※本稿は、五百田達成『言いたいことがちゃんと伝わる 男と女の言い換え図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■晩ごはんは「家族の問題」
【シチュエーション】晩ごはんのメニューを相談された
× なんでもいいよ
○ どうしようか?
「晩ごはん、何が食べたい?」
「なんでもいいよ」
凝ったメニューを食べたいわけじゃないし、本当になんでもよかったから、「なんでもいいよ」と答えたのに、なぜか妻が不機嫌になる。
「えっ? オレなんかまずいこと言った?」と、たいていの男性は理解できません。
「なんでもいいよ」は一見、おおらかな優しさのように見えます。でも、言われたほうはモヤモヤすることこのうえなし。なぜなら、「丸投げ」されているからです。
夫婦の間で、「料理は妻」「食器洗いは夫」とそれぞれの担当が決まっているケースもあるでしょう。しかし、それはあくまでも建前上の担当です。晩ごはんは二人が食べるもので、おおげさに言えば「家族の課題」です。
これが仕事だったらどうでしょう? 同じプロジェクトメンバーなのに、他部署の作業だから関係ない、任せます、なんてことにはならないはず。いやいや、ビジネスと晩ごはんでは次元が違うだろ? と思うかもしれませんが、同じです。
つまり、二人にとってはとても大事なことを、たいして考えもせず、即座に「なんでもいい」と片付けられると、妻側は一人ぽつんと取り残された気分になる。
■ささいなことでも、一緒に考える
「晩ごはん、何が食べたい?」
「う~ん、どうしようか? 昨日はカレーだったよね~」
「おとといは豚キムチじゃなかったっけ?」
「そうだった、そうだった。う~ん、そしたら、今日は和食とか?」
「たしかに和食がいいかもね。あっ、じゃがいもがあったから、肉じゃがにするわ!」
正直、とてもめんどうなやりとりに感じるでしょう。でも、この「一緒に考える姿勢を見せる」ことは、とてもとても大事。というのも、相手は何が食べたいか明確な回答を求めているわけではありません。聞いておきながら、ほぼ献立が決まっていることもしばしば。それでも、「晩ごはんについて一緒に悩み、考えたいのだが、どうかね、君? あるいは君が作ってくれてもいいんだよ?」これが「晩ごはん、何が食べたい?」の真の意味です。
この話の応用として、「○○でいい」問題があります。
なぜなら「○○でいい」は妥協のように聞こえるから。「えっ? パスタでいいか聞いてきたのに」と反論したくなりますが、違います。たいていの「○○でいい」は「○○がいい」に言いかえられます。「パスタ、いいね!」「わ~い、パスタだぁ!」と無邪気に喜んだほうが、気分よく作ってもらえるでしょう。
たかが晩ごはん、されど晩ごはん。二人の大事な食事であり、日々のルーティンだからこそ、全力で向き合いましょう。
【まとめ】 「毎日のごはん」こそ、お互い全力で向き合う
■100万回言っても何も変わらない
【シチュエーション】してほしくないことをされた
× 何度も言わせないで!
○ 私がイヤだから、やめてほしい
「また靴下片付けてない! 何度も言わせないで!」
リビングのソファ近く、脱いだ形のまま置かれている靴下。気づかずに歩くと蹴飛ばすし、視界に入ると気になってしかたない。洗濯カゴに放り込めば済む話なのに。
なぜしない? どうして? よくある光景です。
まわりの変化に常にセンサーを働かせている女性たちは、自分のテリトリーやルーティンが乱されると心が落ち着きません。
だからこそ何度も口を酸っぱくして言うのですが、相手は一向に改善しようとしない。そのときは「はいはい」と言うけれど、全然やってくれない。「なんで言うこと聞いてくれないの?」と無視されたような気持ちになりますし、「もしや、わざと……?」と疑う気持ちも芽生えてきます。結果「何度言ったらわかるの?」「何回も言ったよね?」とキレてしまうことに。ですが残念ながら、この言い方では100万回言っても何も変わらないでしょう。
■夫婦は他人、家庭は社会
男性には、リビングが散らかっていることを心底どうでもいいと思っている人が多いようです。「来客があるならまだしも、家の中なんだから好きにさせてくれよ」、これが言われた側の本音。興味がないことについてあれこれ言われても、結局、直す気なんて起きません。家の中なんだから、家族なんだから、リラックスさせてよ、なんでも許してよ。これはいわば、男性の甘えです。
一方で、女性側も「リビングを清潔にするのは、お互いにとってうれしいはず」「だから、何度か言えば、直してくれるはず」「家族だったら、言わなくても率先してやってくれるはず」と無言で期待しているのだとしたら、これはこれで甘えです。言っても聞かないなら、言い方を変えるしかありません。
「リビングは家族がくつろぐ場所だよね。そこに靴下が転がっていると、どうしても不快な気分になるから、やめてほしいの」
■理由と要望をセットで伝える
このように、なぜ嫌なのか、理由を言葉にして伝えるのです。そうすればようやく男性は「なるほど、その前提があったのか」「相手が不快なのはまずいな」と、頭で理解して、行動を変える気が起きます。繰り返しになりますが、「そんなこと言わなくてもわかるでしょ」という気持ちが、「何度言わせればわかるの?」を引き起こすのです。
「だいたい、いつもあなたはそう!」と、感情をぶつけているだけでは、何も伝わりません。「なんかイライラしているな」と片付けられてしまうのがオチです。男性はそもそも、リビングの清潔さについて、相手の不快について、何もわかってないし、何も考えてないのですから。
「○○だから、○○してほしい」と、理由と要望のセットで伝えるように言いかえると、不思議と筋が通った風に聞こえます。論理を好む男性には、このほうが伝わりやすいでしょう。要は伝わればいい、靴下が片付けばいいのです。
【まとめ】 「理由」+「要望」のセットで筋が通った”風”になる
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五百田 達成(いおた・たつなり)
作家・心理カウンセラー
1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。
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(作家・心理カウンセラー 五百田 達成)

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