重慶市内を走る電車内で、男性がソファーを持ち込んで座っていた。SNSに写真が投稿されると評判に。
鉄道運営会社が公式アカウントで「グリーン席を設ける予定はございませんので」と、同様なことをしないよう、やんわりと訴えたので、多くのユーザーが大喜びした。

 中国では地方政府や報道機関、企業などが微博(ウェイボー、中国版ツイッター)などSNSに公式アカウントを取得し、こまめな情報発信をすることが盛んだ。中にはユーモアに富んだ書き込みで人気を博す場合もある。

 重慶商報によると、乗り合わせた別の乗客が、「持ち込んだソファーに座る乗客」の写真を投稿して、同件が知られるようになった。重慶軌道交通3号線の車内で15日夜に撮影して、すぐに投稿したという。

 コメントが相次いだ。面白がる声が多く「車両のど真ん中だ。周囲の人はよけているよ」、「おじさんはひまそうだ。目を閉じて居眠りだ。座る姿に覇気があるね」、「皇帝陛下万々歳だ」などの書き込みが寄せられた。

 16日午前0時には、同路線を運営する重慶軌道交通が公式アカウントでコメントした。「軌道交通は目下のところ、グリーン席や寝台車を設けるつもりはございません。
乗客の皆様はルール通りにお座りになり、事故防止にご協力ください」との内容だった。

 同書き込みを読んだユーザーは「ソファーをグリーン席や寝台車に例えるなんて、笑って唾を飛ばしてしまったよ」などと、大喜びした。

 鉄道の一等車、日本風に言えば「グリーン席」に相当する中国の表現は「軟座(ルアンヅオ)」だ。ソファーを「軟座」にかけたところが、読む人の笑いを誘ったようだ。

 ただし、ソファーのような大型の物品は持ち込み禁止のはずとして、持ち込まれたことを問題視する人もいる。


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◆解説◆
 中国では「言論の統制」が問題視されることが多いが、公的機関や企業によるSNS利用は極めて盛んだ。報道機関の場合には、紙媒体やニュースサイトでは掲載しない情報を発信して読者の関心を呼び、各社が改めて報道する場合もある。

 企業などによる書き込みに対して批判が集中するなどで「炎上」することもあるが、全体的には肩の凝らない双方向の情報発信で、組織や企業の知名度やイメージを向上させている。中国人が恐れる「面子(メンツ)をつぶす」事態もそれほど恐れていない点では、度量が大きいとも言える。

 中国の都市内における鉄道交通が発達したのは、おおむね2000年以降だ。重慶市の場合には、日本のODAで建設された軌道交通2号線が2004年にまず、開通した。日本のODA利用は、当時も報道され、現在も中国人が利用するネット百科事典の「百度百科」などが明記している。


 モノレールを採用したのは、重慶市が起伏に富む土地であることが大きな理由。その後、1号線、3号線、6号線が開通した。6号線はモノレールでなく、通常の鉄輪方式の電車だ。(編集担当:如月隼人)(写真は重慶商報<電子版>の17日付報道の画面キャプチャ)


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