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女性カメラマンについて語った山本キャスター

先日、MLB史上初の女性審判が誕生しました。現地時間8月10日に行なわれたブレーブスvsマーリンズ戦で一塁塁審を務めたジェン・パウォルさんが、その名をMLBの歴史に刻みました。

アメリカ大学野球では女性選手が誕生していて、女子プロ野球もありますが、最高峰のMLBでプレーした女性選手はいません。ということは、先ほどのパウォルさんは、インプレー中に男性と共にグランドに立った初の女性と言ってもいいかもしれません。野球の世界でも、どんどん女性が居場所を確立しています。いずれ、女性選手が誕生する日も来るのかもしれません。

私たちが新聞やインターネットで野球のニュースを見る際に目にする写真は、多くは新聞社などに所属するカメラマンが撮影したものです。重たい機材を扱うカメラマンという仕事は"男性の聖域"というイメージを抱いている方も多いかもしれませんが、実は女性カメラマンも活躍していることをご存じでしょうか。

多くのヤクルトファンの愛読紙、『サンケイスポーツ(サンスポ)』の長尾みなみカメラマンもそのひとりです。みなみさんとは、スカパー!の番組でご一緒した縁で親しくさせていただくようになりましたが、ヤクルトの担当になられてから多くの写真をインスタグラムに掲載されているので、燕ファンにはお馴染みかもしれません。

ヤクルト担当の女性カメラマンに質問! プロ野球って、どう撮ってる?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第180回
長尾みなみ/産経新聞社 Instagram(@mnm_ngo_sanspo)より

長尾みなみ/産経新聞社 Instagram(@mnm_ngo_sanspo)より

球団を担当する記者は「番記者」と呼ばれますが、同じように球団専門のカメラマンもいます。みなみさんは2015年に産経新聞へ入社されてから、2019年と20年、そして昨年に続いてヤクルトを担当されています。

最近は高性能なカメラ持ったファンの方も多いですが、長くヤクルトを見ていて、選手のこともよく知っているみなみさんがグランドレベルから撮影した写真は、今にも動き出しそうな躍動感に溢れているんです。私はみなみさんの写真の大ファンを公言しています。

ヤクルト担当の女性カメラマンに質問! プロ野球って、どう撮ってる?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第180回
長尾みなみ/産経新聞社 Instagram(@mnm_ngo_sanspo)より

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みなみさんは柔らかな雰囲気でとても可愛らしい女性なんですが、撮る写真は本当に力強く、そのギャップにいつも驚きます。そこで今回は、みなみさんにいくつか質問をしてみました。

1)試合中はどこで撮っているの?

基本はヤクルト側のカメラマン席で、椅子に座って撮影しています。試合中に数イニングだけ相手側に移動することもあります。

最近のカメラマン席は、とにかく暑いです! グラウンドレベルは風が少なく、湿気もすごい。22時を過ぎても汗が止まらない日も......。ちなみに、カメラマン席にたどり着くまでの移動も大変です。機材が重く、全部ひとりで運ばなくてはならいので。

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みなみさんは女性の中でも小柄なほうなので、重たい機材を担いでの移動の苦労は察するにあまりあります。そしてグランドは確かに暑い! ずっと集中しているでしょうし、とても大変なお仕事でしょう。

ヤクルト担当の女性カメラマンに質問! プロ野球って、どう撮ってる?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第180回
お盆休みはどこで過ごされましたか?

お盆休みはどこで過ごされましたか?

2)どんなシーンを狙っているのでしょうか。

基本的には、ヤクルトを満遍なく撮っています。

ただ、新聞で必要な写真は、その日のニュースになる写真。相手チームの写真が必要になる場合もあるので、両チームのその日のトピックになりそうな出来事を予測し、頭の中でシュミレーションしながら撮影しています。

試合前練習やキャンプ(インスタグラムによく載せています)は、「この選手の、こんな場面が撮りたい」とか「こんな構図で撮りたい」などと狙っていて、その場面が訪れたときに撮ることが多いです。

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先ほども話しましたが、インスタグラムをご覧いただくと、みなみさんの撮る写真の選手が今にも動き出しそうな躍動感に溢れているのがわかると思います。そしてオフショットも、ずっと選手のことを見てきたみなみさんだからこそ撮れる素敵な一枚なのです。

ヤクルト担当の女性カメラマンに質問! プロ野球って、どう撮ってる?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第180回
長尾みなみ/産経新聞社 Instagram(@mnm_ngo_sanspo)より

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3)何枚くらい撮るんですか?

1試合9イニングで5000枚くらい、それとは別に、試合前練習は1000枚前後撮りますね。試合中は撮影の合間に写真を編集して送るのですが、この作業が大変です。カメラマン席では、常にパソコンを開いていて、随時写真をカメラから取り込んで編集し、送信しています。

今年、横浜スタジアムでオールスターゲームを撮影した時は、「得点シーンをやっと送り終わった」と思ったら、またすぐに点が入る......がずっと続いて、全打者を撮りながら必死に写真を送りました。

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最近はインターネットでも途中経過のニュースが配信されますから、試合が終わってからまとめて送るのではなく、試合中に撮影をしながら、随時写真を送信しているんですね。とても大変な作業だと思いました。そして紙面に載るのは、何千枚の中から選ばれた数枚。

そう考えると、紙面を見る意識も変わりますよね。

ヤクルト担当の女性カメラマンに質問! プロ野球って、どう撮ってる?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第180回
長尾みなみ/産経新聞社 Instagram(@mnm_ngo_sanspo)より

長尾みなみ/産経新聞社 Instagram(@mnm_ngo_sanspo)より

記事を読んだ時に、記事を書いた方のクレジットを見ることはあっても、写真を撮った方のことを気にする方はそこまで多くないかもしれません。しかし、写真は撮る人によってずいぶん趣(おもむき)が変わります。みなみさんの写真は、ヤクルトファンにとって見る人の心を動かす特別なものであると断言できます。

チームをずっと見てきたみなみさんが撮った。そう思って紙面をもう一度見ていただくと、写真がもっと輝いて見える気がします。写真には撮る人の思いも込められているのです。

最後に、みなみさんからひと言

「アスリートの表情から、人物像を伝えられるような写真を発信したいと考えています」

それでは、また来週!

ヤクルト担当の女性カメラマンに質問! プロ野球って、どう撮ってる?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第180回

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

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