2025年8月25日、多額の負債を抱えていた中国の不動産開発最大手・恒大集団が香港証券取引所で上場廃止となり、中国不動産業界の「黄金時代」の終幕を象徴する出来事になったと報じた。
記事は、香港証券取引所が今月12日、恒大集団が18カ月の取引停止期間を経ても取引を再開できなかったために25日に上場廃止することを決定した通告を出していたことを紹介し、25日をもって同社上場が正式に廃止されたことを伝えた。
そして、同社が09年11月に時価総額90億ドルで香港市場に華々しく上場し、8年後には時価総額が一時510億ドルまで高騰したものの、ここ数年の債務危機により2億8200万ドルまで暴落し、株価もピーク時の1株31.39香港ドルから昨年1月の最終取引日には0.163香港ドルまで下落していたと紹介。同社は多額の借り入れによって不動産開発に乗り出す手法で経営を拡大してきたが、中国政府が20年に不動産市場の過熱抑制と金融リスク防止のために規制を強化したことで、深刻な債務問題が表面化したと解説し、債務総額は約3000億ドル(約44兆円)にまで膨らんでいたと伝えた。
また、同社の創業者である許家印(シュー・ジアイン)氏が23年から当局に拘束されており、同社の清算人が許氏と元配偶者の海外資産の凍結、許氏や元役員らに支払われた60億ドル(約8800億円)の配当金と給与の回収を求めて訴訟を起こしているとした。債権者からの請求総額は450億ドル(約6兆6000億円)に上る一方、清算人が回収できたのは約2億5500万ドル(約380億円)にとどまっており、同社の弁護士が清算プロセスには最長10年もの時間がかかり、回収可能な資金はごく一部に限られるとの見通しを示したことを紹介している。
記事は、仏投資銀行ナティクシスのエコノミストが同社の上場廃止について「大部分が象徴的なもの」としつつ、中国不動産業界の黄金時代の終わりを告げるものだと分析したことを紹介。債務危機はすでに業界全体にまで波及しており、先日は不動産開発大手・華南城が香港高等法院から清算命令を受けるなど、21年以降で香港の裁判所から清算命令を受けた中国の不動産企業はすでに6社に上るとした。
さらに、中国国内ではかつて国内総生産(GDP)の約4分の1を占める支柱産業だった不動産業界の再建を試みる動きが出ているものの、専門家からは「人々の懐が寂しい時、消費需要とマインドを立て直すのは難しい」との指摘が出ているとし、景気が低迷する現状では再興は難しいとの見方を示した。(編集・翻訳/川尻)