放送前に注目を集めていたのは堤真一、有村架純、山田裕貴、吉瀬美智子らが出演する車いすラグビーチームを題材にした日曜劇場『GIFT』(TBS系、日曜午後9時~)。
また、高橋一生が二役を務める『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系、火曜午後9時~)、北村匠海が主演を務める『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系、月曜午後9時~)、波瑠と麻生久美子がダブル主演を務めるミステリー『月夜行路―答えは名作の中に―』(日本テレビ系、水曜午後10時~)といったタイトルの前評判も高く、期待のクールと言われていた。
しかしながら、蓋を開けてみると豪華キャストを揃えた『GIFT』の初回世帯視聴率が9.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)に沈み、日曜劇場枠としては4年ぶりの1ケタ台を叩き出してしまっただけでなく、他のドラマも初回視聴率が振るわず苦戦している。
果たして春ドラマはどれも失敗作ばかりなのだろうか。
そこで、業界関係者たちが注目しているドラマ、逆に見たくないと思っているドラマは何なのか?忖度のない意見を集めた。
鬼門の選挙モノを軽快なタッチで描く『銀河の一票』
まずは、キー局でドラマ制作に関わり、現在はフリーランスのプロデューサーを務める40代の男性・A氏に見たい作品を聞いた。「黒木華さん主演の『銀河の一票』(カンテレ・フジテレビ系、月曜午後10時~)は非常に見応えを感じています。
政治をテーマにしたドラマはどうしても堅苦しくなったり、説教くさくなったりしがち。かつて同様のドラマがありましたが視聴率が振るわなかったこともあり、各局がなるべく避けていた。
しかし、本作はリアリティーを追求しているだけでなく、胸に残るセリフが初回から随所に散りばめられており、ただのエンタメ作品で終わらせない気概を感じた。
終盤にスナックで黒木華さん演じる茉莉が放った切実なセリフはドラマ史に残ると思います。
黒木華さんの安定した演技力はもちろんですが、野呂佳代さんのキャスティングが絶妙で、彼女の持つ親しみやすさが作品に良いアクセントを加えていますよね。
蛭田直美さんによる脚本も見事で、テンポの良さがありつつ各キャラクターの魅力を早めに伝えることに成功していた。視聴率こそ初回5.0%で低調でしたが、SNSの評価が高いので、回を追うごとに視聴率を上げていくのではないでしょうか」
タブーとされてきた政治モノに真っ向勝負した一作のV字回復に期待したいところだ。
『風、薫る』はダブルヒロインの活かし方に疑問符
一方で、A氏が「今後見たくない」と断言する春ドラマも教えてくれた。「序盤で脱落したのは、見上愛さんと上坂樹里さんがダブルヒロインを務める連続テレビ小説『風、薫る』(NHK、月~金曜午前8時~)ですね。
明治時代を舞台に、身分も境遇も異なる女性2人がトレインドナースを目指して懸命に生き抜く姿を描くという意欲作ですが、残念ながらキャラクターに感情移入することができなかった。
その理由はダブルヒロインだったから。短い尺の中で異なる環境で暮らす二人の半生を盛り込もうとしたため、初週と2週目の展開がとにかく早かった。
特に見上さんが演じるりんに関しては、父の死、結婚、出産、実家からの離別が怒涛の早さで進んでいき、彼女の気持ちに共感する隙間がなかった。
それに加えて、上坂さん演じる直美も複雑な家庭事情を抱えているのですが、その感情も深掘りできていない。
ダブルヒロインにしたため、二つのドラマを交互に見せられる形になり、メイン視聴者の中高年層は置いていかれたのではないかと思います。
見上愛さんと上坂樹里さんの繊細で瑞々しい演技は光っているだけに、序盤の脚本がもったいないですね。このままでは、視聴率のさらなる低下もありえますよ」
実力派俳優の演技合戦に引き込まれる『田鎖ブラザーズ』
「刑事役の兄・岡田将生と検視官役の弟・染谷将太がバディを組む『田鎖ブラザーズ』(TBS系、金曜午後10時~)が面白いですね。
同作は、両親を殺害された兄弟が時効成立後も真犯人を追い続けるという完全オリジナルのクライムサスペンス。
凶悪事件に対峙しながら過去の事件にも迫っていくという構成がスリリングなうえに、スローテンポで話が進んでいくので映画のような緊張感がある。
また、『Nのために』『アンナチュラル』『最愛』(ともにTBS系)を手掛けた新井順子さんがプロデューサーを務めているだけあって、単なるサスペンスにとどまらず、人間ドラマとしての深みもしっかりと描いている点も秀逸ですよね。
何よりも、岡田さんと染谷さんの演技合戦が素晴らしい。二人の間に漂うヒリヒリとした緊張感と深い絆を感じさせる繊細な演技やセリフ回しは圧巻。あまり視聴率は芳しくない(初回5.4%)ですが、ジワジワと人気が出てくるでしょう」
同作はSNSでの考察も盛り上がってきており、今後大ハネする可能性がありそうだ。
ドキドキやワクワクが足りない『時すでにおスシ!?』
「永作博美さん主演で、松山ケンイチさんが共演する『時すでにおスシ!?』(TBS系、火曜午後10時~)は期待外れでした。
子育てを終えた50歳の主婦が、第二の人生として『鮨アカデミー』に入学するというオリジナル脚本のドラマですが、鮨職人を目指したきっかけが唐突すぎて、ストーリーに入っていくことができなかった。
また、ときめくような展開や大きなトラブルも起きず、ゆったりと進むので火曜10時枠らしいドキドキやワクワクを味わえない。
脚本を担当する若手のホープ・兵藤るりさんらしい繊細なセリフが効果的に使われておらず、コメディとしてもヒューマンドラマとしても中途半端な印象を受けました。
もしかすると兵藤さんでない作家に任せたほうが良かったのかも……」
キャラクターが秀逸な『月夜行路 -答えは名作の中に-』
「波瑠さんと麻生久美子さんがダブル主演を務める『月夜行路 -答えは名作の中に-』(日本テレビ系、水曜午後10時~)を面白く見ています。
同作は、波瑠さん演じるトランスジェンダーの文学オタク・ルナと麻生久美子さん演じる平凡な専業主婦の涼子が、名作文学になぞらえた事件を解決していくというストーリー。
あくまで事件解決までのミステリー部分は軽快に描き、波瑠さんと麻生久美子さんの掛け合いや関係性の面白さに重点を置いており、ライトな視聴者も楽しめるように作っている。
さすが、数多くのヒット作を書いてきた清水友佳子さんの脚本だなと思いました。
特に波瑠さん演じるルナの文学オタクの振る舞いや口調の解像度が高く、『やらされている』感じがない。
エッジの利いた脚本になっていない『GIFT』
「期待を裏切られたなと感じたのは、堤真一さん主演の日曜劇場『GIFT』(TBS系、日曜午後9時~)ですね。
車いすラグビーを題材にしたオリジナル作品で、脚本はヒットドラマ『サンクチュアリ -聖域-』(Netflix)で話題を呼んだ金沢知樹さん。
放送前の期待値は高かったのですが、変わり者の学者がチームのコーチとして突然参加するという、ベタすぎる導入にガッカリしました。
現状、金沢さんの脚本らしいエッジの効いた面白さやリアルで苦々しい人間描写が感じられず、無難な群像劇になってしまっているところも残念。地上波のコンプライアンスの壁に阻まれて、持ち味が活かしきれていないのかもしれません。
車椅子生活を余儀なくされた選手の葛藤や過去を丁寧に描くことができれば勝機はあると思いますが、感動路線になりすぎても良くないし……。人気枠の難しさを痛感しています」
伝統ある日曜劇場の重みに縛られるあまり、王道のストーリーに落ち着いてしまっている点が評価を下げているようだ。
ここまで、現場の第一線で働く業界人が選ぶ「見たい・見たくない春ドラマ」を紹介してきた。しかし、まだ作品は序盤を終えたばかり――。
中盤話以降で意外な伏線回収や展開が大きく変わっていくドラマも必ずあるはずなので、飽きずに視聴することをおススメしたい。
<取材・文/木田トウセイ>
【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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