博報堂生活総合研究所・上海と胡潤研究院がこのほど発表した「高額資産保有層の消費マインドと行動に関する調査報告2025」によると、中国における高額資産保有層(富裕層)の世帯数は2年連続で減少した。また、富裕層の中で、「個人としての経済状況に余裕がある」と回答した人は2021年比で29%も減少した。
同ランクは、家庭の可処分資産が600万元 (約1億2100万円)以上の場合を富裕層、200-600万元(約4030万-1億2100万円)の場合には中間層として、中国各地の大小都市の富裕層800人、中間層400人を対象にオンライン調査で実施した。一部ではあるが、実地対面または映像を利用しての聞き取りも実施したという。
2024年の中国の富裕層は、前年比0.3%減の512万8000世帯だった。減少幅は大きくないが、514万2000世帯だった23年から2年連続で減少した。
24年には、富裕層に属する人の中で「個人の経済状況にとても余裕がある」「比較的余裕がある」と回答した人は計60%で、21年の計89%から29ポイントも下落した。24年の調査で「生活にとても満足している」と回答した人は18%とで、21年の31%から13ポイント減少した。
24年の調査で「最も大切なもの」として「健康」を選択した人は65%だった。21年の調査では56%で、いずれも用意した選択肢の中で最も多かった。「個人の時間」は、21年の調査では18%の人が選択して選択肢の中で4番目に多く選ばれたが、24年調査で選択した人は16%で、選ばれた多さの順位では第7位だった。逆に「金銭」は、21年の調査では15%の人が選び、選ばれた多さの順位では10位だったが、24年調査では30%の人が選び、選ばれた多さの順位では第3位だった。
24年調査で、富裕層の消費意欲スコアは平均で79.7ポイントで、中間層は76ポイントだった。富裕層の中では、消費意欲スコアが極めて高い80ポイント以上の人が48%に達し、中間層の34%を大きく上回った。
「調査報告2025」は、過去数年間の社会と経済状況の変化は、富裕層に大きな影響を及ぼしたとして、「将来の資産や事業に対する期待の大きさ」「階層上昇への意欲」「能力や知識の蓄積に対する重視の度合い」「個人生活への関心度」「現状への満足度」「現状への満足度」という観点に基づき、富裕層の考え方や行動方式を6タイプに分類した。以下は、6タイプとその特徴で、( )内は、その割合だ。
能力蓄積派(30.4%) 自らを向上させるために出費。今は英気を養う。派手な行動はせず、長期的に将来に備える。
立ち止まり派(25.0%) 出費の水準を下げざるをえなくなった。今は、元の生活に戻れることを期待して、機会をうかがう。
どうでもよい派(17.4%) 現状に満足している。豪華な出費は減らし、自己としての体験に回帰する。
上昇志向派(11.9%) 強い上昇志向を持ち、ぜいたくな消費や社交関連の消費で、自らの実力を示す。
自分探し派(8.8%) 本当の意味での「自分らしさ」を追求し、「好きなもの」のために出費する。
没落派(6.6%) 富裕層から滑り落ちるリスクに直面している。支出は非富裕層の人と変わらない。(翻訳・編集/如月隼人)