長く苦しい下積み時代の果てに浜田省吾プロデュースのもとメジャーデビュー。そして、念願のNHK「みんなのうた」に「ギターケースの中の僕」が起用され夢を叶えたシンガーソングライター・中嶋ユキノ。
今回のインタビューでは、その夢のつづきとも言える新たなヴィジョンや、浜田省吾に「何年かかったとしても、この曲たちは必ず届くと思うんです」と断言したという新ミニアルバム『新しい空の下で』についてがっつり語ってもらいながら、彼女のハートフルな人間性≒音楽性を紐解かせてもらった。

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ー前回のインタビューでは、下積み時代含む音楽人生の先で夢に辿り着くところまで語って頂きましたが、夢を叶えたあとはいかがですか?

NHK「みんなのうた」に「ギターケースの中の僕」が起用されてひとつ夢を叶えたわけですけど、それによって私のことを知って下さる方も少しずつ増えて、親子であの曲を聴いたという方々の声も聞いたりしたので、すごく嬉しかったですね。あと、合唱曲として男女混合で歌えるような譜面を自分で書いて、音楽の教科書に載せて頂いて学生の皆さんに歌ってもらいたい……という「みんなのうた」から派生した新たな夢もできまして。

ー夢を叶えたことで、また新たな夢が生まれたんですね。

小さい頃から波乱万丈な音楽人生を送って、いろんなことをやらせて頂く中で「夢がひとつ叶うと、またさらに夢が増えていく」ということに「ギターケースの中の僕」が気付かせてくれたんですよね。

ーただ、その夢を叶えてくれた「ギターケースの中の僕」のリリースタイミングがコロナ禍の真っ只中で、ライブの中止などもあったと思うんですけど、今振り返るとどんな日々だったなと思いますか?

とにかく「声を出せない」ということで、ライブに来てくださるファンの皆さんと「どこから来たの?」「〇〇から来ましたー!」みたいな会話が出来ないし、笑い声すら思い切り出せない状態だったので、アーティストの皆さんもすごく苦しんでいらっしゃいましたし、私自身も「ライブをやったらどうなるんだろう」と思っていたんです。
でも、私は逆に、意識を良い方向へ変えられたところもあって。私は今までライブというものに対して「間違ったらどうしよう?」とか「MCで何か言ってヘマしたらどうしよう?」という気持ちがあったんですね。それはきっと下積みが長かったせいもあると思うんですよ。上手くいかないことを繰り返してきたので、どうしても……。

ー失敗するイメージを浮かべてしまう?

そうなんですよ! 成功体験が少ないから(笑)。ただ、このコロナ禍の中で、それでもライブに足を運んで下さる方たちというのは、感染リスクがあるかもしれないし、誰かに感染させてしまうかもしれない、そういう状況下でチケットを買って来て下さるわけじゃないですか。
それがとても有難くて、なんて心の励ましになるものなんだろうと思ったんです。だから「間違ったらどうしよう?」とか考えている場合じゃないと。お客さんの手拍子やマスク越しの笑顔に対して全力で応えたいと思ったんですよね。そういう意味では、コロナ禍というマイナス要素を自分の中で変換できて、ライブを全力で楽しめるようになれたのは、私にとってプラスの出来事だったんです。

ーファンの想いに突き動かされたわけですね。

ただ、去年の「ふたり旅2022夏~あなたの街へ~」というツアーは、私がコロナに感染して中止にしてしまった公演が4本もあって。
最後の公演はなんとか復帰して「本当に申し訳なかったな」と思いながらその日を迎えたんですけど、ステージに出た瞬間にファンの皆さんが泣いていらっしゃったんですよ。それを見たときに「こんなに楽しみにして待ってくれていたのね!」とグッと来てしまって。1曲目、声が震えて震えて仕方ない状態で歌ったんですけど、ボードに「おかえり」と書いて出迎えてくれる方もいらっしゃいましたし、あの瞬間は本当に嬉しかったですね。

ーユキノさんにとってファンはどんな存在なんですか?

私がわりとへなちょこな部分もあったりするので、子供を見るようだったり、友達を見るようだったり、妹や親戚の子を見るようだったり……そういう意味で、本当に支えて下さっている存在ですね。私自身も憧れの対象として見られるよりは、手を繋いで「本当にそうだよね!」って分かち合えるような関係性でいたいので、例えば「あ! 中嶋さん出てきた!キャー!!」みたいな感じではないと思います(笑)。

ーこの数年間は、コロナ禍は苦しめられた一方で、そんなファンの皆さんと絆を深められた期間でもあったわけですね。


そうですね。コロナ禍になって(ライブ代わりの)交流の機会としてLINE LIVEでよく配信していたんですけど、それも私とファンの皆さんの距離を縮めてくれた要因のひとつで。無料で気軽に観られる配信で歌ったり、ファンの方のコメントを拾ってお話したりしていく中で、私のワチャワチャした人柄を知ってもらえたんですよ。それまではアーティスト写真のお淑やかでマジメそうなイメージを抱いている方が多かったんですけど、実際にネットを通して会話したことで「あ、こんなにフランクな人なんだ!」と。

ー素に近い自分を見てもらったことで、開けた世界があったと。

それによってライブでの温度や距離感も変わった気がしますね。
特にこれからライブでの(観客の)声出しがOKになると、リアルな会話もできるようになるわけじゃないですか。私の中でライブは、自分の部屋に「ようこそ!」と招き入れるような感覚でありたいと思っているので、みんなとおしゃべりできるようになったらもっと距離感が縮まるんじゃないかなって。

ーちなみに「ギターケースの中の僕」で「みんなのうた」に起用されるという夢を叶えたわけですけど、それを実際にみんなで歌うというアプローチはコロナ禍で実現できなかったわけじゃないですか。

そうなんですよ!「ギターケースの中の僕」をリリースしたときに、ライブに来てくれたお客さんひとりひとりに歌詞カードを配って「それでは、みんなで歌いましょう!」みたいなことをしたかったんですけど、それがずっと出来なかったんですよね。

ー今こそ叶えたいんじゃないですか?

叶えたいです! 私、ライブで実現したい夢があって。それは中嶋ユキノの歌を全曲、最初から最後までみんなで歌うことなんです。
例えば「真ん中から右の皆さんはこのパート、左の皆さんはこのパート」みたいなコーラス割りとかもして。そんなライブが出来たら最高だなってずっと思っているんです。みんなでリアルカラオケライブみたいな。それこそ「みんな主役だよ!」って言い切れるライブになると思うんですよね。会場全体が主役になったら、みんな超ハッピーじゃないですか。

ー実現したら音楽史上初のライブになりますよ。聴くだけじゃなく歌うことで込み上げてくる感情ってありますから、みんなで泣きながら大合唱しているような光景だって生まれるでしょうし。

実現したいですね。なんで曲を作っているかと言ったら、皆さんと共有したいからなんですよ。それを間接的じゃなくリアルで直接的な場で実現できたら、曲を作っている身として最高の瞬間だと思うんです。なので、早く堂々とマスクを外してみんなで歌える状況になってほしいですね。

ーそんな夢が膨らみまくっている中嶋ユキノさんの新作、ミニアルバム『新しい空の下で』が完成しました。どんな作品を目指して制作されたものなんでしょうか?

今春に「中嶋ユキノ アコ旅2023 ~新しい空の下で~」を開催するんですけど、そのツアーに出るにあたって新しい作品をリリースしたいと話していて。それで、配信シングルとかいろいろ選択肢はあったんですけど、それこそ「ギターケースの中の僕」以降に作った曲や今まで温めていた曲をバァーっと並べて、今の自分を表現できる6曲をミニアルバムという形で制作することになったんです。

ー自身では、仕上がりにどんな印象や感想を?

いちばん最後のボーカル録りが「新しい空の下で」というタイトル曲だったんですけど、それが終わってミックス作業をしているときに「本当に良いミニアルバムが出来たな」と思って。浜田省吾さんとサウンドプロデュースしてくれた宗本康兵くん、エンジニアの野口さんに「何年かかったとしても、この曲たちは必ず届くと思うんです」って初めて口にした自分がいたぐらい、すごく自信を持ってお届けできる作品になったなと。

ーそこまで確信できた要因は何だったんですか?

今までは歌詞を書く上で、自分と違う主人公を立てることも多かったんですけど、今回のミニアルバムは浜田さんから「中嶋さん自身のことを書いたらどうですか?」というアドバイスがあったんです。例えば、1曲目「はじまりの鐘」は、最初は頑張るサラリーマンやOLさんに向けて書いていたんですけど、そうじゃなくて私が今想っていることを書こうと。それですごく深堀りしていって、嘘偽りない自分を表現していったんですよね。自分の想いを怖がらずに示して「私は今こう思っているんだよね、みんなはどう?」みたいな。そういう6曲が今作には収められているので、絶対に届くに違いないと思って。

ーなんで浜田さんはこのタイミングで「自身のことを書いたらどうですか?」と提案してくれたんですかね?

歌詞の書き方的に、私が歌詞提供をしていたこともあって「こういう言葉を使えば美しい表現になる」とか「この言葉は歌詞には合わないんじゃないか」とかそういう固定観念が今まであったんですよね。それによって綺麗にまとまった歌詞は書けていたと思うんですけど、でも、心をちょっと抉られたりとか、グッと来るような歌詞ってその人の人間味が溢れている。浜田さんとそんな話をしている中で「中嶋さん、普段想っていることいっぱいあるんじゃないですか?」と。固定観念を取っ払って、私の人間性をもっと表出させたほうが良いと思われたんだと思います。

ー殻を破ってくれたわけですね。

それの良い例が5曲目の「All or Nothing」なんですけど、この曲こそノンフィクションソングです。例えば「朝っぱらから YouTube開いて 今流行りの 動画をひとり見てた」なんて日常の超リアルで、そのあとの「認めたくなんか これっぽちもないけど 心のどこかで いいね!をつけてしまう」とか、2番の「不安ばかり いつもかき集めて それでも お腹は空いてしまうし 寝たら半分くらい 忘れちゃうけど」みたいな感覚って皆さんの中にもあると思うんですよ。ただ、私はそんなことを歌詞にしちゃっていいのかと思っていて。でも、浜田さんが「この曲でいちばん良いところはここ!それでも お腹は空いてしまうし 寝たら半分くらい 忘れちゃうけど……ここに中嶋さんの人柄が出ていますよね」と言って下さったんです。

ーなるほど。

以前の私だったら「歌詞でこんなこと書いちゃっていいのかな?」と思っていたんですよ。良い人に見られたいし、良い風に思われたいみたいな自分がいたりして。それを今回取っ払えたのは大きい変化でしたね。

ーただ、素の自分を見せるのは勇気が要ったんじゃないですか?

要りますね。歌詞を書くというのは、自分の中身を見せる行為でもあるので。なので、私にとって作詞はラスボスなんですよ(笑)。ひとつの歌を完成させるうえで作曲とか歌入れとかいろいろあるんですけど、いちばん核になるのは歌詞なので。それが書けたときに自分でも「こんなお話だったんですね、この曲は」とようやく全貌が見えてくるので、そこで素の自分を書いてしまうということはすごく勇気が要るんですよね。でも、今回の制作で挑戦してみて殻を破ることができましたし、改めて歌詞の重要さを感じることができました。

ー「All or Nothing」以外の収録曲についても触れていきたいのですが、1曲目「はじまりの鐘」。最初は頑張るサラリーマンに向けて書いていたそうですが、最終的にどんな曲に仕上がったなと感じていますか?

前回のインタビューで「私は楽器を一切やったことがない人間だったので、アカペラでメロディを付けていたんですよ。それがシンガー・ソングライターとしてのルーツですね」とお話しさせて頂いたんですけど、その初心にかえる作り方をして。iPhoneのボイスメモにメロディーを最初から最後まで「ラララ♪」で入れていって、あとから伴奏を付けて、頑張るサラリーマンやOLさんに向けて「夢はいくつからでも始められる」というテーマで歌詞を書いていたんですけど、自分自身の歌にしようとなったときに「ステージに立つまでの歌にしてみよう」と。バンド仲間と新幹線に乗って旅へ出て、ライブ会場のある土地に着いて、車に楽器を詰め込んでワイワイ話しながら走り出す。そこから自分のストーリーを描いていこうと。

ーロードムービー的な要素を取り入れたんですね。

EP『ギターケースの中の僕』の中に「時がたっても」という曲を収録したんですけど、それはライブが終わったあとの模様というか、街に出て過ごしている様子だったり、ライブというものに対しての想いを書いたんです。それをライブの最後に歌うとしたら、ライブのはじまりに歌うのは……と想像しながら書いていった曲が「はじまりの鐘」なんです。なので、今回のミニアルバムでも1曲目に持ってきました。

ー「「あの頃は幸せだった」じゃなくて「あの頃より幸せ」って言える未来がいい」というフレーズが印象的でした。

これは自分が残していたメモにあった言葉なんですけど、これだけいろんなことを経験させて頂いている音楽人生の中で「常にアップデートしていたい」と私は思ってきたので、昔のほうがよかったと思うのはイヤなんですよね。「あの頃に戻りたいな」みたいな自分もたまに顔を出してくるんですけど、そうじゃなくて本当にちいさいことでもいいから「今がいちばん良いよね」と思える経験を積み重ねていきたいんです。

ー「あの頃は幸せだった」と思いがちな心に刺さる曲でもありますよね。そういう意味での共感性が今回のミニアルバム『新しい空の下で』には溢れていて。素の自分を露わにしている作品ながら、独り善がりにならない。これはユキノさんがポップスを歌う人としての才覚に恵まれているからだと思いました。

歌詞を書く=共有するという意識が強いからでしょうね。自分が聴いて共感する、自分自身もその曲や歌詞のファンでありたい。という想いが昔から変わらずあるんですよ。イチリスナーとして「だよね!」って私も言いたいんです。他のアーティストさんの曲を聴くときも「だよね!」と思える歌を好きになるので、自分もそういう曲を歌っていきたいんですよね。

ー続いて、2曲目「なんでなの!?」。こちらも日常を切り取った、その上で振り切ったポップソングですよね。

これは「ライブで盛り上がれる曲をつくろう」と決めてつくっていて、最初はこのメロディーだったら「みんな、お茶でも飲みに行こうよ」みたいな感じの歌詞かなと思っていたんですけど、なんかサビが締まらなくて。それで「中嶋こんなに頑張ってんのに何とかならないの、なんでかな~!?」と冗談半分で言っていたら、「あ、これかもしれない」と思って(笑)。そこから頑張っていても上手くいかない、でも愛されキャラのOLさんを主人公にして「なんでなの!? なんでなの!?」っていう毎日をひたすら繰り返していくストーリーが浮かんだんです。

ー実際に自分が「なんでなの!?」と思っていたら「なんでなの!?」という曲が完成してしまったという(笑)。

そうなんですよ。しかも結果的に「中嶋らしさってコレなのかな」と思える楽曲になって。ちなみに「ストレス解消のために ハンバーグでも作ろう」という歌詞があるんですけど、なんでハンバーグを選んだかと言うと、ストレス解消になる料理が何か考えたときに「フン! フン! コノヤロウ!」と言いながらひき肉をこねる姿が浮かんできたからなんですよ(笑)。そしたら「お肉もパン粉も買ったし」とか「上手く焼けたな! ガッツポーズ」なんていう、以前の自分だったら絶対に書かないフレーズも飛び出してきて!

ーハジけたナンバーが生まれたわけですね。続いて、3曲目「誰かにそっと」。こちらは打って変わって重みのある、切ない失恋ソングになっています。

これはすごく落ち込んだ日があって。部屋に帰って、間接照明に照らされているギターを見て、おもむろにそのギターでマイナー調のコードをぽろぽろ弾いていたら、自然と「誰かにそっと 誰かにそっと」というサビの部分を歌っていたんです。で、いつの間にか曲を書き始めていた。失恋ソングは今までも書いてきたんですけど、この曲は最後まで「あなた」という言葉を使っていないんです。ずっと「あなた」という具体的な対象を掻き消すように「誰か」を探していて、だけど、やっぱりいちばん最後には「あなた」になってしまう……という、自分の中で新しい書き方をした曲なんですよね。

ー結局「あなたにそっと」と思ってしまう切なさ。これも共感性が高い。

ただ、この曲をレコーディングしていたときに「どうして 街で似た人を見かけると 気づいたら追いかけてしまうんだろう」という歌詞に対して「……これ、怖くない?」と言われてしまって(笑)。でも、こういうシチュエーションってあると思うんですよ。追いかけるまではしないとしても、好きな人に似ている人がいたら「あれ、今いた?」って振り返ってしまったり。

ーただ、ユキノさんは追いかけてしまうかもしれないと。

追いかけるかもしれない。今の時期はマスクしていて誰だか分かんないから余計に怖いかもしれないけど(笑)。

ーそのフレーズに限ったことじゃなく、本当に振り切れた歌詞が多いミニアルバムですよね。4曲目「虹」も「愛しい人と共に新しく 生きてね」など突き刺さるフレーズのオンパレードですが、この曲はFairlife(浜田省吾・春嵐・水谷公生のプロジェクト)のカバーなんですよね。

この曲をカバーさせて頂いたのは、浜田さんから「中嶋さんの歌声と歌い方に合うと思し、ライブでもすごく映える1曲になるはず」と仰って頂いたからなんです。それで実際にレコーディングしてみたら、曲調もそうですし、感情を込めて歌い上げるんじゃなくて淡々と感情を歌う……その世界観が自分に合っているなと感じまして。ただ、春嵐さんが書かれている「あなたの記憶が碇(いかり)となって 私をとどめている」という詩的な表現。これは絶対に私には書けないなと思いました。ひとつ前の曲「誰かにそっと」で「街で似た人を見かけると 気づいたら追いかけてしまう」と歌っているぐらいなんで(笑)。でも、だからこそすごく新鮮な感覚で歌うことが出来たんですよね。

ーそして、先程お話し頂いた「All or Nothing」に続いて、6曲目「新しい空の下で」。こちらはユキノさんにとってどんな存在の楽曲になっているんでしょう

この曲はずっと温めていた曲なんですけど、歌詞を浜田さんと共作させて頂きました。その歌詞の中にも出てくるんですけど、生きるということ、愛するということ、守るということ、希望……そして、人生の終わりの向こう側はどうなっているんだろう。誰もが日々色んなことに対して不安になりながら、葛藤しながら生きていると思うんですけど、でも、明日が来るかどうかも分からない。未来がどうなっているかも分からない。それは誰にも分からないわけですけど、その中でも最後に辿り着いた答えが「今、この瞬間をひとつひとつ積み上げていった先に明日と未来がある」ということで。そこを自分も信じたいし、これからもその気持ちを大切にしたいと思って書いた曲が「新しい空の下で」なんです。

ーどうしてそういう曲を書きたいと思ったんですかね?

好きなことをしているのに、好きな歌を歌っているのに苦しくてツラい。そういう瞬間もあって「私はこれからどうなっていくのだろう」と考える。そこにずっと答えを見出せずにいるんだけど、結局は毎日をひたすら一生懸命生き続けた結果が今に繋がっていて。であれば、今この瞬間をひとつひとつ大事にしていけば、なりたい自分や辿り着きたい未来へ近づいていけるんじゃないか。そういうことを常に思っていたんですよね。それで書いてからずっと温めていた曲なんですけど、2023年春のツアーをやるとみんなで決めたときに「そのツアーのタイトルは「新しい空の下で」だな。遂にこの曲を表題に掲げてツアーに出るときが来た」と思ったんです。

ーそんなユキノさんの音楽人生においても重要な作品を携え、全国をまわるツアー「中嶋ユキノ アコ旅2023 ~新しい空の下で~」。どんな旅にしたいなと思っていますか?

『ギターケースの中の僕』を携えたツアーもそうだったんですけど、ピアノボーカル、ギター、パーカッション、ベースの4人編成で全国をまわるんです。そして「アコ旅」ということで、もちろんアコースティックサウンドではあるんですけれども、私たちが奏でるサウンドはアコースティック+αというか、時にロック、時にポップス、時にバラード、時にシンプルなフォークと、本当にいろんなジャンルのサウンドが散りばめられているので、しっとりとアコースティックで聴かせるというよりは、みんなが元気になれる曲も盛り上がれる曲もある。というわけで、もちろん私がメインボーカルではあるんですけど、バンド全体で魅せていく感じになるので、初めての方もきっと楽しんで頂けるライブになるんじゃないかなと思います。

ー前回のインタビューで、日本武道館に立つことを夢として掲げていらっしゃいましたが、その想いは今も変わりなく?

そうですね。ただ、武道館でライブをやるということは、その前にホールをまわれるようになったり、いろんなストーリーをまだまだ歩んでいかなければならないので、本当にひとつひとつのアクションを大切にして、ひとりひとり聴いてくださる人たちを増やしていきたいと思っています。本当に「楽曲を皆さんと共有したい」という想いが強くあるので、この記事を読んで興味を持って頂けたらミニアルバム『新しい空の下で』を聴いて……ライブに遊びに来てほしい! 私たちの生の歌と生の音楽をぜひ体感しに来てください!

<リリース情報>

中嶋ユキノが破った自分の殻、新作で表現した嘘偽りのない自分


中嶋ユキノ
『新しい空の下で』
発売中
価格:¥1800+税

=収録曲=
1. はじまりの鐘
2. なんでなの!?
3. 誰かにそっと
4. 虹
5. All or Nothing
6. 新しい空の下で

<ライブ情報>

中嶋ユキノ アコ旅2023 ~新しい空の下で~
2023年3月19日(日)宮城 仙台 darwin
2023年3月25日(土)福岡 ROOMS
2023年4月2日(日)北海道 札幌 cube garden
2023年4月8日(土)大阪 梅田 BANANA HALL
2023年4月9日(日)愛知 名古屋 BL cafe
2023年4月15日(土)富山 富山県民小劇場 ORBIS
2023年4月22日(土)広島 Live space Reed
2023年4月23日(日)岡山 MO:GLA
2023年4月27日(木)東京 SHIBUYA PLEASURE PLEASURE

Official HP:http://nakajimayukino.com/