【熾烈! MLB&NPBタイトル最終コーナー(Part2)】...の画像はこちら >>

現在リーグトップの51本塁打を記録するローリー。毎月コンスタントに本塁打を量産中

シーズンも佳境に入り、"個"の戦いも激化。

日米のタイトル争いから目が離せない! MLB本塁打争いの注目選手は、大谷翔平以外にも!

※成績はすべて日本時間9月3日現在

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■捕手&両打ちのスーパーな選手

今季のMLBで両リーグ最速50号に到達したのは、大谷でもシュワーバーでもアーロン・ジャッジ(ヤンキース)でもなく、ア・リーグ本塁打ランキング1位を快走するカル・ローリー(マリナーズ)だ。

「ローリーは捕手であり、スイッチヒッター。捕手のシーズン最多本塁打はサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)が4年前に記録した48本でしたが、8月中に軽々と超え、現在は51本まで量産。

また、左右両打ちの50本超えは〝史上最高のスイッチヒッター〟と称されるミッキー・マントル(当時ヤンキース)が1961年に54本を放って以来の快挙です」

ローリーはアメリカ出身の28歳。今季はオールスターの本塁打競争にも出場し、捕手史上初の優勝者となった。

「マリナーズ打線はどの選手もすくい上げて打つスタイル。その中でローリーは左右どちらもいい打ち方をしており、回転を生かして飛距離が出るタイプです。右打ちのほうがより一発も期待できる。再現性も高く、相当な練習量のたまものであることがうかがえます」

現役投手を指導するピッチングデザイナーで、MLBにも精通する『週刊プレイボーイ』本誌おなじみの野球評論家・お股ニキ氏が感嘆するのは、重労働の捕手でありながら、左右両打席の練習時間を確保している点だ。

「自軍の何人もの投手に対応しながら配球を考え、相手チームも研究し、さらに左右両打席の練習もする。大変な仕事量、練習量なのは明らか。大谷とはまた違った意味で役割が多く、スケールが大きいスーパーな選手です」

これだけの強打者でありながら、捕手としての守備能力も評価は高い。

「フレーミング能力もブロッキング技術もレベルは高いですし、彼が正捕手になってからマリナーズ投手陣も良くなっていて、リードの良さもうかがえます。来年のWBCではアメリカの正捕手としても期待されています」

上述したように、すでにいくつもの偉業を成し遂げているローリー。だが、残り1ヵ月でさらなる記録更新の可能性も残している。

ひとつは55本塁打を放ち、マントルの「スイッチヒッターのシーズン最多本塁打」を更新すること。さらに、ジャッジが2022年に記録した「シーズン62本塁打」のリーグ記録更新も注目されている。

「ジャッジはローリーについて、『ワイルドカードを争う相手でもあり、応援しない』と言及していますが、記録を更新される可能性があると危惧しているからではないでしょうか。スイッチヒッターの捕手が62本を打ったら、本当にとんでもない大偉業です」

今季、5月と6月には月間11本塁打以上を放っているだけに、残り1ヵ月で11本塁打は決して不可能な数字ではないように思える。だが、7月と8月は2ヵ月連続で月間打率が1割台と低迷。地区優勝を争うチームの正捕手として、疲れが出てきてもおかしくない。

「ただ、優勝争いの緊張感の中でプレーできることは、決してマイナスではありません。MLBは日本球界と違って、タイトル争いをする選手との勝負を意図的に避けるような慣習はないですし、ホームラン打者は調子に乗れば一気に量産することも珍しくない。

まずは月間10本塁打を目指し、そこからどれだけ上積みできるか。

ジャッジ超えの新記録の可能性は、30~35%程度はあるように思います」

ちなみに、ナ・リーグ本塁打ランキング1位のシュワーバーも元捕手。両リーグで捕手経験者が本塁打王となれば、これもまた歴史的な事件と言えそうだ。

文/オグマナオト 写真/共同通信社

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