アルゼンチンの海上警察が現地時間14日、同国の排他的経済水域(EEZ)内で違法操業をしていたとされる中国漁船「魯煙遠漁010」を射撃して撃沈した事件について、中国では「危険なやり方」などと非難の声が高まりつつある。アルゼンチン側は中国漁船が自船を取締船にぶつける危険行為を繰り返して逃走を図ったためとして、一部の映像も公開した。


 「魯煙遠漁010」の乗組員は32人で、沈没前に全員が離船した。船長を含む4人がアルゼンチンの取締船に、残りの28人は近くにいた中国漁船に救助された。死者は出なかったという。負傷者も出なかったとの情報もある。

 アルゼンチン海上警察は現地時間15日、事件の経緯を改めて発表した。「魯煙遠漁010」はアルゼンチンのEEZ内で違法に漁撈作業をしていた。アルゼンチン海上警察の取締船は無線を用いて、スペイン語と英語で(取り調べに応じるよう)警告を繰り返した。音声と視覚信号でも警告した。「魯煙遠漁010」は作業を中止し、公海に向けて逃走しはじめた。

 アルゼンチン側取締船は、威嚇射撃をしたが「魯煙遠漁010」は逃走しつづけた。さらに、取締船に自船を何度もぶつけてきた(実際にぶつかったかどうかは不明)。そのため、海上警察側は射撃を決定。
船体の複数個所が被弾すると「魯煙遠漁010」は沈み始めたという。

 同事件が中国に伝わったのは、16日早朝だった。中国外交部は同日午後になり、「極めて強い関心を持っている。アルゼンチンに、ただちに徹底的に調査して中国側に詳細を伝えること、中国人船員の安全と合法的権益をしっかりと保証すること、同様の事件の再発を根絶するため、有効な措置を取ることを要求する」と表明した。

 中国メディアの反応として、新華社は、中国とアルゼンチンの間で「漁船が越境操業をしていたのかどうか、(アルゼンチン側の)公務執行で行き過ぎたところがないか」で争議が発生していると伝えた。

 環球網は「アルゼンチン近海は水産資源が豊富だ。世界の多くの国の漁船が操業しており、違法操業事件もしばしば発生している。しかし、アルゼンチンの海上警察は漁船を撃沈したのは15年ぶりだ」として、「船体に射撃するという危険なやり方に対しては特に、争議を引き起こす」と主張した。(編集担当:如月隼人)


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