新日本プロレスは27日、親会社のブシロードがテレビ朝日とサイバーエージェントに株式譲渡することを発表した。ブシロードは新日本プロレスの株を7割保有しているがすべてテレ朝とサイバーエージェントに売却する。

譲渡価格は合計35億9700万円。正式な譲渡日は6月30日を予定している。

 新日本プロレスはアントニオ猪木さんが1972年1月に設立し同年3月6日に東京・大田区体育館で旗揚げした。

 今年で創立54年を迎える団体は、昭和時代、平成時代の90年代などの人気絶頂期もあったが興行不振で人気が低迷する苦境も味わうなど波乱万丈の歴史だった。

 筆頭株主も猪木さん、実業家、05年11月にはゲーム会社「ユークス」、そして12年1月から「ブシロード」に変わり現在では、日本のプロレス団体では、興行収益、観客動員、動画配信サイトの視聴者数では他を寄せ付けない揺るぎないトップの地位を確保。世界的にも歴史、選手層、試合内容などを加味すれば世界最大の団体「WWE」に次ぐ団体と言えるだろう。

 このプロレス界のリーダーを支えてきたのがテレビ朝日だ。

 同局は、1969年7月2日から「ワールドプロレスリング」と題し日本プロレスの試合を中継したことからプロレス放送を開始した。その後、73年4月6日から前年の72年3月6日にアントニオ猪木さんが旗揚げした新日本プロレスの試合を毎週金曜夜8時から中継。以来、時間帯は変わり現在は、土曜深夜1時から30分枠で放送しているが一貫して新日本プロレスの試合をお茶の間に届けてきた。

 旗揚げ2年目から選手、さらには社長として団体を支えてきた坂口征二顧問はかつて私の取材に「ウチがここまで何とかやってこられたのはよ、テレ朝さんのおかげよ。どんな時もず~っと中継してくれたんよ。

テレ朝さんが撤退してたらウチはとっくに潰れとるんよ」とテレ朝への感謝と恩義を明かしていた。これは選手、スタッフも同じ思いだろう。そういう意味では、テレ朝の子会社となることは、新日本プロレスにとって「相思相愛」と言えるだろう。

 今回の子会社化でテレビ朝日HDは「これまでもテレビ朝日と新日本プロレスリングは、番組・映像コンテンツ領域や興行の分野で連携を進めてまいりましたが、コンテンツやIPの開発・展開等における連携を一層強化するとともに、グローバル展開も見据えた強力なコンテンツ・IPを協力して生み出し、両社のさらなる企業価値の向上のため、新日本プロレスリングをあらたに連結子会社とすることと致しました」との声明を発表した。

 プロレスという米国はもちろん、欧州、アジアなどに絶大なファンが存在するコンテンツを同局は評価し、今以上に全世界へ広げ収益化したい思惑だろう。そこには、第2位の株死ぬとなったIT王手のサイバーエージェントとの連係を図り、ネットでもプロレスの映像コンテンツを一層、拡大していく狙いがあるだろう。

 新日本プロレスにとってテレビ朝日の子会社となる最大のメリットは、選手の知名度アップが今まで以上に期待できることだ。

 テレビがメディアの王様だった昭和。ゴールデンタイムで放送していた時代は、無名のレスラーでもテレビ朝日の中継に登場し、古舘伊知郎アナウンサーが実況すれば一夜にして全国的に知られる存在となった。

 テレビの効果で新たなスターが生まれ興行成績のアップにもつながった。しかし、現在は、地上波は深夜帯の放送、同局は、BS、CSも含め新日本プロレスの試合中継、バラエティー番組などを放送しているが、現実は、マニアと呼ばれるプロレスファンが主な視聴者で新たなファン層の獲得に苦戦している。

 この状況をテレビ朝日が親会社となることで、より地上波はもちろん、様々な番組、ネットメディアへ選手の露出が急増すれば、新日本プロレスはもちろん、プロレス界全体への人気拡大が期待される。

 プロレス業界内では、プロレスリング・ノア、DDTなどを運営する「サイバーファイト」の親会社である「サイバーエージェント」が大株主になったことで新日本プロレスと他団体との交流の活発化も予想される。

 テレビ朝日は、今年1・4東京ドームを午後10時台で放送。6・14大阪城ホール大会も同じ時間帯で放送する。試合内容は、揺るぎない高い質を誇る新日本プロレス。数多くの層に試合を見る機会が増えれば新たなファン獲得へつながることが期待できる。さらに今回、テレ朝が「親」となったことで選手、団体関係者が誰もが「夢」と掲げる「ゴールデンタイム」での中継につながり、そこが起爆剤となってプロレス人気が復活することを祈りたい。

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