中国で都市散策の「シティーウオーク」に続いて、このところ人気を集めるようになっているのが都市での宝探しゲーム「シティーハント」だ。ポストカードやマグネット、アクセサリーなど、ちょっとしたプレゼントを街のどこかに隠し、隠した人はその画像と場所をネット上にアップする。
社会学者は「都市での宝探しゲームは若者がつながりを持つきっかけとなっている。それはリズムの速い生活において、ストレスを発散する機会となっており、人と都市の距離も縮めている。合理的にリードすれば、こうしたゲームは都市の文化と観光の発展をバックアップしてくれる可能性がある」との見方を示した。
王洋(ワン・ヤン)さんは日曜日の昼、北京地下鉄の十里河駅の近くのある場所に中国の古い貨幣「金元宝」をデザインした小さな置き物に「疲れた時はちょっと一息ついてからまた頑張ろう。このプレゼントがあなたに幸運をもたらしますように」というメッセージを書いた付箋を貼り付けて隠し、その画像と位置情報をSNSアカウントにアップし、「縁のある人」が見つけるのを待った。すると、半日もしないうちに、コメント欄に見つけた人から画像が送られてきた。コメントには絵文字と感謝のメッセージが添えられていた。

王さんが見つけやすい場所にプレゼントを隠すのとは異なり、胡紅(フー・ホン)さんは路地や花壇といった場所に宝を隠し、ソーシャルメディアには「恥ずかしそうに半分隠れる宝」をアップ。さらに、おおよそのエリアと方角を教えるだけで、宝を袋の中に入れてわかりにくいようにすることもあるのだという。胡さんは「花壇に隠す時は、薄緑色の袋に入れることで、周囲に溶け込ませるようにしている。
ソーシャルメディアで検索してみると、多くの若者が都市での宝探しゲームに参加している。胡同(伝統的な民家が建ち並ぶ細い路地)のレンガの隙間にはマグネットが隠されている可能性があり、路線バスの停留所の隣にある草むらには大学院受験対策用の単語帳が隠されている可能性がある。ゲームに参加する人はみんな真剣で、コメント欄には「とても面白い。次もまた参加したい」というメッセージが続々と寄せられている。
中国社会科学院・社会学研究所の研究者・朱涛(ジュウ・タオ)氏は、「『宝探しゲーム』はとても興味深い社会現象と言える。一部の若者、特に大都市の若者は、それが大好きで、夢中になっている。こうしたゲームを通して、今の若者は生活において、意義のあることを探し求めていることが分かる。今の社会は、仕事のストレスが大きく、生活のリズムが速く、こうしたゲームに参加するとストレスを解消することができ、満足感を覚えることもできる」とし、「特に、北京には他の地域からやって来た人がたくさんいる。こうした人々は生活の中でどこかなじめず、居心地の悪さを感じているものだ。また、人と人のつながり、人との触れ合いというニーズは永遠に存在する。
ネットユーザーたちが自らこうしたゲームを楽しんでいるだけでなく、一部の公的機関もその現象に注目し、参加している。例えば、首都図書館は今月、ソーシャルコマースプラットフォーム・小紅書の公式アカウントで、「書籍『我与地壇』、しおり、ひょうたんの縫いぐるみキーホルダー、手書きのレターなどの宝を図書館の外に隠したので、ぜひ探してください」と投稿。宝を見つけたネットユーザーが次々と画像をアップし、「ラッキー。首都図書館が隠した宝を見つけた。手書きのレターは気持ちがこもっている!」といった感謝の言葉を寄せた。(提供/人民網日本語版・編集/KN)