左から
森脇 正文 氏
株式会社MWV 代表取締役
若井 なぎさ 氏
株式会社MWV ディレクター/エディター
中松 大貴
シナジーマーケティング株式会社 DX事業部 セールスグループ
藤井 絵美子
シナジーマーケティング株式会社 DX事業部 クリエイトグループ コンサルタント
出会いは展示会。現場の危機感が、変革の扉を開いた
奈良県で30年以上、地域密着の映像制作を続けてきた株式会社MWV様。「映像技術だけでは、この先選ばれなくなる」
市場調査を目的に展示会に足を運んだ若井様は危機感を抱きました。展示会の会場で目にしたのは、映像にWeb・広告・SNS運用を組み合わせて一体で提案できる競合他社の姿でした。「作る技術」はある。しかし「届ける思考」が自分たちには足りていない。そんな焦りを抱えた若井様が、当社のブースに立ち寄ってくださいました。
当社担当者は若井様から「Instagramを頑張っています」とお聞きした際、ツールの改善策ではなくこうお伝えしました。「テクニックの前に、なぜお客様は御社を選ぶのかを理解することが先決です」。手段より顧客理解を優先するという視点に、若井様は強く共感してくださいました。
「助成金が使える」——中小企業の「踏み出せない壁」を取り除く提案
展示会から帰社した若井様はその日のうちに、代表取締役の森脇様へ直談判しました。「みんなで研修を受けたいです」
市場調査のために送り出したはずのスタッフが開口一番そう言ってきたことに、森脇様は思わず驚いたといいます。
しかし話を聞くうちに、その驚きは確信へと変わっていきました。「『誰に、何を、どのように届けるか』という映像制作のプロセス自体が、実はすべてマーケティングそのものだと気付いた」と森脇様。
打ち合わせを重ねる中で、当社は単にサービスを提案するだけでなく、MWV様の企業規模や業務実態に合わせたプランを設計しました。その中で重要な役割を果たしたのが、助成金の活用提案です。
「助成金を活用できると聞いて、無理なく導入できると分かった。それが全社員で受けようという決断に踏み切れた理由の1つです」と、森脇様はおっしゃいます。
研修前——自分ごと化の難しさ
当社がMWV様と向き合う中で見えてきたのは、技術力の高さと裏腹に、組織内のコミュニケーションに課題があるという実態でした。「社内会議で活発に議論が起きることは少なく、各自が担当業務をこなすことに集中してしまい、お互いのことを知る機会が少なかったと感じています。」と若井様は振り返ります。
森脇様もまた、社名変更に込めた思いを抱えながらも、組織をどう変えていくべきか悩み、試行錯誤していたといいます。MWV様はもともと父上が創業した「株式会社森脇ビデオ企画」として出発した会社です。2代目として事業を引き継いだ森脇様は、「ビデオ」という言葉が時代とともに古いイメージを持たれがちになってきたことに加え、「自分一人が引っ張る会社ではなく、社員全員が自分たちの会社だと思える組織にしたい」という思いから「森脇」という社長の名前が入る社名から「株式会社MWV」への変更を決断されました。
背景にはもう一つ、地域への思いもありました。奈良県では映像制作を志す若者の多くが東京や大阪へ流れてしまう現状があり、地場のスタッフで映像を作る環境を守り、地域に必要な会社としてあり続けるためにも、組織としての土台をつくり直す必要があると感じていたといいます。
しかし掛け声だけでは組織の空気は変わらない。
研修設計——「体感」から始め、「自社の課題」へと落とし込む
当社のマーケティング思考研修は、大きく2段階で構成されています。
まず最初に取り組んでいただくのが、マーケティングを体感するワークショップです。座学や動画視聴ではなく、講師との双方向の対話とワークを通じて、マーケティングの考え方を身体で理解していただきます。ファシリテーションにおいては、意見を引き出す問いかけと、発言しやすい場の雰囲気づくりを徹底しています。
その結果、MWV様では普段の会議では発言が少なかったメンバーが、ワークショップでは次々と手を挙げるという変化が生まれました。「本や動画を見るだけでは頭に入ってこない部分も、講師の方との掛け合いやワークを通じて体感的に学べました。また普段の業務とは違う視点で意見を出し合うことで、この人はこんなふうに考えていたのか、とメンバーの内面や価値観を知ることができ、相互理解も深まりました」と若井様はおっしゃいます。
次に、3C分析やカスタマージャーニーなどのフレームワークを用いたフレームワーク実践研修では、実際の自社事業やお客様を題材に課題を整理していただきます。他社分析を通じて「ここが自分たちの強みだ」という気づきが生まれる一方で、「お客様が求めているのに、自分たちが発信できていないギャップ」も明確になっていきました。
MWV様では特に「お客様は誰か」という問いをめぐって活発な議論が生まれました。子どもたちの思い出事業において、お客様は保護者なのか、幼稚園・保育園なのか、それとも子ども本人なのか。若井様は「お客様と一口に言ってもさまざまな視点があると気付けたこと、その議論をメンバーとできたこと自体が大きな収穫でした」とおっしゃいます。
森脇様もまた、「それは私が長年一人で抱えてきた問いでした。それをメンバーが自分ごととして考え始めた瞬間を見て、感慨深いものがありました」と語ってくださいました。
研修後——企画書が変わり、会話が変わり、組織が変わり始めた
当社の研修を受講いただいた後、若井様の企画書や提案書に、明確な変化が生まれました。企画書の質が変わりました。
「根拠と論理を持って提案できるようになった」と若井様。森脇様も「若井が持ってくる企画書の精度は、研修前と比べて格段に上がっている」と評価してくださっています。社内の会話が変わりました。
全社員が同じ研修を受けたことでマーケティングに関する共通言語が生まれ、「このターゲット層にはこのメッセージが刺さるはず」という議論が、目線を揃えた状態でできるようになりました。自発的なアイデアが生まれるようになりました。
研修を通じて強みや課題が可視化されたことで、「Webサイトにこの強みを載せては」「採用ページを用意すべきでは」といった具体的なアイデアが、メンバーから自発的に出てくるようになりました。
研修終了後、社員が自ら社長へ動いた
そして、最も象徴的な変化が訪れます。研修の最終日を終えたとき、MWV様の社員の方々から自発的に声が上がりました。
「社長、これで終わりですか? せっかく学んだので次につなげたい、実際に行動したいです」
「私が促したわけでも、求めたわけでもない。研修前の、なかなか意見が出なかった頃と比べると、信じられない変化でした」と森脇様はおっしゃいます。
当社が目指すのは、知識をお伝えするだけの「研修会社」ではありません。マーケティングの基礎知識を身につけていただくことはもちろん、受講後に社員が自ら動き出す、意識変革の場を設計することです。MWV様でのこの言葉は、そのことを示す一つの事例となりました。
「みんなで創る会社」へ。変革は、始まったばかり
社名変更に込めた思い、「社員全員が自分たちの会社だと思える組織にしたい」という森脇様の願いは、まだ道の途中にあります。それでも今、その歩みは確かに始まっています。「みんなが意見を言える環境ができたことが、何よりの成果です。自分たちだけでは難しかったことが、プロに伴走してもらうことで実現しました」と森脇様。
若井様も「ワークショップで投げかけられたたくさんの問いが、自社の強みやこの映像はどうあるべきかをみんなが考えるきっかけになりました。これが、自分たちの会社を考える第一歩になったと思います」と続けます。
技術を持ちながら、価値の届け方を学んだMWV様。助成金を活用し、全社員で受けたマーケティング思考研修が、30年以上続く映像会社の次の章を、静かに、しかし確実に開き始めています。
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「研修はゴールではなく、スタート」——伴走支援という姿勢
森脇様からは「実務の中でペルソナ設定などに悩むこともあると思うので、引き続き壁打ち相手や伴走役をお願いしたい」というお声をいただいています。当社は自らを「研修会社」とは位置づけていません。知識をお伝えして終わりではなく、学びが実務の中で機能し、成果につながるところまでを支援の範囲と考えています。研修後も壁打ちや継続的なアドバイスを通じてお客様の現場に寄り添い続けることが、当社のサービスとしてのこだわりです。
当社のマーケティング人材育成サービスについて
当社は「マーケティング思考研修」をはじめとする「マーケティング人材育成サービス」を提供しています。「企業のなりたい姿を共に目指し、実務に直結する人材を育てる」ことをコンセプトとしています。20年以上・約5,500社(※1)の支援実績に基づくノウハウを活かし、eラーニング・ワークショップ・実践研修など多角的な手法で、企業の課題や成熟度に応じた最適なプログラムを提供します。「マーケティング人材育成サービス」は「知る(概念理解)」「わかる(知識習得)」「できる/考えられる(実行)」「成果を出す(評価・改善)」の4ステップで構成され、戦略策定から実行・検証までを企業のニーズに応じて必要なステップを支援。社員の知識レベルを底上げし、事業成長に直結するスキル定着を促します。
「マーケティング人材育成サービス」全体について:
https://dx.synergy-marketing.co.jp/lp/dx/marketing_education/
(※1)2026年1月時点のSynergy!およびSynergy!LEADの累計導入社数(ECショップ・官公庁・医療業界・ホテル業界・人材派遣業界・製薬会社・保険会社・ゲーム会社・出版社など多岐にわたる)