会えないのではありません。会えているのに、関係が続かない人がいるのは、なぜなのか――
恋愛・婚活の無料診断メディアを運営する筆者は、オンラインで個別相談に乗るのが日常の一部です。
流行りのマッチングアプリにとどまらず、SNS、趣味のコミュニティ、行きつけの飲食店まで、「本人の気質に合う出会い方」と「関係の進め方」について、親身になって各々の正解を導き出しています。

今回は、実際に相談を受けたケースをもとに、「延々と初回デートを繰り返す人」の問題点を深掘りしていく次第です。同様の悩みを抱える方は、ぜひ最後までお付き合いください。

なぜ「初回デート」を延々と繰り返してしまうのか…モテているは...の画像はこちら >>

頭の中でスワイプが止まらなくなる

会うところまでは驚くほど効率化しているのが、今のマッチングアプリ。写真、年齢、年収、身長、職業を見て、指一本で候補を選べます。ところが、アプリ歴が長くなるにつれ、本人を目の前にしても、頭の中でスワイプが止まらないことがあります。

筆者の相談に来た3人も、決して異性に会えないタイプではありませんでした。会話は続く。次の候補もいる。相手から好意を向けられることさえある。それでも、恋愛モードに切り替えられません。

1人は初回デートで相手を即採点し、1人は価値観を深掘りしすぎて面接官になり、1人は会いたくない相手との予定まで消化しようとしていました。

どれも、本人なりに婚活へ真面目に取り組んだ結果です。
だからこそ厄介でした。効率よく失敗を避けようとすればするほど、相手の人となりがわかる前に関係を終わらせてしまうのです。

3人に共通していたのは、目の前の相手を1人の人間として見るより先に、「あり・なし」「合格・不合格」で処理する悪癖でした。

出会いの数は足りているのに、関係だけが始まらない。3人はどこで恋愛を止めてしまったのでしょうか。

※相談内容は個人が特定されないよう、属性や表現の一部を変更しています。

NG行動1:会いたくない相手にまで会って「件数」を稼ぐ

Aさん(女性)は、8年間交際した相手との別れを経て、30代で初めてアプリ婚活を始めました。会ったのは約10人で、2回目へ進んだのは2人だけ。本人は「じわじわ人を好きになるタイプ」で、突然目の前に現れた相手を短時間で判断するアプリの文化になじめずにいました。

それでもAさんは、東京に泊まる3日間を婚活の集中期間にしようと考え、「東京にいるうちに会えるだけ会う」と5人とのデートを詰め込みました。自分で入れた予定なのに、相談中には「明日からそれが始まるんだよな……」とため息。恋愛を楽しむどころか、完全に修行です。

なかでも、翌日に会う予定の男性からは、会う2週間前からLINEが何度も届いていました。
忙しいと断っても「どこかで電話しましょうよ」と食い下がられ、Aさんは内心「だからできねえっつってんだよ」。当日は「熱が出たと言ってやめたい」と思うほど、すでに会う気を失っていました。

それでも、「奢ってもらえるなら行くか」「せっかく東京に泊まるし、とりあえず会うか」と自分を無理に納得させていました。会う前から嫌なのに、予定を一件消化するために行く。これでは相手の魅力を受け取る余裕などなく、「今回も違った」というハズレ確認だけが増えていく一方です。

そこでAさんに「会う前から違和感がある人とは、会わなくていい」と伝えると、翌日に予定していた男性とのデートを取りやめました。辛いデートを耐え抜いたのではなく、辛くなる前に降りたのです。プロフィールには「じっくり関係を築きたい」と明記し、読書会や趣味のオフ会、SNSなど、人柄を時間をかけて知れる場所も探すことにしました。相談後に交際へ進んだかは未確認ですが、少なくとも件数を稼ぐ婚活からは降りました。

NG行動2:初回デートが「価値観面接」になっている

Bさん(女性)は33歳。相手に求めるのは、30~35歳、身長175センチ以上、好みは醤油顔。年収だけでなく、育った環境や家族観が近く、パートナーシップを自分の言葉で語れる男性を望んでいました。見た目については、「キスできない顔だったら嫌」と笑うほど正直です。


ある男性との初回デートでは、会話が2~3時間に及びました。Bさんは初回から仕事、家族観、結婚観へ踏み込み、会話の8~9割が仕事の話に。

男性から「こんな深い話、初回でしたことがない」「こんなに素を見せたことがない」と言われ、Bさんは「めっちゃ刺さっている」と確かな手応えを感じました。デート中には「また行きましょう」と話し、次の日程まで決めたほどです。

ところが、その後に待っていたのは次のデートではなく、突然のブロックでした。「めっちゃへこんで、昨日はめっちゃ泣いた」とBさん。深い話ができたことと、恋愛の距離が縮まったことを、同じだと思っていたのです。

本人にも「私が場を回しすぎて、インタビュアーみたいになる」という自覚はありました。そこで、仕事の話を半分ほどに減らし、恋愛の話や、相手が自慢したいこと・得意なことも聞くよう提案しました。真面目な話を封印する必要はありません。ただ、くだらない話で笑い合える「バカになれる時間」がなければ、人として仲良くなれても、男女の距離は縮まりません。

NG行動3:初回デートで相手の「合否」を決める

最も極端だったのがCさん(男性)です。フリーランスでYouTube関係の仕事をする30代で、サウナ、ランニング、ゴルフと趣味も多く、望むのは半年~1年以内の結婚。
女性から好意を向けられることも多く、「会うのはまったく困らない」と言い切りました。

では、この2年間で何人と会ったのか。返ってきたのは「100人から200人の間」という、あまりにも幅のある答えでした。何度か会った女性はいても、正式に付き合った人は1人もいません。関係を終わらせるのは、ほとんどCさんのほうです。

理由を尋ねると、「顔はタイプだけど楽しくない。楽しいけどタイプじゃない」「楽しいけど、結婚となると違う」「この子、倫理観は大丈夫かな」と止まりません。外見、会話、知性、倫理観、将来性。どれか一つでも引っかかると、早々に試合終了です。

Cさんが婚活を語るとき、口から出るのは「最適化」「損切り」という言葉でした。「アプリに最適化しすぎている」「早めに損切りしがち」。本人も、自分が恋愛を仕事のように処理していることには気づいていました。


メッセージを交わし、初回で仕事、休日、趣味を一通り聞く。写真との違いを確認し、条件から外れれば次へ。本人は初回で「外見と興味の方向」、2回目以降で「過去の話や自己開示」を見るつもりでした。しかし実際には、その2回目へ進む前に大半の女性を切っていました。

初回の1~2時間で、外見、会話、知性、倫理観、将来性まで全項目を合格する人はいません。そこでCさんには、相手の欠点だけでなく、「この人といるときの自分は心地よかったか」「普段より自然にしゃべれたか」「別れたあと、少し寂しかったか」も振り返るよう提案しました。

さらに、「3カ月はクーリングオフ可能、くらいの気持ちで付き合ってみては」と伝えました。金銭感覚、家族観、暮らし方は、1~3回の食事では見抜けません。アプリでガチャを100回繰り返すより、1人と仮交際し、半日デートやゴルフで長く過ごしたほうが見えることは多いのです。

Cさんは提案に納得し、「違和感がゼロになるまで待つ」のではなく、期待できる部分を言葉にしてから交際を判断する方針へ変えました。ゴルフのコミュニティやSNS、個人経営の飲食店など、最初から条件で査定しない出会い方も試すと決めました。相談後に交際へ進んだかは未確認です。
ただ、100人目の次を探すのではなく、1人を知るための時間を取る方向へ、少なくとも婚活のルールは変わりました。

「初回デートループ」から抜け出すためには…

今回紹介した3人は、目の前にいる相手は蚊帳の外で「婚活を正しく進めている自分」を俯瞰で見ていたのかもしれません。

出会う力と、関係を築く力は別ものです。初回デートの目的は、その場で結婚相手を決めることでも、自分の魅力をプレゼンすることでもありません。まずは「この人と、もう少し話したい」という小さな感情を、お互いに残すことです。

つまり、「初回デートループ」から抜け出すために必要なのは、目の前にいる1人に対して真摯に向き合うことなのです。相手を「不採用者」「面接対象」「5件のうちの1件」などと扱ったら最後、また同じことが繰り返されてしまいます。2人で無駄話をし、少しずつ格好悪い部分を見せる時間が、カタログスペックからの脱却に繋がるのではないでしょうか。

<TEXT/やうゆ>

【やうゆ】
恋愛コラムニスト。2016年から恋愛・婚活について発信。「マイナビウーマン」「bizSPA!」「ハウコレ」などで恋愛や男女の心理に関する記事を執筆。神戸新聞NEXTでの取材掲載実績も持つ。現在はSNSでの発信に加え、結婚相談所やマッチングアプリに関する個別相談も行う。
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