◆東京六大学野球春季リーグ戦 第6週第1日▽法大6-6慶大(18日・神宮)
慶大は5点ビハインドから追いつき、ドローに持ち込んだ。1点を追う8回2死、途中出場の福井直睦内野手(2年=慶応)がバックスクリーンにリーグ戦初アーチとなる同点ソロを放った。
あきらめない。福井の執念がバットに乗り移った。カウント1-1からの3球目、ストレートを強振すると、打球は大きな弧を描き、バックスクリーンに着弾した。リーグ戦初アーチは値千金の同点弾。感情をあらわにダイヤモンドを一周し、ベンチでは抱きかかえられるなど手荒い祝福に表情を崩した。
「1点差の場面。何とかもう1点取りたい思いで打席に入りました。事前に投手の投げる球を頭で整理して、自分の得意なストレートを打とうと決意して、踏み込んで打ったら運良く入ったという感じです」
慶応幼稚舎出身、生粋の慶応ボーイだ。慶応(神奈川)では2023年夏の甲子園でチーム最高打率の4割7分1厘をマーク。決勝の仙台育英戦でも4打数3安打と打ちまくり、大会通算17打数8安打で107年ぶりの優勝に貢献した。
試合前のレジェンド始球式ではOBの元巨人監督・高橋由伸氏(50)=スポーツ報知評論家=が登板。福井の父・直信さんは野球部ではないが、由伸氏とは慶大の同級生で、面識もある。
「由伸さんと野球の話は1度もしたことがなくて…父が同期なので世間話をした程度です。慶大の大先輩で、目標にするべき選手かなと思います」。素直な憧れを口にした。
この日は同じ慶応Vメンバーの渡辺憩捕手(2年)にも2ランが飛び出た。堀井哲也監督(63)は「福井、渡辺憩、丸田、八木も1年で体がしっかりしてきたのが一番の成長。それに伴い、スピードやパワーがついてきた。大舞台での経験値があり、メンタル面は心配していないが、体がしっかりできてくれば自ずと力を発揮してくれる選手」と期待した。同点の9回にはエースで主将の外丸東真投手(4年=前橋育英)を投入するなど、ナイン一丸で持ち込んだドロー。大学でも狙うは日本一。泥臭く勝ちに行く。(加藤 弘士)