会話をしている相手のパートナーを呼ぶときには、どのような言い方が適切なのか。心理カウンセラーの五百田達成さんは「『ダンナ』『ご主人』『奥さん』という呼び方は、昨今避けるべき言葉になりつつある。
私は違和感があるのを承知で『夫さん』『妻さん』と呼んでいるが、他にも言い換える方法はある」という――。
※本稿は、五百田達成『言いたいことがちゃんと伝わる 男と女の言い換え図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■思いつくのは「へー」ぐらい
【シチュエーション】相手をほめたいとき

× まあ、悪くないんじゃない?

○ 似合ってるね!

「髪切ったんだけど、どう?」

「あー、まあ、悪くないんじゃない?」

「何それ……」
「髪を切った女性に対してどう言えばいいのか」問題もまた、男性たちにとっては永遠の課題です。髪を切った、メイクを変えた、新しい洋服をおろした。そうした女性の変化に、男性はそもそも気づかない、よくわからない。普段からちゃんと見ているわけじゃないし、多少変わったとしても気づくわけがない。
……と、そこまでは女性もわかっているので、「ねえ、何か気づかない?」とクイズを出すようなことは減り、むしろ冒頭のセリフのようにストレートにアピールするようになりました。これはいい傾向です。
ですがそうやって教えてもらったとしても、男性からするとろくに感想が浮かばない。思いつくのは「へー」ぐらいのものです。だから「どう思う?」と聞かれると、とても困るわけです。そこでようやく絞り出すのが「まあ、悪くないんじゃない?」という精一杯の言葉。
これが女性たちからすると面白くありません。
■評価がぬぐえない「上から目線」
男性・女性に限らず、「評価する」ということは分析やアドバイス同様、「上から目線」がぬぐえません。男性ほどは「上から目線」に敏感じゃない女性たちも、せっかくウキウキした気持ちを共有し、ほめてもらいたいのに、「悪くない」などと冷静にジャッジされるのは本意ではありません。
男性たちも相手が「ほめてほしそう」であることはわかっています。せっかくヒントをもらっているわけですから、「悪くない」と評価したり、「短くなった……?」とおそるおそる分析したりするのではなく、シンプルにほめるのがいいでしょう。
■余計なことは言わず「似合ってる」
じゃあどうやってほめるのがいいか。オススメは「似合ってる」です。
短くなったのか、色が変わったのか、細かいことはあまりわからない。流行りの髪型なのか、いつも通りの髪型なのかもわからない。であれば、余計なことは言わず「似合ってる」がいいでしょう。「かわいい」「きれい」よりも恥ずかしくなく言えるはずです。そうすれば、女性のほうから「でしょ? 最近メイクも変えたから」と上機嫌になってくれます。

髪型以外のケースで、上から目線にならずポジティブな気持ちを伝えるには、いくつか手法があります。
たとえば、うらやましがるのも効果的。ハワイに行ってきた、彼氏ができた、SNSでバズった。そんな報告を受けたら、「いいんじゃない?」と偉そうに評価するのではなく、「いいねー」と共感し、「いいなー」とうらやましがる。相手としては「ふふふ」とこれまた上機嫌になってくれます。「いいねー」と「いいなー」はセットで使えるのでオススメです。
【まとめ】「悪くない」は、ほめ言葉としてかなり「悪い」

■「今日はお子さんは?」の一言
【シチュエーション】飲み会でひと言声をかけたい

× いいダンナさんだね

○ 今日は楽しもうね!

「今日はお子さんは?」

「あ、夫が見てくれてます」

「いいご主人だね。感謝しないと」

「……」
子どもがいる女性が飲み会に参加すると、しばしば「今日はお子さんは?」「ダンナさんは?」という言葉をかけられます。中には「いいご主人だね」「理解のある家族だね」と言ってくる人も。男性に限らず、女性からも「いいなー。子どもが小さい頃、私は無理だったなー」「ウチはうるさくて」などと言われたりします。
これらの言葉の裏には「家族のめんどうを見るのが仕事であるあなたが、今日はそれを放棄してるんですね。
寛大な家族からそれを許されてることに感謝しないとね」というニュアンスが込められています。言われたほうはモヤモヤが止まりません。
毎日いろいろあるけれどがんばっている。今日だって、夫は許可なしに飲みに行くのに、私は数週間前から夫と交渉し、家庭内の予定も調整し、ようやく参加できた。それなのにそんなことを言われると、心底ガッカリしてしまうのです。「ウチにはウチの事情がある。それをろくに知りもしないで適当なことを言うな。放っておいてくれ」とせっかくの飲み会なのに、テンションがダダ下がりです。
■「ダンナさん」に代わる呼び方
大前提として、よその家族のことは放っておくべき。よかれと思ってか、イヤミを言いたくてかはわかりませんが、ずけずけと入り込んであれこれ言うのは、デリカシーに欠ける行為です。
また「ダンナ」「ご主人」「奥さん」という呼び方も、昨今避けるべき言葉になりつつあります。細かいことを言うようですが、現代社会において夫は「旦那」「主人」=「誰かの支配者」ではないし、妻は「奥さん」=「家の奥にいる人」ではないからです。
同様に「嫁さん」という呼び方もイマイチでしょう。
自分のパートナーのことを「夫」「妻」と呼ぶことは徐々に定着しつつありますが、問題は相手のパートナーについて言及する場合。個人的には、違和感があるのを承知で「夫さん」「妻さん」と呼ぶようにしています。そもそも家族の形が多様化している昨今、相手が結婚しているかどうか、子どもがいるかどうかもわからない。そんな状況では「ご家族」とあいまいに呼んでおくのも地雷を踏まないコツです。当然「彼氏は?」「彼女は?」と興味本位で聞き出すのもご法度です。
……とまあ、そんなあれこれは置いておいて、会いに来てくれたことを祝福するのが一番。「今日は来てくれてうれしい」「今日は楽しみましょう」と、目の前の時間にフォーカスした言葉をかけるのが正解となります。
【まとめ】 よその家庭の事情は放っておくに限る

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五百田 達成(いおた・たつなり)

作家・心理カウンセラー

1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。


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(作家・心理カウンセラー 五百田 達成)
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