台湾メディアの中時新聞網は21日付で、中国当局が早ければ5月に「限韓令」を撤廃する可能性があるとして、状況の推移とネット上での反応を紹介する記事を発表した。

限韓令とは、中国側が韓国での高高度ミサイル(THAAD)配備に反発して発動した、自国内での韓国関連の芸能活動を凍結する措置だ。

中国政府は「限韓令は存在しない」と表明してきたが、実際には韓国ドラマや映画の放送や上映、韓国製ゲームの進出、K‐POP公演などが行われない状態が続いてきた。韓国の娯楽業界の損失は最大で22兆ウォン(約2兆3000億円)に上るとの推計もある。

限韓令の解除が見込まれる背景には、今年には韓国がアジア太平洋経済協力(APEC)の議長国を務め、来年には中国が議長国を務めるため、両国が協力関係を強化する方針を固めたことがあるとされる。さらに、国際情勢の変化に伴い、中韓間の多分野における協力の必要性が高まっていることも影響しているとみられる。

韓国メディアの報道によると、中国のAPEC担当の高級官僚が、中国は来月、民間文化使節団を韓国に派遣し、両国の文化交流を段階的に再開する計画だと述べた。市場はこの情報を好感し、20日には韓国の娯楽、化粧品、観光などの関連産業の株価が一斉に上昇した。

限韓令が解除されれば、韓国の芸能界にとっては、中国という巨大市場を再び手に入れることができる。中国側の韓国芸能ファンにとっては、映像作品の鑑賞が容易になり、中国国内で催される公演などを楽しむことができることになる。双方にとって「実利」があると思われるが、ネット投稿を見ると、反応は「微妙」であるようだ。

韓国のネットユーザーからは「限韓令があったからこそ、韓流文化は世界に広がり、より大きな市場を開拓できた」との投稿が寄せられた。限韓令の解除をもろ手を上げて評価はしていない意見だ。

一方、中国のネットユーザーからは「オッパ(韓国語で『お兄さん』)やオンニ(同『お姉さん』たちがまたやってくるのか。

熊猫妹も、もう他人を羨まなくてすむな」との投稿が寄せられた。「熊猫妹(パンダ妹)」とは、韓流ファンの中国人女性を指すことばで、時として韓国のアイドルや映像作品に夢中になる女性を揶揄(やゆ)するニュアンスを込めて使われる。

中国のネットユーザーからはさらに「(限韓令を)解除しないでほしい、また、ヘナチョコオネエ男の文化が入って来る」といった投稿も寄せられた。(翻訳・編集/如月隼人)

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