4月1日、自転車の交通違反に反則金を科す「青切符」制度が始まり、都内では警察官が交通ルールの順守を呼びかけていた
自転車にも、ついに「青切符」の時代が到来した。事故抑止と安全確保を掲げ、16歳以上の利用者に反則金を科す新制度だ。
だが、現場を歩いてみると、反則金の高低やインフラ不足といった次元にはとどまらない「大問題」が浮かび上がってきた。
混乱は自転車利用者だけでなく、すでに四輪ドライバーにも及んでいる。自転車行政が放った新制度の実態を徹底取材した。
【交通ルールを知らず車道を走る自転車】4月1日、16歳以上の自転車利用者を対象に、交通違反へ反則金を科す「青切符」制度がスタートした。
この日、週プレ自動車班は専門家と共に都心へ出た。目的は、警察の取り締まりを追うことではなく、制度導入を受けた自転車利用者の〝本音〟を探ることだった。
事前には「反則金が高すぎる」「インフラが未整備だ」といった不満が噴き出すと予想していた。だが、現場で聞こえてきたのは、もっと根本的な戸惑いだった。
50代女性はこう憤る。
「クルマやバイクの免許を持っていないし、交通ルールを習った記憶もない。それなのに急に車道を走れと言われても困る。自転車がなければ買い物にも病院にも行けない。
反則金の是非以前に、「ルールを知らない」。制度の前提そのものが崩れている現実に直面した。こうした自転車利用者の戸惑いは、車道でそれを避ける四輪ドライバーにとって、恐怖にもなりうる。
学生からはさらに率直な声が出た。
「自転車の運転って暇。スマホ見れないなんて無理」
ここにも、制度と現場の認識のズレが浮かんだ。なお反則金は「ながらスマホ」が1万2000円と最も重い。違反者は納付すれば刑事罰のリスクを免れるが、不納付の場合は刑事手続きに移行する。
車中泊で日本一周をした漫画家の小田原ドラゴン氏は厳しい意見を述べる。
「交通ルールを守るのは当然。その上で、スマホをいじりながらの運転は、罰金10万円でもいいと思う」
今回の取材で最も多く聞かれた「交通ルールを知らない」という声。裏を返せば、鉄の塊が猛スピードで駆け抜ける車道に、道路交通法を理解しないまま自転車利用者が送り出されている現実がある。
では、なぜ青切符制度は導入されたのか。自動車誌の元幹部が解説する。
「警察庁や内閣府のデータによると、自転車事故は年間およそ7万件(2025年は6万7470件)で推移。交通事故全体が減少する一方、自転車事故の割合は増加しています。
特に信号無視や〝ながら運転〟などの自転車側の違反が約75%を占め、歩行者を死傷させるなど、高額賠償に発展したケースもあります」
つまり、青切符の導入は、減らない事故と違反の常態化に対する〝後追い〟の対策に近い。その結果、車道に無秩序に走る自転車があふれるという事態を招いている。
【混沌とする車道。四輪ドライバーの困惑】現在の車道は混乱状態にあると、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏は指摘する。
「特に原付一種ユーザーは戸惑っています。かつて車道左端は原付の走行域でしたが、いつの間にか自転車レーンになった。原付は全国に約420万台あり、地方では重要な交通手段です。しかし、制限速度を守っていても電動アシスト自転車にあおられるなどのトラブルも起きています」
都内の60代のタクシードライバーはこう嘆く。
「スマホを見ながら乗る自転車利用者が多く、周囲を見ていない。電動自転車はスピードが出るから〝ロケット状態〟。事故になればこっちは仕事が飛ぶから困る」
警察庁は、自転車を追い抜く際の目安として「1mの間隔」または「時速20~30キロまで減速」を示しているが、軽商用バンで配送業を営む女性も不安を口にする。
「混雑時、絶対に追い抜かせまいと並走する自転車がいる。相手はヘルメットもしていないし、接触すれば大事故になりかねない。正直、車道に自転車が増えるのは怖いです」
小田原氏は制度の前提に疑問を呈する。
「そもそも自転車は車道を走れ、という前提が無理なんです。日本の道路は狭い。せめてあと1m幅がなければ危険すぎる。自転車は歩道をゆっくり走ればいいと思います」
自動車誌で連載を持つ金髪ラリーカメラマンの山本佳吾氏も構造的問題を指摘する。
「ガキの頃、BMXやMTBに乗っていた元自転車小僧だから言えるんやけどな、自転車は軽車両。基本的には車道を走るもんや。
今回の取材で多くの四輪ドライバーが問題視していたのが、ブレーキのないピストバイク(スポーツタイプの自転車)である。
青木氏が説明する。
「ピストバイクはペダルと車輪が直結しており、急停止が難しい乗り物。時速30キロに達するモデルもあります。もちろん、ブレーキなしでの公道走行は法律で禁止されているので取り付けは必須です。シンプルなデザインから若者の間で人気ですが、ルールの順守が大前提です」
つまり実質的に〝止まれない自転車〟で車道に出ているようなもの。それなのに車道中央をふさぐように走り、蛇行運転を繰り返すケースも。この手の危険走行の動画はネット上で拡散されている。悪質な場合、赤切符の対象となりうるのは言うまでもない。
山本氏も語気を強める。
「車道のど真ん中を走るような自転車こそ、どんどん取り締まらなあかん。
青木氏は車道の中央を走る自転車の危険性を強く指摘した上で、二輪ドライバーの視点からこう補足する。
「軽車両は〝キープレフト〟が原則ですが、違法駐車の回避や右折時などで右側を走らざるをえない場面もあり、無理な追い抜きは危険です。新制度が導入された今、四輪と二輪はお互いの立場をより理解することが必要です」
【どんなにイラついても二輪は〝生身〟】では、海外の状況はどうなのか。長年、欧米で試乗取材をしてきた青木氏は言う。
「特に欧州ではクルマは混雑した市街地で二輪と一緒に走るのを嫌がる。窓から手を出して先へ行けと合図します」
欧州で撮影をこなしてきた山本氏はこう語る。
「オランダは別格や。自転車道が整備され安全に走れるけども、日本とは人口密度が違う。そのまままねするのは難しいやろね」
海外に都合の良い〝模範解答〟があるわけではなかった。では今後、交通ルールを知らない自転車を車道で回避する方法はあるか。小田原氏は皮肉を込めて言う。
「無謀な自転車を避けるには、反射神経を鍛えるしかない。
この混沌とした車道でトラブルを回避するのは〝無理ゲー〟ということか。
前出の元自動車誌幹部は、手をこまねくのではなく自衛策が必要と力説する。
「前後2カメラのドライブレコーダーを装着することです。前方と後方を同時に録画できれば、あおり運転や追突事故の証拠を残せる。自転車との接触事故は、クルマ側の過失が問われやすい。警察、保険会社、裁判に対して証拠を残す意識が重要です」
一方、青木氏は四輪ドライバーに、こう警鐘を鳴らす。
「自転車にイラッとしても、クラクションを鳴らしたり、幅寄せしたりするのは絶対にダメ。二輪は生身です。冷静な対応が求められます」
車道を走る自転車利用者。ヘルメットは「努力義務」とされているが、未着用の場合、クルマとの接触時にリスクを伴う
同時に、現行制度の問題点についてもこう指摘する。
「交通教育が不十分なまま、取り締まりと罰則だけを強化するのは行き過ぎでは?」
現状では、交通ルールが十分に理解されているとは言い難く、ヘルメットも努力義務にとどまっている。車道で目にするのは、ノーヘルのまま自分勝手に走る自転車の姿。
それでも多くの四輪ドライバーは、減速しながら危険回避するしかない。国は車道のチャリをどうにかしてくれ!
取材・文/週プレ自動車班 写真/時事通信社
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