なぜそれが可能なのか、仕組みはわかっていません。疲労が溜まりにくい体質なのか、それとも脳の回復スピードが速いのか。やはり、それぞれの個体差である、としかいいようがないのです。
ということは「睡眠時間を削ってでも成功したい」といった考え方は非常に危険であることがわかってもらえるでしょう。ショートスリーパーになる方法などを示しているサイトなどもありますが、努力して目指せるものではありません。
むしろ自分に合った睡眠時間を知り、その中でパフォーマンスを最大化することが最も重要なのです。
翌日に眠気を残さない睡眠が大事。
■寝ても疲れが抜けない人が陥っていること
「しっかり寝ているのに疲れが抜けない」という場合は、睡眠時間を増やせば回復できると考えがちですが、多くの場合睡眠の「質」が関係しています。質の悪い睡眠は量で補えません。
週末に寝溜めをしても、平日の睡眠不足を完全にリセットすることはできず、むしろ生活リズムを崩してしまうこともあります。短期的な疲労回復には役立つ場合もありますが、根本的な解決にはなりません。
睡眠中は体も脳も休息を取る時間ですが、その準備は「寝る前」に始まっています。
寝る直前にスマホを見る、強い光を浴びる、カフェインを遅い時間に摂取するなどの行為は、睡眠の質を著しく下げます。特にカフェインは体内での半減期が長く、午後に飲んだコーヒーが夜の睡眠に影響することがあります。
そもそも、長時間睡眠も必ずしも良い結果をもたらしません。9時間以上の睡眠を日常的に取ると、心疾患や脳血管障害などのリスクが上昇するという研究もあります。重要なのは、量を追い求めるよりも、一定のリズムを維持することです。
睡眠中は体が自動で回復するわけではありません。日中の過ごし方も大きく影響します。
また、運動不足、過度のストレス、アルコール摂取は睡眠の質を下げます。
まずは睡眠そのものだけでなく、日中の生活習慣を見直してみてください。例えば軽いストレッチや入浴で体温を一度上げると、入眠しやすく深い睡眠が得やすくなるでしょう。
午後のコーヒーや寝る前のスマホは、
あなたの睡眠をじわじわ壊している。
■昼夜逆転を克服する小さな習慣
昼夜逆転は、一度習慣化すると自力で戻すのが難しい問題です。しかし、改善方法はいくつかあります。
大切なのは、無理に戻そうとせず、少しずつ体内時計を整えていくことです。
まず、基本は生活リズムの見直しです。
昼夜逆転の多くは、寝る直前までスマホを見たり、日中に日光を浴びる機会が少なかったりといった生活習慣が大きな原因になっています。
まずは朝起きたらカーテンを開けて太陽光を浴びて、脳に「朝である」と認識させて、体内時計をリセットします。
夜はブルーライトを避け、照明を暗めにするなど、光のコントロールが特に有効です。
それでも改善が難しい場合、医療的なアプローチもひとつの手です。
代表的なのは不眠治療に用いられる認知行動療法(CBT-I)です。睡眠のスケジュールを見直して無駄に寝床で過ごす時間を減らしたり、睡眠に対する捉え方や条件づけを変えていくことでリズムを整えていきます。
どうしても自力で眠れない場合は、睡眠薬を一時的に使うことも選択肢になるでしょう。
耐性や依存のリスクがあるものもあるため、医師と相談して慎重に選ぶことが重要です。
「いきなり朝型にする」のが難しい場合は起床時間を毎日30分ずつ早めるような段階的な方法から試してみるのも手です。夕食を早めにするなど、細かい習慣から変えていきましょう。
自分のリズムを崩している原因を見つめてみる。
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藤野 智哉(ふじの・ともや)
精神科医
産業医。公認心理師。1991年愛知県生まれ。秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信しており、X(旧ツイッター)フォロワー9万人。「世界一受けたい授業」や「ノンストップサミットコーナー」などメディアへの出演も多数。
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(精神科医 藤野 智哉)

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