―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―

就職氷河期世代はこれまでの人生においてさまざまな困難を乗り越えてきたわけだが、40-50代になって改めて向き合う難問が「お金」だ。将来不安から必要以上に貯蓄を追い求めてしまう彼らに、同世代のひろゆき氏がシンプルな指針を示す。

ひろゆき「ミシュラン掲載店で10万円と牛丼屋1000円」同じ...の画像はこちら >>

お金との付き合い方は「不幸にならない額」だけ、考えればいい

 先日、世界一のお金持ちであるイーロン・マスクが、「“お金で幸せは買えない”と言った人は、本当にその意味を理解していたんだ」とXに投稿してバズっていました。その言葉通り、「お金があれば幸せになれる」と考えている人は、石油王でもない限りたいていは幸せになれません。

 例えば、キャバクラや風俗など、人との接点にお金を使う人は、より高級な店やタレントとのギャラ飲みへと出費は増え続けます。「金持ちなら結婚できる」と考える人もいますが、お金目当ての相手と結婚してもまともな夫婦関係は長く続きません。ブランド品や貴金属も同じで、もっと高いもの、もっと希少なものが欲しくなるだけです。

「お金で幸せは買えない」ことは、シャカ族の王子として生まれ豪遊しても幸せになれなかったゴータマ・シッダールタが、出家して仏教をつくった話からもわかりますよね。

 だからといって、お金が無意味というわけではありません。多くの不幸はお金で避けられるからです。家の棚が壊れたら買い直せるし、病気になったら仕事を休んで治療に専念できる。お金はマイナスを減らすのには役に立ちますが、プラスを増やすのには適さないということですね。

お金を貯める基準は、不幸にならないライン

 では、そのマイナスを減らすにはいくら必要なのか? 氷河期世代だと将来不安が募り、転ばぬ先の杖とばかりに手元にあるお金を増やそうとしているでしょう。

 とはいえ、一気に資産を増やすのは現実的ではない。だから幸せを買おうとするよりも“不幸にならないライン”をつくるほうが合理的です。


 例えば、飛行機で海外旅行をするためにはお金が必要で、多くのお金があればビジネスクラスに乗って、いいホテルに泊まることもできます。でもエコノミークラスでも海外旅行には行けます。食事も同じで、ミシュラン掲載店で10万円を出せば100点の満足度を得られるかもですが、牛丼屋で豪勢に1000円を払えば80点くらいの満足度は得られます。

 つまり、お金は選択肢を増やすことはできますが、ある一定以上は豪華になるだけで、本質的な満足度は変わらないわけです。

 冒頭のイーロン・マスクの投稿に対して、僕は「お金で幸せは買えないが、多くの不幸は避けられる」とXで書きました。不幸のラインは人によって違います。ビジネスクラスで海外旅行に行けないことや高級店で料理を食べられないことが不幸な人もいれば、老後に医療を受けられないことや住む場所を失うこと、突然の出費に対応できず生活が崩れることを不幸と考える人もいます。その自分なりの不幸のラインを自覚しているだけで、お金に対する不安はかなり減ります。

 逆に、「もっとあれば安心なはず」と漠然と考えてしまうと、必要以上にお金を追い続けてしまうので、その不安はずっと消えません。

 幸せを買おうとするより、不幸を避けるにはいくら必要なのか?と考える。お金との距離感は、そのくらいでいいと思うのですよ。

構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)

―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―

【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。
東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
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