目録に掲載されていた車両設備の購入価格は、市場の一般的水準から遠くかけ離れたものだった。例えば、高速鉄道の一等席は付属部品を含めると3万元(約38万円)、2人用座席は4万元(約50万円)を超える。VIP座席は16万元にも達する。記事によれば、一般的な価格水準はいずれも3分の1ほどだという。
これら座席の納品は「上海坦達」と「上海元通」の2社が独占している。どちらも高速鉄道のプロジェクトをもとに新しく設立された会社だ。「上海元通」は2010年から納品を始めたが、設立当初の09年は119万元(約1504万円)の損失があったのに対し、10年は295万元(約3730万円)の利益を上げている。
鉄道車両に使用されている洗面台の市場価格は1平方メートル当たり3100元(約4万円)、北京では取り付け費用込みで2000元(約2万5000円)で販売している会社もある。一方、洗面台を高速鉄道に供給している「北京先河交通設備技術有限会社」は、取り付け費用を含まずに8800元(約11万円)で販売している。
05年以来、北京、青島、上海など各地に高速鉄道車両設備に関係する企業が出現したが、これら企業は有名ブランドを押しのけて高速鉄道の備品を独占供給している。記事は、常軌を逸した金額は誰が背後で操っているのかと疑問を呈した。
高速鉄道の設備納入をめぐり、一部企業が不当な利益を得ている可能性を暴露した記事に対し、中国人ネットユーザーから批判のコメントが殺到、高速鉄道をボイコットするべきと呼びかける声や、汚職を徹底調査するよう要求する声が集まった。(編集担当:及川源十郎)